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お好み飲みな夜

もうすぐ2月に差し掛かるところで梅の花が咲いていた。それを眺めているカップルを眺めていた。各々ポケットに手を入れていた。その仕草で寒さがまだ厳しいことが伝わった。

少し歩いたとこの不動産屋にもカップルが居て、夕方に店仕舞いをした店のウィンドウを通して物件情報を眺めていた。

次の春が近いのを予見した。

春が出会いや別れの季節なのは日本の年度切り替えが4月からだからであって、季節にそれを感じているのではない。外国では別れの季節はいつなのだろうか。秋かな。

なんて思いながらも何だか暖かくなってくるからうれしかったりはする。さらに言うと私も今日はお好み焼き屋で軽い新年会と送別会があり別れを感じずにはいられなかった。

しかし、なぜお好み焼きなのか。

お好み焼きは好きなのだが、帰り道での自分の匂いが私は大嫌いだ。鉄板焼きを食べましたと身体に書いて歩いているようなものなので、電車に乗るなり「確実にこの人は食べたな」と言う顔でこちらを見られる。

最近はお好み屋も気遣いでファブリーズを置いておいてくれるのだが、行った店には置いてなかった。この臭いは消そうにも消せず、ストーカーのように家まで入り込んでくる。

あの人から帰宅の連絡はない。きっとまだ飲んでいるのだろう。見えない表札を掲げて帰る。

#エッセイ
#お好み焼き
#恋愛
#同棲
#新年会




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