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「拍手」を研究する

バイバイワールド代表の髙橋征資です。今回は長年研究を重ねてきた「拍手」について。

バイバイワールドはこれまで、拍手マシン、拍手玩具、拍手ロボットと、拍手を特徴とした作品、製品を開発してきました。

なんで拍手なの?とよく質問されますが、きっかけは学生時代の研究にあります。インタラクティブ技術の研究を進める中で、ボクは「柔らかいもの」に人一倍関心があることに気がつきました。柔らかい音楽インタフェースや、柔らかい妖怪のようなマシン等々を制作し、たどり着いたのが「拍手」です。拍手の「パチパチ」という音は柔らかい素材が叩き合わさるからこその表現です。また、拍手は世界共通のコミュニケーションツールです。これだ!と思い、音手(オンズ)という拍手マシーンの試作に取りかかりました。そして仕上がったのがこれです。


はい、気持ち悪いです。
ドゥルンドゥルンのバッチンバッチンです。学生特有の悶々としたものが溢れ出て
ます。肉もなぜか透明です。そもそも拍手が鳴るのかわからなかったので、人間の骨と関節、肉をすべて忠実に再現し、思いっきり叩き合わせました。そして一瞬で壊れました。動かす度に指が吹っ飛んでいきました。

この反省から、効率よく拍手音を出す手のパーツを作る作業に取りかかります。作っても作っても納得いくものにならず、作業場には手の山が積み上がっていきました。

そして手の骨の関節を固定し、肉の色を変え、機械機構を見直し動作を安定させたのが、この拍手マシン「音手(オンズ)初号機」です。

これで何万回叩いても大丈夫です。リズムを刻んだり音楽に合わせて手拍子することもできます。

手を叩くだけで微かに笑いがとれました。この音手初号機は、世界最大のメディアアートの祭典であるArs Electronicaにて招待パフォーマンス・展示を行うなど、様々なイベントやメディアに露出しました。また、ありがたいことに2009 ASIA DIGITAL ART AWARD インタラクティブアート部門入賞、第 1 回ニコニコ学会βシンポジウムソネット賞・五十嵐悠紀賞を受賞しました。

この拍手マシンを、アート作品として終わらせてしまってはいけない。そういった想いから、フリーランスに転身し玩具の開発に取りかかることにしました。(次回に続きます)

(この記事は2017月年4月に公開した記事を加筆修正したものです。)