エスキスのグリッド出しをグッと短縮する方法~グリッドとボリュームの決め方~
このnoteは一級建築士製図試験のエスキスが苦手な方向けに書いています。解いてみたものの、なんだかエスキスってつかみどころがなくて、コツがわからない、モヤモヤして自信が持てないという方が、猛者になる一助となれば幸いです。
本noteを読んでいただくと、グリッドとボリュームをラクに導き出す方法がわかるようになります。
グリッドとボリューム決めるのにどれくらい時間がかかっているでしょうか?30分でしょうか。それとも60分かかっていますか?
私は初受験のときは60分使っても、グリッドとボリュームを決めることができませんでした。2年目も60分くらいかかっています。
そんな私ですが、この方法をつかって角番の3年目は、45分ほどでエスキスが終わっているのです。
課題文の読み方とともに実践すると、15分かからずにグリッドとボリュームを決める方法を得ることができます。
尚、課題文の読み方は以下記事まとめていますのでよろしければご確認ください。
すでにエスキスの方法が確立されている方は、混乱を招く可能性があるため、慣れた方法で試験に臨んだ方がよいかと思います。
まず一級建築士の製図試験のエスキスについて、テキストなどには以下の流れが書いてあります。私も講師からこのように習い、実践していました。
人によっては合うのかもしれませんが、やることが多すぎて、少なくとも凡人の私にはこの方法ではまったく問題が解けませんでした。
この方法で解いていくと、私の場合、こんなことが起こりました。
・建築面積を踏まえ、とりあえずグリッドを組む。
・グリッドの根拠は、要求室の面積。
・まずは定番の7m×7mのグリッドを当て込み、解いてみる。
・課題文に書かれた面積とまったく合わない要求室が出てくる。
・当初設定したX方向orY方向のスパンいずれかを7m⇒6mに変更。
・たまにうまくいくが、建築面積や床面積をオーバーすることの方が多い。
・コマを削って考えるが、要求室全部がはいらないスパン割りとなる。
・うまくいくスパン出すため、X方向、Y方向両方のスパンをいじりはじめる。
・X、Yともに6mのスパンになったりすることもあり。
・なんとかスパン割りを調整するも、時間は80分近くが経過。
・全然うまくいかず、下書き用紙もきたなくなり、考えるのがイヤになる。
・破綻していることわかっていながら、とりあえず作図開始。
・案の定、受かるとは思えない図面となる。
・また次の課題でも同じことの繰り返し。
要求室の面積満たそうとすると変な場所に柱がでてくるとか、調整を繰り返すうちにスパンが広がっていき、外構に設ける駐車場用のスペースがなくなるため、ピロティ駐車で対応しようとしますが、こんどは1階に入れなければいけない要求室が全部入らない。。。みたいなことになります。
この流れで検討すると、修正することができません。なぜなら、どこで間違ったのか原因がわからず、正しい手順に修正しようがないからです。
このエスキスの進め方は不確定要素を多数残したまま進めて、複数のことを同時に考え(ているようで考えられていない状態で)案をまとめるため、思考が複雑です。
結果、想定した時間内にまとまらなかったり、後戻りできなくなったりします。
過去問(H23、H27、H28)について記事の中でも書きますが、エスキスには押さえるべき手順があります。そしてその手順には意味があり、各手順にも正解に近いものか判断する基準があります。
私が行っていたエスキスの手順は以下です。課題が変わっても、手順は同じです。グリッドとボリュームの出し方はⅣとⅤに該当します。
ただグリッドとボリュームはその前段のⅠ~Ⅲの手順ありきなので、それらについても合わせて確認していきます。
Ⅴのボリュームだしまで終わったら、
Ⅵ.ゾーニング
Ⅶ.要求室の割り振り
を行います。
Ⅰ.準備
1.利用者の読み取り
利用者を想定します。課題文の主文から読み取ります。過去問記事(H23、H27、H28)をご参照ください。
2.建築面積の算定
「1.敷地及び周辺条件」を読み、まず建蔽率から最大の建築面積を確認しておきます。式は簡単で、敷地面積×建ぺい率で導き出せます。
Ⅱ.アプローチ
利用者と管理それぞれのアプローチを考えます。
1.利用者がアプローチする出入り口
過去問や演習課題を見ても建物の間口の広い側のセンターに設けることが圧倒的に多いですし、まずそれを基本としておければよいかと思います。
ただ最近の出題傾向では、短手側に来たり、隅に計画する問題もありました。
まとめると
となります。基本的に建物の長手センターと思ってよいが、その考えに縛られないようにしてください。
敷地が目に入った際に検討がつくかと思いますが、くれぐれも思い込みをせずに課題文から情報を拾うというクセをつけておきましょう。
アプローチだけではありません。基本的にすべての手順において課題文から情報を拾います。
尚、過去問では外構に利用者用駐車場を設けるよう書かれることが多いですが、利用者の移動手段は基本的に徒歩です。
歩行者であることを前提に、主出入口はおおよそ以下に集約されます。
敷地を見て、まずこれらがあるか確認します。
2.サービス用の入り口
利用者動線と交わらないよう配慮し、以下が候補としてあがります。
①1面道路なら、歩行者である利用者の動線から離れた場所
②2面道路なら、細い道路側のどこかの可能性もあり。
尚、サービス用の出入り口には敷地内にアプローチ用の歩道なくても別に問題ありません。(課題文に明記されていたら当然ですが計画する必要があります。)
Ⅲ.へり空きを設定し、建築可能範囲を出す
続いて建物が敷地内のどこまで建てられるか範囲を決める作業を行います。1.へり空きを設定
基本的なへり空きの考え方は以下です。
①車いす使用者用駐車場を設ける場合は4m
⇒車いす使用者用駐車場はW3.5mですので納まります。
②サービス含む一般駐車場は3m
⇒普通車用駐車場はW2.5mですので納まります。
③最低限のへり空きは2m
④その他施設には必要な外構施設が指定されます。必要な外構施設を納め
るのに必要な最低限の寸法(例えば1m分)を足し、建築できない範囲を削ります。
外構施設によるへり空きのパターンは、同じく過去問記事を見ていただければと思います。例えばどんなパターンがあるかといえば
・駐車場まったくなし
・車いす用利用者用駐車場
・利用者用駐車場
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