【脱120分エスキス】1時間でエスキスをまとめるためのゾーニングとプランニング
さよきすです。
このnoteは一級建築士製図試験のエスキスが苦手な方向けに書いています。解いてみたものの、なんだかエスキスってつかみどころがなくて、モヤモヤして自信が持てないという方が、猛者に一歩近づく一助となれば幸いです。
エスキスではいくつかの手順がありますが、本稿ではゾーニングとプランニングについて書きます。
課題文の「2.建築」に盛り込むべき要求室が書かれています。
この項目を読んで、何から組み立て始めますか。
私が学校に通っていたころ、はっきり言ってどうやって組み立ててよいかわかりませんでした。
根拠のないまま7m×7mのグリッドをつくって、この施設はこんなイメージであの事例のここが良かったから盛り込もう、より建物として良いだろうと自分の中の思い込み計画しようとしていました。
課題文に自分でさらに条件をプラスしていたのですね。
結果、途中で破綻が起き、まとまらないことはしょっちゅう。。。
まとまらないのは設計力が足りないことが原因だと、更に事例を学んでパターンを調べてみたり余計なことに時間と労力を費やしていました。
スムーズに合格したひとからすると何やってんだ?と思うと思います。
かつての自分に言いたいです。
この設計製図試験は課題文に書かれている内容を図面にする試験。
設計された建物の良し悪しを評価する試験ではないと。。。
当時は普段設計業務に従事していないこともあり「他の受験生に劣らないようにしよう」という気持ちでいっぱいでした。
結果力みすぎて進む方向が間違ってしまったのだと思います。
留意事項に記載されている「ゾーニングに配慮」の一文。
この文章の意味を正しく理解せず、利用者とサービスとを分けさえすれば良いと考えていました。
一級建築士の製図試験で言う「ゾーニング」が指す意味は何でしょうか。
それは、各要求室をまとめる「部門」ごとに、ゾーンを分けてくださいということです。
2.課題文の要求室の左隣を見てみてください。縦書きで「~部門」と書かれています。
過去問では自分で部門分けをる必要のある年もありましたが、ほぼすべての課題は部門に分かれています。
「管理部門」「共用部門」、そして「各課題ごとの部門」です。
ホテルであれば宿泊部門、保育園であれば保育部門にあたります。
もしご存じない方がいらっしゃいましたら「部門」を侮どることなく、計画を進めるにあたってしっかり押さえて頂きたいポイントです。
さて「部門」ですが、まず平面的にまとまっていることが必須です。
さらに縦動線も考慮して繋げる必要があります。
と言っても縦動線、つまりEVや階段=「コア」で繋がるのは「管理部門」と「共用部門」だけです。
縦動線を考慮してゾーニングしていくと、各階の管理部門と共用部門はコアを軸として、平面的に同じ位置に配置されることになります。
平面と縦動線を考えながら、構成を組み立てていき、破綻しそうなゾーニングは見切りをつけて捨てます。
尚、管理部門、共用部門、各課題ごとの部門分けに際して、学校で教えるような要求室の面積を足し算した後、なんとか係数掛けてそれぞれの所定面積を予想。
そこからコマ数に落とし込むという作業は不要です。
なぜならそのコマ数に縛られて、せっかく設定したグリッドのコマが余ったり足りなかったりということが起こるからです。
各部門はアバウトなコマ数でこれくらいかなと仮定し、出来るだけシンプルな構成で配置します。
周辺環境と「2.建築」に書かれているわかりやすく外せない条件から、たった3~4つの各部門が適当な配置となるよう考えればよいのです。
簡単な気がしてきませんか。
ここで更に気持ちが軽くなるポイントをもうひとつ。各部門は基本的には1つのルールで繋がっています。
「課題特有の部門」⇔「共用部門」⇔「管理部門」
場合によっては「課題特有の部門」と「管理部門」が直結した方が良いこともありますが、基本的に上記ルールで組んでいきます。
利用者は主出入口から入隊不特定多数の方が利用する「共用施設」を通って、利用者専用ゾーンに、場合によっては管理部門の事務室に寄ってから利用者専用ゾーンへ向かいます。
課題文を読んでわかりやすい外せない条件からゾーニングを考え、全体を組み立てます。
手掛かりから可能性のある部門配置を考えていき、納まらない案は捨て去ります。パズルと考え方が似ていますね。
くれぐれもゾーニングの前に要求室の配置の検討はしないでください。
基本はより大きな固まり→細かな内容の流れで検討を進めます。
敷地→グリッド及びボリューム→要求室のプランニングの順ですね。
次にプランニングですが、ゾーニングした後に大きな部屋、課題文に条件が明示されている要求室、及びコア位置を優先的に決めていきます。
コアの位置は慣れないうちは場所の候補を絞ることも難しいかと思いますが、問題をこなすうちに候補となる場所がわかるようになります。
いくつか案が出てきた場合は、確定させずに優先順位の高い条件や要求室を当て込んでみて調整を行っていきます。
その中で最もキレイと思われるパターンを選びましょう。もしどうしても納まらない場合は、ゾーニング以前の「へり空き」「スパン寸法」「グリッド」「コマ数」のどこかが間違っている可能性が高いです。
見直してみましょう。
基準階型、低層階型ではプランニングの手順が異なります。
①基準階の場合
まずは基準階の部屋割りから考えます。
何はともあれ、課題文を最優先とします。
例えば課題文に「宿泊室個室は海みえるように配慮」という記載があったら、個室全室とも海がみえる配置とします。
リゾートホテルの課題で「景観に配慮」という一文に対し、敷地をみると景観の良い方角が示されているのにも関わらず、北側の森側に部屋をむけると減点です。
そして階段は歩行距離及び2方向避難の観点から、廊下の両端に設置する候補案をまずは考えます。
そして低層部に下してみて、1,2階の動線に影響でそうなら、コア位置をずらしてみて調整します。
②低層階の場合
大空間から作っていきます。吹抜けの面積÷1コマの面積を計算すると、必要なコマ数がわかります。
その大空間に必要なコマ数は、残りのグリッドが整形=きれいな四角形となるように当てこみます。
一概には言えませんが、まずは大空間のコマを当て込んだ後、残りコマの固まりが極力長方形ではなく、縦横比が1.0に近くなるようにプランニングすると残りの要求室も納めやすくなります。
①基準階型、②低層階型どちらも廊下を巾2.5m~3.0mまっすぐ通すよう心がけましょう。
ある程度納まったら、残りの要求室をあてはめていけば完成します。
これがエスキスの大きな流れです。
課題文の読む順番⇒グリッドの検討⇒ボリュームの検討⇒ゾーニング⇒プランニングです。
課題文の読む順番、グリッド、ボリュームの検討については過去に書いております。有料noteとなりますがよろしければ読んでみて頂ければと思います。
以上、最後までお読み頂きありがとうございました。
貴方の合格をお祈りいたしております!!