カスタマーサクセスチームの組織作りの今とこれから
こんにちは。BYARDの創業メンバーであり、現在はCSの責任者を務めている鈴木高太郎です。
最近はBYARDのカスタマーサクセス(以下「CS」)チームのあり方について考えており、今回のnoteは将来的なCS組織の構想についてお伝えしたいと思います。
もちろん、これは現時点(2023年12月)での構想であり、状況に応じて変化する可能性があることはご了承ください。しかし、私たちは目標を設定することが重要だと考えており、このタイミングで共有したいと思います。
事業貢献という点でのCSチームのあり方
CSチームが存在する企業は増えてきていますが、中身を見てみると、サポートチームとほぼ同等の存在であったり、既存の営業に近い形態の企業も多くあります。これ自体が間違っているわけではありませんし、そのような戦略を取っていることを否定するつもりはありません。
一方で、私が目指すCSチームは、そうしたアプローチではなく、顧客の成功(サクセス)にコミットするチームとして存在したいと考えて、チームやフレームワークを構築しています。
「サクセスにコミットする」とは、プロダクトの提供価値を継続的に提供し、その結果として(顧客に)大きな成功をもたらすことを意味します。会社全体で掲げている提供価値は、以下の通りです。
サクセスの提供をすることで事業貢献をするデザインをする
「サクセス=Churnが少なくなること」は大前提として、CSにエクスパンションも求めている企業は多いと思います。日本におけるカスタマーサクセスは、オンボーディングについてはすでに語り尽くされており、ここ数年はエクスパンションやアップセルといった機能をCSチームが備えるべきである、という議論が活発になってきました。私もその意見に同感ですが、BYARDでは直接的なエクスパンションやアップセルには取り組まず、新たなチャレンジに取り組もうとしています。
もちろんエクスパンションやアップセルの数値も事業計画に組み込まれていますので、それらをどのように達成していくのか、ということも考える必要があります。私たちは、顧客のユースケースやサクセスケース、つまりは導入事例やユースケースの動画・ブログの作成なども目標数値として設定し、新規リードの獲得に貢献できるようにしています。
直接的にエクスパンションやアップセルを追わないという意思決定をした理由
エクスパンション・アップセルの数値をCSチームとして直接追わないと決めたのは、私自身の過去の失敗と、BYARDにジョインして久しぶりに営業活動を行った経験からです。
私のCSキャリアとしては、BYARDが3社目ですが、過去2社ではエクスパンションやアップセルで安定的な成果を残せるのは、ほとんどが元セールスのキャリアを持つ人でした。私自身もセールス出身ですので、営業マインドの有無で大きな違いが生じることは実感値として持っています。
これまで、私はCSチーム内で何度か営業マインドを醸成しようと試みましたが、すべて失敗してきました。全くうまくいきませんでした。全敗です。セールスチームに所属していた経験がある場合は営業マインドが自然と身につくようなのですが、CSチーム内ではなかなか難しいようです。
また、私がBYARDにジョインした時はまだセールスチームがいなかったので、当時はCEOのShunsukeさんと一緒に営業活動をしていました。それでもなんとか必死でやることで最低限の成果は出せたと思っていました。そして、徐々にBYARDも仲間が増えてきて、セールス専任担当もジョインしてくれました。
僕自身かなり苦労したので、セールスの方の動きは興味本位でずっと追ってきましたが、商談時に話していることやプレゼンのやり方は、僕がやっていた時と大きな違いはありません。ただ、僕が営業活動をしていた時よりも彼は何倍も大きな成果を上げていました。立ち振る舞いはそこまで大きく変わらないのに、です。
もう少し注目して見てみると、大きな違いを発見👀しました。それは顧客へのタッチ数✋の差です。これが数倍違いました。僕の場合は、商談して、次の打ち合わせの日程を決めたらそれまで何も行動を起こさなかったのに対して、彼は商談後に打ち合わせのサマリを送ったり、打ち合わせ前日にリマインドの連絡もしていました。
それ以外も事あるごとに、彼は顧客と連絡を取り続けていました。この差で受注という成果が大きく変わっていたのです。言われてみたら当たり前のことかもしれませんが、それに自分で気がついた時はとても衝撃的でした。
きれいなプレゼンでもなく、なめらかな切り返しでもなく、細かく顧客と握り合うということがこれほどまでに重要だったのか、と改めて気付かされました。つまりセールスの仕事はパイプライン管理であり、そのパイプラインを推し進めていくということにコミットすることが重要なのです。
では、「それをCSメンバーがやれるのか?」という自問自答してみましたが、答えは「否」でした。
なぜならCSは担当顧客のサクセスにおいてもある意味パイプラインを持っており、それとは別にもう一本セールス・パイプラインを管理しないといけないということになってしまうからです。これは、相当優秀な方か、セールス行為を楽にできるような人にしかできません。二重のパイプライン管理はみんなが不幸になると考えています。このような経験から、BYARDのCSチームでは、直接的にエクスパンションやアップセルの数値を追わない、という意思決定をしました。
直接的ではないエクスパンションやアップセルとは
複数のパイプラインを管理するのではなく、単純に一本のパイプラインに絞る、というアプローチ。つまり、そのパイプラインの先にエクスパンションやアップセルがあるという風にデザインにするべきだと思っています。
具体的には、先にも記載した通り、「顧客のユースケースやサクセスケースを、大量に作成できるように活動する」ということです。特にエクスパンションに関しては、このアプローチがとても重要になってきます。
では、エクスパンションはどのように発生するのでしょうか。なお、ここでいうエクスパンションは、アカウント増による取引金額の増加、とします。
アカウントを増やしてもらうためには、顧客の導入推進者が別のチームやボードメンバーに声をかけてもらって、利用者数を増やす活動が必要になってきます。つまりは、導入推進者自身が自分の言葉で、BYARDの特徴や課題解決されたことを話してもらわないといけません。
(それをBYARD社が代わりにやることでも良いのですが、担当者自身の言葉は圧倒的に説得力が違うので、そのようにお願いしています)
その説明の際に、BYARDの機能説明をしてもらってもほとんど効果がありません。他部門での課題やその課題解決に向けて社内で会話をしてもらうためには、導入推進者自身の体験を言語化しておくことがとても重要なのです。
そこで、導入事例やブログなどのコンテンツが必要になります。インタビューという形式で導入推進者や意思決定者に話していただくことで、ご自身の頭の中を整理してもらうことができます。また、導入事例などに登場していただけるということは、CSとして顧客が良い関係性が構築できているということであり、お互いパートナーとして認め合っているので、フラットに社内事情や今後の社内展開に向けてもじっくりと議論をすることができるようにもなっています。
ここまでくれば、あとは粛々とCS活動していけば良いだけだと考えています。つまり、顧客の真のサクセスを目指すことが、Churn抑止、新規リード獲得、エクスパンションやアップセル、パートナーとして受け入れてもらうということに繋がっているのだと思って、現在は活動していますし、一定の成果も出てきています。
顧客に感じてもらいたいCSの介在価値
ここまでは、社内におけるCSの在り方について詳しく説明してきましたが、ここからは私たちCSチームは顧客にどのような印象を持ってもらいたいのか、についてお伝えしたいと思います。
簡単に言うと、「私たちCSチームを上手く利用していただきたい」という想いが根幹にあります。CSは顧客の成功にコミットしているので、無駄な気を使われると、本来提供できる価値が提供できなくなってしまい、それは私たちにとっても顧客にとっても大きな損失であり、とても悲しいことです。
私はそのスキルを身につけ、多くの方々と接してきて、その変化を見てきたので、自信を持ってそう言うことができます。
稀にBYARDというツールが魅力的すぎて、その興味関心でご契約をいただくこともありますが、ほとんどの場合は、顧客の業務に何かしらの課題があり、それを解決したいという思いからBYARDをご契約をいただいています。そして、それがチーム全体の課題であっても、最終的には導入推進者の個人の課題にも関連すると考えています。
私たちは、チームや会社の課題解決はもちろんのこと、その担当者が社内で最大限評価されるようにも働きかけも行います。やり過ぎかもしれませんが、直接BYARDに関わらないことでも相談して頂けると、何かしら貢献ができる場合もあると思ってます。パートナーとして我々のことを迎え入れてもらえると嬉しいです。
これからのCSチームの活動について
BYARDリリースから1年が経過し、さまざまなデータが取得できるようになってきました。これからは蓄積されたデータを活用して、CSの活動をさらに研究していきたいと考えています。まずは、CSMの最適な顧客対応数や活動に焦点を当てていきたいです。
また、コーポレートサイドについては多くの業務を理解してきましたし、bizサイド(セールス・マーケティング・CS)に関してもBYARDでの活用方法やメリットを確認できましたので、これからはQuick Winを目指して取り組んでいきます。同時に、ハイタッチからロータッチ施策にも展開していければと考えています。
いかがでしたでしょうか?
現時点ではまだまだの部分もありますし、CSとしてやりたいことはたくさんあります。CSMもまだ数人の組織ですし、人数が増えてくればCS Opsのポジションもオープンにしたいと考えています。少しでも興味があれば、カジュアルな面談からお話ができれば嬉しいです!