煙突の顔(白い怨霊 煙突に浮かぶ顔)【執筆のバックストーリー】
朗読BGM100回記念に、自分で話を書いてみよう……
2015年12月から始まった、毎月1回の執筆作品キッカケは、それだけだった。
これから、これまで書いてきた執筆作品について、作品が生まれた背景、書いていたときの思いなど、執筆のバックストーリーを書いていこうと思う。
まずは、記念すべき1作目、煙突の顔(製本化したときに、白い怨霊 煙突に浮かぶ顔にタイトル修正)
この作品の前に一度、ショートストーリーを書いたことがあったのだが、朗読して一時間以上の長編作品は、これは初めてだった。
2015年8月の段階で、Youtubeでやっている朗読BGMシリーズが100回に到達しようとしていた。
まさか、そんなに続けることになるとは思っていなかったので、せっかくここまできたのだから、何か特別感を出したい……ということで、ネットにある、他の朗読者も読んでいる作品じゃなく、自分の作品を書こうと考えたわけである。
しかし、現実は甘くなかった。
執筆は進めていたものの、今のように、物語の書き方を確立していなかったこともあり、途中で行き詰まり、100回目には間に合わなかった。
さらにいうと、100回記念作品として出そうとしていたのは、煙突の顔ではなく、2016年の2月に公開した、百物語の夜という作品だった。
しかたなく、別のものを100回記念として出したのだが、百物語の夜の執筆は、完全に止まってしまった。
書きたくても、止まっているところからエンディングまで、どうやって進めればいいか、どんな展開にすればいいか分からず、筆が進まなかったのだ。
当初の公開予定から、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月と過ぎていき、12月になった。年内最後の朗読BGMは、何とかこれを出したい……
しかし、強く思うだけでは、筆が進んでいかない。
やっぱり俺には無理なのか?
本は読んでいても、文章の書き方がうまいわけでもない、書いたこともない、それがいきなり長編作品なんて……
諦めかけ、じゃあせめて、自分が過去見たもので、怖かったものの話でも…… そう思ったとき、思い出した。
小学生のときに見て、トラウマになった心霊写真……
当時、学校では、心霊写真がたくさん載った本が流行っていた。
誰かが持ってきた本を回し読みしたり、借りて持って帰ったりした。
その中に、風呂場の煙突に浮かぶ顔、というものがあった。
死後界の心霊写真という本(ちなみに今、家にある)に載っていたもので、出版社に写真を送ってきた女性の手紙とともに、その写真は掲載されていた。
その女性は、ある日、自宅の風呂場の煙突に、不気味な笑みを浮かべる白い顔を見たという。そして、それが何なのか鑑定してもらうために、出版社に送ってきた、ということだった。
恐ろしいのは、その顔が出現してから、家族や親戚が次々と謎の死を遂げたいうことと、煙突に浮かぶ顔は、肉眼でも見えていた、ということ。
小学生だったときに見たそれは、トラウマになった。
そのことを思い出し、物語として仕上げたのが、
『煙突の顔』
という話である。
今見返すと、よくこんな設定で書けたな……
と思うほど、設定が雑なのだが、結果的に先に仕上がってしまったこの話を、年末最後の話として公開した。
どんな話か、簡単に説明すると……
主人公とその友人が、雨宿りで入った廃屋で煙突の顔に見られてしまい、呪われ、その呪いを解くために奔走する、という話である。
登場人物の設定と話の流れ、両方合わせてもA4の紙一枚で隙間ができるぐらいの量で、よくこれで話が書けたなと、自分でも思うが、とにかく、そうやって出来上がったのが煙突の顔である。
主人公と友人に降りかかる理不尽な呪いは、怖いと思うが、後の私の作品がそうであるように、この話もまた、ただ怖いだけではない。
興味が湧いたなら、ぜひ聞いてみてほしい。
ちなみに、動画公開時に書いた設定では、登場人物は、A、B、C、Dとなっていたが、書籍化したときは、登場人物に名前をつけ、設定も詳細にして、
朗読したときは明かされなかった……というかそこまで考えてなかった……部分を追加した。
動画で聞いてみて気になったら、書籍のほうも見てみてほしい。
※書籍版はタイトルが「白い怨霊 煙突に浮かぶ顔」となっている。
煙突の顔【動画(オーディオ小説)】
白い怨霊 煙突に浮かぶ顔(製本版)