オメガングのパレードに行ってきた
昨夜はブリュッセルのお祭り「オメガング」の最終日ということで、パレード見物に行ってきました。本来は毎年行われるのですが、例のウィルスの影響で一昨年・昨年は中止だったので、久しぶりの開催です。
このお祭りは、神聖ローマ帝国皇帝カール5世がブリュッセルに入城した際の歓迎セレモニーの再現をメインに、ブリュッセルの歴史を表現する一大歴史絵巻です。午後8時半にパレードの出発点となる王宮前の公園に来ると、中世のコスチュームを身にまとった人々が出発の準備をしているところでした。
午後8時40分ごろ、鼓笛隊の演奏が始まり、パレードが出発します。様々な中世の衣装は見どころのひとつで、少人数のグループごとに衣装が違っているので、何枚も写真を撮ってしまいます。
パレードは公園を出た後、大きな教会のあるサブロン広場を経由して、旧市街地を練り歩きます。実はこのサブロン広場には大きな教会があり、そこがブリュッセル・オメガングの発祥地だとされています。
14世紀半ば、一人の少女が夢枕に立った聖母のお告げを聞き、アントワープの大聖堂(「フランダースの犬」の大聖堂)にあった聖母像を盗んできて、ブリュッセルのサブロン教会に安置したところ、様々な御利益があったそうです。それで人々が喜び敬って、聖母像を担いで教会の周りを巡ったことがオメガングという行事の始まりだそうで、これはカール5世の入城セレモニー以上に大切な伝統行事なのです(ちなみに、聖像や聖遺物を他所の教会から盗んでくるというのは中世ではよくあったことなので、現代のこの行事についてアントワープからクレームが入ることはありません)。
だから、王宮前から出発するパレードと同時進行で、サブロン教会の前では別のグループが当時の様子を再現する行事を行っています。そして、サブロン広場で両者が合流して、さらに大きなパレードとなって旧市街を練り歩くわけです。
今回は王宮前のパレードの出発を見ていたので、サブロン教会前のセレモニーは見られませんでしたが、数年前まではサブロン近辺に住んでいたので、よく目にしたものです。
というわけで、多くの見物人はパレードを追いかけるようにサブロン広場の方へ向かっていきますが、私は先回りをして旧市街地へ向かう坂道でパレードを待ち受けることにしました。
こちらの坂道では、サブロン広場で合流したグループもパレードに交じっています。特にクロスボウの射手に扮したグループが目立ちます。
上記のサブロン教会は、中世にはクロスボウ射手のギルドの守護教会になっていて、聖母を担いで教会の周囲を回るという行事は彼らが始めたものです。そんなわけで、毎年クロスボウ射手に扮したグループはサブロン広場でセレモニーを行ってからパレードに合流するのです。
以前はサブロン広場がオメガングの祭りの中心地で、パレードもそこから出発していたのですが、5~6年前にお祭りに伴う催事のほとんどが王宮前の公園に移されてしまいました。でも、クロスボウ・ギルドのセレモニーだけはサブロン教会で行わないと意味がないので、このグループだけ別行動になったようです。
さて、こうして旧市街地を練り歩いたパレードは、最終的にグランプラスに向かいます。実はグランプラスには観覧席に囲まれたステージが用意されていて、グループごとに色々な演技を見せる歴史絵巻が展開されます。そこにはパレードにまったく参加しなかった人々も数多く登場し、見ごたえのあるショウなのですが、これを見るには前売りのチケットをゲットしなくてはなりません。いちおう無料で立ち見もできるんですが、ステージからは入退場のための通路をはさんで距離があるし、やはり演技はすべて観覧席に向かって行われるので、見え方に雲泥の差があります。
というわけで、来年はグランプラスのショウを見るべく、早めに情報をチェックして前売りチケットをゲットしようと今から意気込んでいますw