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アミアン大聖堂

ブーローニュ・スュル・メール滞在二日目は、強風はおさまったものの、朝から小雨の降る寒い日で、あまり街歩きをしたくなる天候ではありません。こういう日こそ屋内で過ごせる水族館に行くのが良いのでしょうが、チケットは事前にネットで購入してあり、混雑しそうな土日を避けて月曜日の朝イチ入場を指定したので、その日までは行けません。

というわけで、夫のたっての希望もあり、電車で片道1時間半の距離にあるアミアンまで足を延ばして、有名な大聖堂を見に行くことにしました。少し内陸に入ることになるし、電車で移動するうちに雨がやんでくれたら儲けもの…という期待もあったんですが、残念ながらアミアンも冷たい小雨の降る天気でした。
幸い…というべきか、大聖堂は鉄道駅からあまり遠くない場所にあります。堂内に入ってしまえば雨はしのげるので、傘をさして少し急ぎ足で歩いていきました。

アミアン大聖堂の正面ファサード
聖堂の内部。身廊から内陣を見た所。

この大聖堂の身廊の天井高は42メートル強あり、フランスで最も高いボールトなんだそうです。カメラを構えると、おのずと縦位置ばかりになってしまいます。身廊の中央に立って内陣の方向を見た感じでは、ステンドグラスの色彩は抑え気味で、聖堂内は全体的に青白く地味な印象です。でも正面ファサードのバラ窓は色鮮やかなのでは…と思って背後を振り返ってみたら…

正面ファサードの内側

これまたオルガンの解体修繕が進行中で、原寸大の写真がついたシートで全面が覆われていました。もちろんバラ窓の実物も見えません。この時期は、どこもかしこも夏のハイシーズンに向けて修理に余念がないのかしら。
ちなみにこのシートの写真で見る限り、正面のバラ窓もあんまり色がなくて地味な感じですが、実際はどうなんでしょうね。オルガンも実物が見られなくて残念でした。

これは翼廊の上部のステンドグラス。外が雨なので暗めですが、天気がよければ色も鮮やかそう。
内陣をとりまく周歩廊に儲けられたチャペルのステンドグラスは、それぞれに色鮮やかでした

さて、ステンドグラスを見上げながらひと通り堂内を巡った後、今度は床に目を向けてみると、身廊の中央部分が八角形のラビリンスになっていました。外側から黒いラインに従って進んでいき、中心にある福音書記者のパネルが終点です。

身廊の中央にあるラビリンス。スタート地点は写真手前左側(画角の外)です。
ラビリンスの終点

ラビリンスはよく「迷路」と訳されますが、これはラインに沿って歩いていけば確実に中心まで進んで行けます。途中で分かれ道があったり行き止まりがあったりして迷うなんてことはありません。ただ、中心に到達するのに相当な距離を歩くことになり、簡単にはたどり着けません。私も歩いてみましたが、5分弱ぐらいかかりました。本来はひざまずいて進んで行くものらしいので、もっと時間がかかるでしょうね。

側廊には、ルルドの聖母像とか竪琴を弾くダビデ王の像とか、色々な聖人の像が置かれていましたが、特に印象に残ったのはこちら↓

ジャンヌ・ダルクの像です。映画などでは激しい戦闘に身を投じるイメージが強いですが、これはとても静かでキレイなお顔をしていました。

かなり長居して堂内をゆっくり見て回った後は、外に出て周囲を少し散策しました。まず目についたのは、聖堂の真向かいにある古い建物。扉の横に下がっている看板には「巡礼者の家」と書いてあります。ここはサンチアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路にもなっていたそうで、かつては巡礼宿だった建物らしいです。

聖堂の向かい側にある巡礼宿の建物。今はお医者さんが入居しているようです。
大聖堂の南側にあたるエリア。運河が流れています。
運河にかかる橋から。周囲の家々の屋根ごしに見ると、大聖堂の大きさがよく分かって圧巻です。

このエリアには運河も多く、天気が良ければ運河巡りの船なんかにも乗ってみたかったのですが、何しろこの日は雨が降っている上に寒かったので、運河沿いの道をちょっと散策しただけで、ブーローニュ・スュル・メールの宿に帰ることにしました。
アミアンには他にも、『海底二万里』などで知られる作家のジュール・ヴェルヌが住んだ家などがあるらしいのですが、街歩きには向かない天候だったのは残念でした。もっとも、最大の目的だった大聖堂はゆっくりと堪能できたので、それなりに満足な一日ではありました。