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【人を魅了するリーダーとは……つい先日トミー・ドリーマーにあるお願いごとをした、その結末】
先日、二人のヨーロッパ人のレスラーからお願いごとをされた。
「5月に自腹で二人でアメリカへ行くので、トライアウトを受けさせてくれる大きな団体を紹介してくれないだろうか」
どちらもオレとは親しい間柄。友人からのこういった依頼はコロナ以前にも頻繁にあったし、そのつど可能な限り引き受けてきた。しかし、コロナ以降では初めてのこと。もしかすると以前とはかなりアメリカの事情も変わっているかもしれない。そのことを説明したうえで、いくつかの大きな団体へコンタクトを始めた。それが3月上旬のこと。
彼らのうちのひとりは欧州タイトルを獲得したこともある。もうひとりは「巨人」といっても過言ではないほどの堂々たる体格を誇っている。それでも、アメリカのメジャークラス団体の敷居は途方もなく高い。それが世界の現実だ。
オレはとりあえず、アメリカの3つの大きな団体へコンタクトをした。それから10日ほどが経ち……
結果、ある団体は現在インディー系の選手は必要としていないとの回答。もうひとつの団体は「任せておけ」とブッカーから返事をもらったが、そのごいまに至るまでなしのつぶて。もうひとつの団体は代表が乗り気でうまくいきそうな気配があったが、ある日を境に突然連絡が途絶えてしまった。
なにも言ってこないのは、やはり間に合っているので今回は要らないという無言の意思表示である。それ以上でも以下でもなく、また何かあればお互い平然と連絡し合うし、そんなことで関係性が壊れることは決してなく、これまでもなかった。そういうものだ。なので、そんなことはこちらも気にはしていない。しかし、二人の友人をなんとかしてあげたかった。大きな団体はどうやら無理だとしても、どこかそこそこの団体か、小さな団体でも数多くブッキングしてあげられないものだろうか。そんなことを考えていると、ある男の顔が頭に浮かんだ。
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