6日目

ゲラ、エリス、アヤの3人は、イーリスタウンに向かって進んでいた。イーリスタウンには、精霊の力を引き出す特別な道具を作ることで有名な鍛冶師ティアが住んでいる。彼女に会って、ゲラたちの今後の冒険に必要なアイテムを依頼することが目的だ。しかし、道のりが思った以上に長く、お腹が空いたゲラはすっかり弱っていた。

「ねぇ、エリスー!もうお腹が空いて倒れそうなんだけど……」ゲラはお腹をさすりながら、少しうつむいて歩いていた。

エリスは地図を片手に、「あと少しでイーリスタウンよ。鍛冶師ティアさんに会ったら、私たちが必要としている精霊の力を引き出す特別な道具を作ってもらえるわ。それまでは頑張りましょう。」と冷静に答える。

「うーん、分かってるけど、お腹が空いて力が出ないよー!」ゲラは頬を膨らませ、不満げにエリスを見つめた。

その様子を見たアヤは、バッグの中をゴソゴソと探し、「あ、これどうかな?」と優しく笑って、小さなふわふわした赤い果実を取り出した。

「おお、なんかかわいい!それ、食べられるの?」ゲラは目を輝かせ、アヤの手の果実を見つめた。

「うん、多分『マッシュベリー』だと思うんだけど……甘いって聞いたことがあるから……」アヤは少し不安げに答える。

「多分って……まあ、でも見た目はめっちゃかわいいし、可愛いものは美味しいよね!」ゲラは空腹に勝てず、果実を手に取ると勢いよくかじりついた。

しかし、次の瞬間――。

「うわっ!これ、しょっぱい!?しかも、ふわふわなのに中はシャキシャキ!?何これ、めっちゃ変な感じ!」ゲラは顔をしかめ、驚きながら果実を口から出した。

「えっ、しょっぱいの?おかしいな、甘いはずなんだけど……」アヤは困った顔をして果実を見つめる。

「それは『サラダベリー』ね。」エリスが果実を一瞥し、冷静に説明した。「見た目は『マッシュベリー』に似ているけど、味はまったく違うの。サラダのような食感としょっぱさが特徴よ。」

「サラダ!?果物なのにサラダってどういうこと!?」ゲラは泣きそうな顔をしながら、果実をそっと地面に置いた。「もう、かわいいだけじゃお腹は満たされないよ……」

アヤはしゅんとしながら、「ごめんなさい、見た目がかわいかったから、絶対美味しいと思ったのに……」と少し俯いた。

ゲラはその姿を見て、すぐにふっと笑い、「いやいや、全然気にしないで!可愛かったし、楽しかったよ!」と元気に返した。「でも次は一緒にもっと美味しいもの探そうね!」

アヤは顔を上げてほっとしたように笑い、「うん、次こそ美味しいものにしよう!」と頷いた。

エリスも軽く微笑みながら、「そうね、今度はちゃんと確認してから食べましょう。」と優しく続けた。

「よーし、じゃあ次こそ美味しいものに出会えるように頑張ろう!!」ゲラは元気に拳を突き上げ、再び歩き出した。

アヤも元気を取り戻し、3人は笑顔でイーリスタウンへ向かって進んだ。

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