ミュージカル『人間ども集まれ!』──2024年3月12日
・ミュージカル『人間ども集まれ!』のTwitterアカウントが、次の新人公演用のアカウントに変わってしまった。寂しいな。ツイート通知を入れていたおかげで気づけたのは良かった。
・あの日から1年か……見終わった後、おさまらない衝撃と興奮を抱えたまま座れる場所を探して原作を読み返しながら感想を書き殴ったのが懐かしい。私は、物凄く、物凄く好きでした。1年間何度もあの日を思い出していたし、今だってこうやってnoteを書いてしまうくらいには好きです。ずっと私の心に残り続けるはず。
・公演を観た時、私は20歳で周りに手塚治虫作品を知っている人(同級生はBJすら知らなかった)や、ましてや読んでる人なんて全然いなかったから、手塚作品を他人と共有しているという感覚だけで、嬉しかった。ただ、終わった後にあんなに素晴らしい舞台を共有できる相手が居ないことが寂しかった。2日間の公演で、一体何人があの舞台を観たのか分からないけれど、この世で数える程の人数しか観れてない舞台が段々とみんなの記憶から消えてしまうのが怖くて、寂しくて、私は1人でずっとミュージカル『人間ども集まれ!』をし続けていた(鍵垢でね)。
・また、今日1つミュージカル『人間ども集まれ!』に関するものが消えたのかと思うと、何故か異様に寂しいです。なんでこんなに寂しいのか自分でもよく分かってないけど、人間ども!に囚われているのが、この世で私1人だけになってしまったような感覚が寂しいのかもしれない。もう私の記憶の中にしかない作中で出てきた曲を、未だに口ずさんだりしているよ。
・自ら舞台を見に行くという経験は、この作品が初めてだったんだけど、圧倒されてしまった。11人で演じているのだけど、とてもそんな少ない人数とは思えないくらい迫力があってボリュームがあって凄かった。
・この舞台が決まってから、原作を買って読んだんだけど、私は原作『人間ども集まれ!』がかなり好きだったんですよ。有名な手塚作品って沢山あって、人間ども!は正直そこには含まれていないけれど、私の中ではTOP3に入るくらいに好きでした。だから、それが目の前で演じられているという事実にあまりにも圧倒されてしまって、見終わった後、「何処か座れる場所…」と彷徨い、座り、原作を読み返しながら感想を書くことになった。
・もう一度観たい。未だにあの日の舞台を反芻して余韻に浸っている。DVDにして発売して欲しい。CDでもいい。曲も凄く良かった。今からでもお願いします……
以下、公演後(2023年3月12日)に書いた感想のようなメモ書きです。
ミュージカル『人間ども集まれ!』
・開始直後と1番最後の全員が足並み揃えて、脚高く上げて腕振って歩くところ、原作で太平天国が1番初めに映る見開きページの無性人間の大量行進みたいで良かった。いきなり鳥肌たった。
・お腹見えてる役者さんの腹筋のバキバキでかっこよかった…
・天下太平、原作では小柄なのに役者さんは誰よりも背高くてびっくりした。ただ、表情とか喋り方が天下太平だったな…
・とにかく、リーチ大尉が好きすぎたので語りたい。原作でもリーチ大尉が大好きなんですが、舞台のリーチ大尉も美人で強そうで惚れそうだった。パープルのスーツも、大きな耳飾りも首飾りも、シルバーのヒールも全部全部リーチ大尉に似合ってたし、何よりも台詞と歌声が力強くて「わ…リーチ大尉が実在してる…本当にいる…」って感じだった。ヒールでぴょんぴょん跳ねるのすごい…体幹…あと、顔を照らす用のライトを天下太平に渡す時の表情が本当に良くてあそこ巻き戻して何度もみたい。
・天下太平の股間がライトで辺見和雄みたいに照らされるところおもしろかったな…
・木座神明、原作より胡散臭いキャラになっていて本気で嫌いになれたから大好きだった。私は正当な理由で嫌いになれるキャラが好き。
・リラが銃突きつけるシーンかっこよかった。震えた。
・スペルミウム…スペルマ…精子…
・リーチ大尉に命令されて精子搾り取る機械にいれられるシーン原作でもコミカルだけど、機械がないのにちゃんとコミカルで良かった。
・リーチ大尉と天下太平のまぐわいシーン、舞台ではリーチがお尻突き出す「突進!」の掛け声で表現されてたけど、お尻突き出してるリーチ大尉セクシーでキュートだったな…
・心臓の止まった赤ちゃんを、天下太平が振り回して蘇生させるシーン大好きなので再現されてて嬉しかった。
・無性人間の下半身、原作で「親のおれに似ても似つかないもんがくっついてるよ」って台詞があるので、人間と違う形の何かがついてるのかと思ってたんだけど、舞台のツルツルって設定の方が無性っぽいなって思った。
・太平、リラ、未来がかけおち(夜逃げ)するシーン、音楽も動きもどんどん大きくなっていって、突然リラが撃たれて静寂が訪れるの静と動がうますぎる…銃で撃たれた時の衝撃をスカーフの靡きで表現してるのも好きだった。倒れたリラを太平が抱き締めるシーン時が止まったみたいで素敵だった。ここも巻き戻して何度もみたい。
・太平が未来に命令するシーンで、モスキートーンみたいな耳に痛い音が流れていて良かった。
・九九九五四五二が、登場して叫んで息を切らすところ、今にも血を吐きそうな息遣いで、本当に苦しそうだった。演技が上手すぎる。
・二十兆六千億の精子が燃えてしまうところ、原作の「安らかに昇天せよ わが失いし妻 リラのふところへ」って台詞が好きなので、その台詞がなかったのは寂しかった。あんまり覚えてないけど、解放されて清々する~みたいな流れのままじゃあね~~~みたいな軽いノリだった気がする…思い出せない、永遠に記憶できる能力が欲しい。産まれたばかりの赤ちゃんを投げ捨てたり、原作の未来を侮辱されたら激高するシーンがなかったり、こっちの天下太平の方があまり自分の子どもに愛がなさそうなイメージ。(あると思うけど)
・裁判のシーンで、リーチ大尉が九九○四一五一が入っては枠を蹴っ飛ばすところ、迫力満点で良かった~~~
・処刑される前に九九〇四一五一が歌っていた「名前を呼ばれて初めて息をしていることに気づいた(うろ覚え)」って歌詞、辛すぎるよ…
・リーチ大尉が下剤飲んじゃって呻いてるところ、天下太平の台詞とリーチ大尉の呻き声の掛け合いがリズミカルで良かった。
・ばー"ぱいぱにあ"雰囲気めっちゃくちゃえっちで良かった。プラトニックラブなのに…
・リラの死亡シーン、九九○四一五一の処刑シーンどちらも赤い布を被せる演出で、死者=赤い布のイメージが確立してるので、未来が黒滝英二郎に赤い布を持って迫ってくるシーンで、あ"~~~殺されるってなるの最高。銃やナイフなしで殺人を表現できるんだ。その後の、真っ赤なライトで照らされた未来がひたすら手を洗い続けるところも良かった。
・未来が、裏切り者の子を床に倒して銃を押し付けるシーン、私はこういうシーンが本当に好き。
・袁大人のシーン、クラブみたいで見てて楽しかった。役者さん11人しかいないから兼役なんだろうけど、リラと大伴黒主と木座神明がノリノリで踊っているみたいで、ちょっとおもしろかった。
・ミンミン本当にかわいい。
・ミンミンと太平が最後に、薄いベールみたいなものに包まれて、両手で頬を包んでキスするシーン、私ここで泣きそうでした。どこか1箇所だけもう一度見ていいならこのシーンがみたい。
・花火の明かりで海が明るくなってしまうところで、真っ青な照明で照らされながら上を向いて苦しそうに叫ぶミンミン本当に見ていて辛かった。倒れる演技も苦しそうだったな…
・未来が殺す殺す殺すと歌っていたのに、突然僕は何者なのと子どもみたいな声で語りかけるシーン、ここも静と動の使い方が上手い…ってなった。
・大伴(だったかな)がスマホ使ってたり、一人カラオケとかレッドブルとか、動画配信(?)とか、現代のものが普通に出てくるのおもしろかったな、時代設定いつなんだろう…(作中で言ってたらごめんなさい)
・自分のメンツを守るためになんとしてでも叛乱をショーの1部にしたい木座神明、醜くて良かった。
・ロバとラバのくだり、未来の気迫が凄くて圧倒された。大声出すだけでも大変なのに、そんな中演技できるの凄いな…
・未来と大伴、お坊さんと太平が話しているシーン、別の場所にいるのに台詞が上手いこと交差するようになってておもしろかった。
・お坊さんが空中に持ち上げられて運ばれるところ、あの体勢でキープできるお坊さんの体幹エグすぎる
・リラ強い女ってイメージが強いんだけど、死んだリラが天下太平に語りかけるところの歌声は透き通っていて優しくて浄化されるみたいで良かったな…
・最後「人間ども集まれ」って歌いながら盛り上がりに盛り上がって、突然真っ暗になって終わるのめちゃくちゃ好きでした。静と動。
演技の迫力が凄くて、歌声は芯があって強くてかっこよくて、本当に生で目の前で見れてよかった。小さなステージで、たった1時間45分で、たった11人で表現してるとは思えないくらい大迫力で感動した。素敵な舞台をありがとうございました。
あと以下は、追記というか公演4ヶ月後(2023年7月9日)に書いたものです。
・ラブシーンがそういうシーンだとしっかりこちらに伝わっているの、実は物凄いことなのでは?と思い始めた。舞台上で、役者が服を脱いでるわけでも、行為に及んでいるような動きをしているわけでもないし、ましてやキスの動きすらないのに、役者さんの、息遣いや雰囲気だけでこちらにそうだと伝わってるのエグイなと。
・同時に、それだけで意味を感じ取れる人間の共感力?理解力?も凄いような気がしてきた。思い返すと、人間ども!は全体的に観客の共感力を試してきているような作品だったかも知れない(というか、私の知識がないだけで舞台ってみんなそういうものな気がするな)。
・人が死ぬということを赤い布だけで表現していたのも本当に感動した。それだけで伝わるって凄くないか?最初に述べたラブシーンで、女が男の顔に赤い布をかけるのだけど、本当に何も直接的なことはしていないのに、「女であることを利用して体を繋げ、相手が油断している隙に殺した。」と分かるのやっぱりとんでもない事のような気がしてきた。舞台ってすごい。
・正直、人間ども!絵柄が好きなわけでも、ストーリーが抜群におもしろいわけでも、知名度がある訳でもないのに(実際舞台のチケット当日まで売り切れなかった)、何故か私は物凄く好きで、一生擦ってる。この世でここまで人間ども!の舞台を引きずってるの私だけなのでは?という気分になる。