感想:千駄ヶ谷イタリアン Convivio
こんにちは。3月4月は色々あってレストランには行かなかったのですが、今月からまた行こうかと思っています。今回はゴ・エ・ミヨで見つけたコンヴィヴィオさんを訪問しました。評価は15/20、3トック。
※お店のホームページはこちら
東京メトロ北参道駅から徒歩5分ほど歩きます。外から見るとレストランがあるとはあまり分からないかもしれません。昼の店内は適度に日光が入りつつ、温かくて柔らかい雰囲気です。窓際に置かれていたうさぎの置物も可愛かったです。テーブルは4つ、中央には観葉植物。肩肘張らないリラックスした食事が楽しめます。
奥の小瓶に刺さっているのはゴマ入りグリッシーニ。見切れていますが右の四角い箱にはおしぼり。レモン・オレンジ・ローズマリーをブレンドしているそうで、とても良い香り。
以下コース内容の紹介とそれぞれのお料理の感想に移ります。
コース構成
1皿目:アミューズ
2皿豆:前菜
3皿目:コンヴィバーガー
4皿目:パスタ
5皿目:魚料理
6皿目;肉料理
7皿目:ラザーニャ
8皿目:デザート、お茶菓子
+パン2種
お値段はサービス料・消費税(共に10%)抜きで¥12000。
1品目:アミューズ盛り合わせ
まずアミューズたち。入りきらなかったので2つに分けました。手前はガスパチョ、右奥に黒いお米を使ったチップス・カポナータ・ディル。丸台の右上から反時計回りにメヒカリの素揚げ、ツナとトマト風味のリゾットにあられをまぶしたアランチーニ(ライスコロッケ)、蛍烏賊とサルサヴェルデ、アップルバルサミコ酢でマリネした苺・クリームチーズ・山椒とチーズのビスケット。
続けて左からチーズとアーモンドのオーブン焼き、ボローニャ伝統のソーセージであるモルタデッラ、カンパリという苦味のあるリキュールに漬けた冬瓜。
それぞれに良いお味がありましたが、あえて感想を言うとすればガスパチョとチップスですね。一般的なガスパチョはトマトの他にニンニクやきゅうり、パプリカなどが混ざっているという認識でしたが、これはトマトのフレッシュ感を凄く感じました。それ以外はほとんど見つからなかった。レシピは聞いていませんが、いずれにせよ暖かい日にさっぱりとしたスープは美味しかったです。
チップは少し熱が残っていて、冷たいカポナータとの対比が良かった。そこにディルの爽やかな香り。ディルの香り好きです。こういう温かくてカリッとした食感のあるフィンガーフードはそれだけで満足感あります。心地よい感触の土台、ジュワッと旨みのある具材、香り要因の組み合わせは素晴らしい。
2品目:前菜
昆布締めし皮目を炙った鰆、下にキャベツのピューレとフェンネルシードを効かせたキャベツのマリネ、フレッシュトマト、上にはわさび菜。
お魚は皮目の香ばしさもあってシンプルにうまい。ところどころ入ってくる爽やかな香りが良いなーと思っていたのですが、説明を振り返ってみるとフェンネルシードだったとは。それ以外は想像した通りかなといった感じ。海をイメージしたという青いお皿がとても綺麗。
3品目:コンヴィバーガー
定番らしいミニバーガー。今回はチーズを含んだ衣で揚げた鶏肉、自家製オーロラソース、フレッシュトマト、塩麹を使ったバンズ。
意外性があって面白いです、ハンバーガー。ただ具材にイタリアンを感じるということはそれほどない。衣にチーズを入れるのは見たことがあるかも。具は季節によって変えているらしいので、他のバージョンも見てみたいです、
4品目:パスタ
シェフのスペシャリテであるカチョ・エ・ペペ。手打ちのタリアテッレ、ペコリーノ・トスカーノ。
パスタは手打ちならではの弾力。ニンニクなども入っていないとてもシンプルな構成です。ロマーノではなく、シェフの修行先トスカーナのチーズを使っていることも、このお料理のオリジナリティを作り出している要因の1つでしょう。
5品目:魚料理
甘鯛の鱗焼き、アスパラガスのソテー、香ばしくカリッと焼いた桜エビ。ソースは2種類、じゃがいものソースと白ワインのソース(ブールブラン?)。
今まで見てきた中だと甘鯛は甘みのあるソースと合わせられることが多いです。新玉ねぎのピューレ、蕪のピューレ、今回のジャガイモのソース。優しい甘さと適度なとろみが良く合います。もう1つの酸味のある白ワイン主体のソースは典型的な
魚のソースでしょうか。アスパラガスの苦味も良いアクセント。ただ個人的には盛り付けがイマイチに感じました。特にアスパラが。棒状のまま交差させるやり方をたまに見ますが、薄くスライスしているのにはどのような意図があるのでしょうか。少し食べにくくもありました。
6品目:肉料理
炭火で焼いた牧草牛のヒレ肉。下にはグリーンピースのリゾット、ソースは赤ワインと発酵黒ニンニクを使ったソース、ローストしたラディッシュ。
グリーンピースのリゾットと聞いてあまり良い想像ができなかったのですが、チーズのコクが入っているので結構美味しかった。グリーンピースのプチプチ食感も残っていました。おそらく何かしらのブロードも使っていると思いますが、この素材でもしっかりした旨味が出るのですね。凄いです。
7品目:ラザーニャ
こちらのラザーニャも定番のよう。北海道産ホタテのラグーソース、ケイパー。自家製のベシャメルソースと堺・やまつ辻田さんの一味唐辛子。
このお料理はとても美味しかった。肉ではなくホタテを使っているという斬新さがありつつ、これぞイタリア料理という安心感もあります。そういうお料理がコースの中にあるの良いですね、パスタ料理もそう。ホタテの風味がすごく出ていたし、ホワイトソースとの絡みも満足感があった。唐辛子も良いアクセントになっている。コースの最後に出されるアツアツのお料理が心身ともに温めてくれます。
8品目:デザート
パッションフルーツのスープを敷き、上にパンナコッタ、甘夏、パッションフルーツ。最後に上からココナッツパウダー。
パッションフルーツと甘夏の酸味とパンナコッタ、ココナッツの優しい甘さでさっぱり食べれました。
お茶菓子。手前からペルー産アマゾンカカオの生チョコ、アペロール(オレンジ風味のリキュール)のゼリー、バタフライピーのパウダーをまぶしたボールクッキー。お茶は佐賀で取れたもの。銘柄はメモし忘れてしまいました。
まとめの感想
全体的な感想としては味が丸かったと思います。素材の構成にしても味付けにしても変な尖りがない感じ。ホッとするお料理ですね。シェフが食前・食後にテーブルまで挨拶に来てくださるのも好印象です。シェフ、ソムリエさん、キッチンスタッフ全員がサーブも担当しています。お店と客の心理的な距離が近く感じられる素晴らしいお店づくりだと思います。
今回はディナータイムと共通のコースを選びましたが、飲み物代が入らなくても¥14520。若干高いかなーという印象。ただ明らかに不釣り合いということではない。お店のカラーを考えると、気のおけない人と食事をする場合に適しているかもしれません。私はこれまで基本的に1人で食事に行っています。ですから夫婦で、もしくは恋人と(勿論会食等でも)、という方達とは全く食事の状況が違う訳です。なのでここからは推測になりますが、人と一緒に食事をすることは、当然味の感じ方に大きな変化を与えるでしょう。しかしお料理やお店の雰囲気も同様に人の関係性に影響を与える可能性を持っています。convivioさんはリストランテとしての空間・雰囲気を演出しつつも、同伴者とのコミュニケーションを特別感のあるものではなく、むしろ生活の延長線上にある日常的なものに感じさせ、より自然体でお料理を楽しませる(あくまでそのように思える)点で、特徴的なお店だと感じました。
今回は以上です。ここまで読んでくださった方がいらっしゃれば、感謝します。