瞑想
目を瞑ると視界から何も刺激を受けなくなる。
感じるのは自分の鼓動と生温い風。そして遠くから聞こえる微かな音だけ。
鳥の鳴き声に風で揺らぐ葉の音。
それらを肌で、耳で感じて何かを思い浮かべた。
頭をよぎる色鮮やかな記憶。
私の記憶は定かではない。
忘れてしまいたい記憶。忘れちゃいけない記憶。
考えているうちに涙が溢れてしまう。
目の縁が熱くなっていくのを感じてもやはり目の前は真っ暗。
自分が泣いているのかすらも定かではない。
頬を流れる涙はやがて乾いてしまう。
乾かしたい涙。乾かしちゃいけない涙。
ただ一つ確かなのは私の鼓動は確かに動いているということ。