【ひとりメーカーの壁】を突破するために行ったこと。
バタフライボードの福島です。
ようやくバタフライボード社の第9弾新製品の量産準備が整い、【3/7(火)】からクラウドファンディングを開始しました。
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バタフライボード社は2015年の初代バタフライボードから8年、ひとりメーカーとして年1ペースで製品を世に出してきましたが、第9弾新製品を開発するにあたり、これまでにない生みの苦しみを感じた開発でした。今思えばこれが「ひとりメーカーの壁」だったのかもしれません。
■「ひとりメーカーの壁」を感じた要因
「原材料費の断続的な高騰」「小ロット生産の継続性」「後継者不足による加工技術の制約」など、社会情勢の変化によるモノづくりの環境は大きく変わり始めています。この変化に対応すべく日々頭を抱えながら開発を行うことによって、これまでのワクワクしながら「趣味の延長の開発」が、極度な重圧を感じながら「仕事としての開発」になっていったことで、WOWなアイデアに出会うことができずスランプに陥ったように思います。
もちろん日々「いいものをつくる」という高い意識で開発している本人は、自身の気持ちの変化には気づかなかったのですが、「最近楽しくなさそう」という家族の一言でハッとさせられました。最初はその変化を認めたくなく楽しそうにふるまう事を試みたのですが、やはり生活と仕事場が同じである以上認めざるを得ませんでした。。。
今思えば、これが「開発モチベーションを継続する」ことが難しい「ひとりメーカーならではの壁」だったのかもしれません。
■ アイデアスランプを脱するのために行ったこと
① 熱中できる趣味に没頭する
これまでのワクワクする開発を取り戻すためには何が必要か?という問いを自問自答しながら行き着いたのは、初心に帰る意味を込めて「副業時代の環境」に近づけることでした。本業時は副業を忘れ、副業時は本業を忘れるという「仕事を忘れる時間」があったからこそ気持ちの切り替えができていたことを思い出し、強制的に仕事を忘れることを試みました。これまでも頭ではわかっていたものの実現できなかったことですが、熱中できるテニスというスポーツに出会い、ストイックにレベルアップを試みることで無心になれることができました。
「Youtubeを見ながら素振り」と、それをスクールで試すを繰り返し、1年で中級レベル到達という高い目標に向かいトップダウンで実行しました。現在は初中級まで進級したものの、12月に入り「手首の捻挫」。。。目標は断たれましたが、大会に出たり、新たなコミュニティーができたりと、完全に仕事を忘れる時間ができました。
② 協業を行う
偶然ではありますが、これまでのバタフライボード社の活動を知って頂き、協業を進めることになりました。現在も継続中ですが、自分の持っている経験やアイデアを共有しながらチームメンバーと意見をぶつけ合い、知恵を絞る活動は、今の自分にとってはすごく刺激的で、日々新たな目線が加わっていく感じがします。ひとりメーカーであるが故の孤独感から解放される時間ができました。
こちらは、共有できるタイミングがきましたらご報告をさせて頂きます。
③ デジタル情報を絞り、フィジカル情報をとりにいく
何気ない一言に「宝」は眠っている。
ひとりメーカーという仕事は多岐にわたる業務をこなす必要があります。故にすべてにおいて無駄を削ぎ落としデジタル化による効率重視で仕事を進めていました。そして、コロナの影響で効率化がさらに加速したことで、オフラインで人と話す機会が激減し情報の偏りが顕著になったことに気付きました。そこでこの1年は、これまでにお付き合い頂いた工場の方々に直接会いに行ったり、オフラインイベントへ参加したり、積極的に人に会って話す時間を増やすことを心がけました。振り返ると、何気ない会話から生まれる「ヒント」が、自分では考えつかないアイデアに昇華し、今回の新製品にも反映させることができました。
+α 「朝ドラ」起点のルーチン化
ひとりメーカーは時間の使い方が自由なので、オンとオフの切り替え(ギアシフトのタイミング)が超難しいです。そこで、2021年から「朝ドラ」が始まる朝8時までをローギアで行う定常業務、終了後からトップギアで行うクリエイティブワークというルーチン化ができるようになりました。最初はルーチン化のために見始めたのですが、見れば見るほど奥が深く自身の心に潤いを与えてくれる存在になりました。
2021年前期:おかえりモネ
2021年後期:カムカムエヴリバディ
2022年前期:ちむどんどん
2022年後期:舞いあがれ! ←今ココ
■「アイデアスランプを脱する行動」の効果
「完全に仕事を忘れる時間」「孤独感から解放される時間」「人に会って話す時間」をつくりだしたことで、心も体も変わり始めて、これまでにない発想が生まれたように感じます。
ちなみにストイックすぎるテニスにより、体脂肪率が18%→9%に半減し、逆メタボ現象になりました。。。
① 自分自身を客観視できる(思い込みの解放)
プロダクトに込める想いが強すぎるが故に、改善することがすべて正しいと思い込んでしまう事が多々あります。これを完全に仕事を忘れる時間をつくる事で、第2の自分の判断に委ねることができるようになりました。
② 急がば回れを実行できる(考え過ぎの解放)
孤独であることの弊害は、ひとつのことを「深く考え過ぎる」ことです。これをパラレルに別の仕事をすることで「考え過ぎ」が強制的にできなくなり、考え過ぎない別視点のアプローチを試みる機会が増えました。
③ 食事やお酒がおいしく感じる(ストレスの解放)
四六時中仕事が頭から離れらないと心も体もダメにする。これまで多くの方に言われていたことですが、実際は簡単ではなく変えられない状況が長く続きました。しかし、「これまでにない自分を変える強い意志」が趣味や協業の機会を引き寄せて、人間本来の五感が回復したように思います。
ということで、「ひとりメーカーの壁」を突破できたかどうかは、第9弾新製品を世に出して分かることですが、少なからず自らの心も体も大きな変化を起こして開発を行った1年でした。
■ 第9弾新製品でチャレンジしたこと
① フィードバックを反映させた、WOWなアイデア実装
お蔭様でプロダクトを世に出すことでたくさんのフィードバックを頂けるようになりました。やはりバタフライボード社の原点は、このフィードバックを反映させながらバタフライボード的なWOWをどう実装するかが肝だと思っています。今回は革新的な機能性をミニマルなデザインの中に閉じ込めるをテーマに開発を行いました。
② 国際特許出願を行った、マグネット技術の進化
既に昨年国内出願した「クリップ構造の発明」に、新たなアイデアを追加して「国際特許出願」を行いました。特許化されなければ水の泡となってしまう大きなギャンブルです。。。
③ 原材料費の高騰にも負けない、新たな生産方法
原材料費の高騰は簡単に解決できる問題ではありません。しかし、部品点数を減らしながら生産効率を上げることができればという想いで開発を行ってきました。もちろん、単なるコストダウンではなく、新たな価値を生むことが大前提です。
法人化してから人生の「余白」をすべて仕事につぎ込んできました。その弊害が5年の歳月を経て「最近楽しくなさそう」という家族からの指摘に繋がったと思います。そして、この1年をかけて自分改造を行い「モノづくりができることの喜び」を感じながら開発した「WOWな第9弾新製品」に応援をよろしくお願いいたします。