日本の治安について思う事。
悲しい事件が起こりました。安倍元首相が銃撃によりお亡くなりになりました。こんなことが日本で起こるなんて。例え今回使われた銃が犯人の手製の物とはいえ、銃を使っての事件が日本国内、しかも公衆の面前で起きたのです。
私がアメリカに留学をする時に多くの人に言われたのは、「アメリカは治安が悪く、銃社会で危険すぎる。本当に気を付けて!」という言葉。何度同じことを言われたか分かりません。そして私もアメリカは日本に比べたら遥かに危険な国だと、しっかりと肝に銘じて渡米したことを覚えています。
アメリカでは凝縮すると6年弱ほど過ごしましたが、確かに日本では想像できない事も何度かおきました。夜道を友達と歩いていたら車が横付けされ、数人のバットを手に持った男達に「時計をはずせ。持っている金を全部出せ。」と言われたり、いつも買い物に行くスーパーの駐車場で夜中に発砲事件があったり、寝ている時も犯罪者を追うヘリコプターが煌々と照らしたライトや騒音のせいで目が覚めたり。でも、用心深く怖がりな私は決して治安の悪い場所には行かず、どうにか無事にアメリカ生活を終えることが出来ました。
アラフィフの私の人生でたった6年間のアメリカ生活ではありましたが、アメリカで培った治安に対する用心深さと危険に対する感度だけはいまだにしっかりと体と心に沁みついているように思います。こんなに安全と言われる日本で何年も暮らしていても、どうしてもアメリカにいた頃の目線で日本の治安を見てしまいます。
例えば、小学校低学年の小さな子供が一人で電車に乗って学校に通ったり、一人で公園にいたりすると、「一人で大丈夫だろうか?親はどこにいるのだろうか?」と心配でなりません。アメリカでは小さな子供を例え自分の家の中ででも一人っきりにすることは法律で禁止されています。こんなに子供に関する事件が多々起きている日本なのに、どうして一人で行動をさせるのだろう?と不思議に思いますが、それが安全な国の日本の当たり前なのでしょう。
そして最近増えている「無人販売店」。お金を支払わずに商品を盗んでいったという事件をニュースで観るたびに、私は思わず「そりゃ、そうなるでしょうね。」と呟いてしまいます。無人販売店が通用する国は日本以外にあるのだろうか?とさえ思ってしまうのです。治安の良い日本。安心安全な日本。真面目な日本人。無人でもきちんとお金を払うのが当然の日本という国。それは本当に素晴らしい事だけれど、本当に商品を持って行った人だけを責められるのだろうか?と、いつも何となく違和感を持ってしまうのです。アメリカやその他の国では到底通用するビジネスの方法とは思えないからです。もちろん、これが普通に通用する日本を誇らしく思う気持ちもあります。
そして、今回の銃撃事件。海外ではなく、日本国内で起きた事件です。警備が不十分だったとかそういう話ではなく、実際に日本国内で銃を使って元首相を殺害しようとする人間が存在するという現実がそこにあるのだと知りました。本当に残念で悲しく、亡くなられたことに関しては日々辛さが増すばかりです。
日本の治安は確かに他国に比べたら格段に良いかもしれません。でも、それに頼り切る時代は残念ながら過ぎたように思います。自分の愛する家族や友人、そして自分自身を守る為にも、生活の中の安全を出来るだけ確保していけるように考えたいと思いました。
そして何より、大切な人との時間がどれほど不確実で貴重なものかを改めて感じています。1分先のことだって本当は誰も分からない。もしそれが人生というならば、どうやって生きていきたいのか?
安倍元総理大臣のご冥福を心よりお祈りいたします。