子供を留学させるか、させないか問題。
先にお伝えいたしますが、私は結婚もしていなければ子供もいません。20年以上前にアメリカ留学をし、その後も何度かアメリカで仕事をした事があるだけで今はもうずっと日本で暮らしてる。それでも私がアメリカ留学をしていたことを知っている何人かの子供を持つ人達が私に訊ねてくることがある。「アメリカの留学ってどうだった?子供を留学させても大丈夫かしら?」と。そして私の答えはいつだってこうだ。「う~~~~~ん。。。。。あーー、う~ん・・・・。」これまで何度となく留学や海外に行くことの素晴らしさ、英語学習についてなどnoteでも書いてきたけれど、この「子供を留学させるか、させないか問題」だけはいつだって「もちろん!留学はさせるべきよ!」とは簡単には言えないでいるのだ。
ここでいう「子供」というのは、大体13歳から18歳までの中学から高校の間の年齢のことを指しています。もし私がアメリカ留学へ自分の子供を送り出すことになったとしたら、一番の心配事はドラッグ問題。なぜなら私がアメリカの地を踏んでから、人がドラッグを使用するのを目の当たりにするまでたった1週間程だったから。あまりにもドラッグの存在が身近で、あの時のじんわりとした恐怖と不安感は今でも忘れられない。
私が留学をしたのは日本の短期大学を卒業してすぐの事。当時私は20才。まだインターネットも携帯電話も一般的ではない時代に、私は卒業したその月にアメリカへ向かった。留学をすると決めたのは高校1年生の時。夏休みの間カナダに3週間ホームステイをした時に私の心は決まった。理由は英語が聞き取れない、話せない自分の現実を知ったことと、やっぱり英語を話せる自分になるためには留学だ!!!と実感したから。アメリカの映画やドラマを観るたびに垣間見る文化や自由さ、そして楽しさに心底惹かれていたことも理由の一つだ。「私もあの国で英語をペラペラ話しながら生活してみたい!」とその日々を想像するだけでワクワクが止まらなかった。
親や友人、慣れ親しんだ環境からポンと抜け出し、アメリカと言う異国に降り立ち、言葉もうまく話せず国のシステムや文化もまだ理解できないという状況には誰だって怯んでしまうことだろう。それは経験を重ねた大人だって同じだと思う。私は20才だったけれど、まだまだ世の中のことなど分かっていないただの気楽で頼りない子供だった。それでも毎日、一歩ずつ一歩ずつアメリカの生活に慣れていった。まずは学校で英語を学び、ホームステイ先でアメリカ人達の生活を知り、買い物やレストランへ行っては言葉が通じずもどかしい思いや悔しい思いをして過ごす日々。カレッジに入学するための検定試験の為に毎日勉強を続け、カレッジに入学してからも卒業を目指して課題をこなす。そしてもちろん恋愛や友人関係で悩むことも増えていく。私はストレスで救急車で病院に運ばれたこともある。どんなに辛く、ホームシックで日本にいる家族に会いたくなってもすぐに会うことは不可能。今でこそ誰とでもスマホで顔を見ながら電話が出来る時代だけれど、アメリカと日本の絶対的な距離はそこに存在するのだ。
私は高校を卒業してからの留学には大賛成だ。日本も18歳を成人と認めるようになったし、大人としての一歩を海外で踏み出すには十分な年齢だと思う。しかし、中学を卒業したばかりの少年少女、または日本国内でもまだ精神的に危うい年齢の17歳以下の若者達。あぁ、心配だ・・・・。今は親同伴での海外留学も増えているのが、これはまた別の話だろう。親が側で見守ってくれる留学はきっと快適で安心で、ちょっと窮屈だろうと想像している。ただ、たった一人での海外留学はどうしても心配でならない。私が親なら、「犯罪に巻き込まれないだろうか?撃たれないだろうか?ドラッグにハマってしまわないだろうか?妊娠しないだろうか?病気にならないだろうか?本当に勉強するのだろうか?襲われないだろうか?」そして最後には「死なないだろうか?」とまで私なら思いあぐねてしまう事だろう。そしてもちろん留学には結構な費用もかかる。令和5年の今、円安とアメリカの物価上昇できっと想像以上に生活費や学費諸々がかかることだろう。自分の子供の留学は、経済的不安と精神的不安をもってしても遂行させるほどの価値が本当にあるのだろうか?と考える親御さんも多いことだと思う。
あくまで私の個人的な意見として言わせていただくと、中学1年生~高校3年生までの子供の留学は「反対」だ。あぁ、ごめんなさい。でもこれは日本の片隅にいるたった一人のアメリカ留学経験をしたおばさんの意見です。もちろん中学や高校から留学を開始すれば、きっと高校を卒業してから留学するより遥かに速く英語を話せる能力を獲得することだろう。その国の文化を体いっぱいに吸収し、きっと楽しいことだって山のように経験することだろう。若いうちの留学は利点だってきっとたくさんあるはずだ。だけれども。。。。。高校卒業してからだって十分間に合う。大学卒業してからだって大丈夫だ。その間、日本でしっかりと日本語で教育を受けてほしいと思っている。古い考えと言われたらそれまでだけれど、これが私の「子供を留学させるか、させないか問題」の今のところの答えだ。
以前もnoteで書いたけれど、まずしっかりと日本語を習得してほしい。中学や高校で留学した現地の学生たちは、日本語もあやふやで漢字もすっかり忘れている。「もう日本に帰るつもりはない」と言っていたけれど、それはそれでなんとも悲しい気持ちがしたものだ。そして、まだ若く様々なことに容易に影響を受けやすい年頃の子供たちは、ドラッグや犯罪に巻き込まれるリスクがきっと大人より高い。それも人生勉強だと言えばそうだけれど、親の目が届かず、何かあってもすぐに助けに行けない所にいるという現実。私は心配で眠れない・・・・。(私に子供はいないけれど・・・・。)
でももし自分の子供が夢と希望を胸に秘め、そしてキラキラした目で自分の未来のビジョンを語り出し、「お母さん、だから私は留学したい!」と言われたら、私はどうするだろう?例えば、これから日本の高校に進学するとばかり思っていた自分の15歳の娘が「アメリカの高校に進学したい!」と様々な留学パンフレットを私の前に並べだしたら、私はその時どんなことを考え、どんな行動をとるだろうか?きっと「NO!!!!」と言ってその話を終わらすことなどできないはずだ。(何度も言うが、私に子供はいない・・・。)私の意見としては、「中学1年生~高校3年生までの子供の留学は反対」だけれど、でも、それでももしあなたのお子さんが留学について話し始めたら耳を傾けてほしい。私はきっと子供と一緒に悩み、考え、結論を出していくのだと思う。
留学は素晴らしい人生の経験の一つだ。これだけは確実にお伝えできる。それを年齢を理由に取り上げることが最良の選択だとは言い切れない。親だけで決めることなく、お子さんと一緒に語り合ってほしい。きっとその時に出た答えが最良の答えであり、そこから新しい未来がまた始まるのだから。