「カプレーティ家とモンテッキ家」より「ああ、幾たびか」
“Oh! quante volte, oh quante”
「ああ、幾たびか」
Aria di Giulietta dall’Opera “I Capuleti e i Montecchi” di Bellini
ベッリーニ作曲オペラ「カプレーティ家とモンテッキ家」より
ジュリエッタのアリア
Eccomi in lieta vesta
私はここよ、幸せの衣装をまとって
Eccomi adorna... come vittima all’ara
ほら、美しく着飾って...まるで祭壇へのいけにえのように
Oh! almen potessi qual vittima cader
ああ、せめて私がその*いけにえであったなら
dell’ara al piede!
*祭壇から足元に落ちてしまう
O nuziali tede,
ああ、結婚の松明よ
abborrite cosi’, cosi’ fatali,
こんなにも宿命的で憎らしい、
siate, ah, siate per me faci ferali.
私にとって悲しいともし火だわ
Ardo... una vampa,
体がほてる... 炎が、
un foco tutta mi strugge.
火が私をじりじり苦しめる
Un refrigerio ai venti
風のさわやかなひとふきを
Io chiedo invano.
むなしくも私は求めている
Ove sei tu, Romeo?
どこにいるの?ロメオ
in qual terra t’aggiri?
どの土地をさまよっているの?
Dove, dove inviarti, dove, i miei sospiri?
どこへ、いったいどこへ送ればいいの?私のため息を
Oh! quante volte,
ああ、幾たび
oh! quante ti chiedo!
ああ、どれだけあなたを捜し求めたことでしょう
al ciel piangendo
天に向かって泣きながら
con quale ardor t’attendo,
どれだけ熱い思いであなたを待っていることか
e inganno il mio desir!
そして私の熱望をまぎらしたことか
Raggio del tuo sembiante,
あなたの面影の光が
ah! parmi il brillar del giorno:
ああ、私には日の光に思える
ah! l’aura che spira intorno
ああ、私のまわりに吹くそよ風が
mi sembra un tuo sospir.
あなたのため息に聞こえる
可憐なジュリエッタのけなげなアリア。
でも、前半のレチタティーヴォは劇的。
ウェディングドレスを着て、結婚の用意が整っている。
でも愛するロメオとではなく親の決めた相手との結婚。
私のため息をあなたへ送りたいのに、どこへ送ればいいかわからない。
アリアはひたすらベルカントを意識して、あえてドラマティックにしないように心がける。演劇、ミュージカル出身の私としては、ardorとかpiangereとかいう言葉がくるとどうしても情熱的になってしまう。
後半の「あなたの面影が日の光のように...」からは、前半の悲しげな表情から少し明るく変えてみる。
現実逃避して、夢の中に入り込んでしまっている感じ。
「私のまわりを吹くそよ風」は目もうつろに、ほんとに風を頬に感じているように。しかも、このそよ風はロメオのため息なのだから、彼のため息を頬に感じて幸せって感じが伝わるように。
前半の結婚衣裳や、松明、結婚式のマーチなど、現実的なものから、ため息がのっていくそよ風を感じて、徐々に夢の世界に逃避していく感じが表現しようと思いながら歌う。
音域的にもフレージング的にも歌いやすい曲で、これは私の十八番のなかでも一番お気に入り。
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