trip 2023 - 1
出発2日前に財布を落とす。数分後に気づいて戻ると、落ちたままの状態で残っている。帰って開いてみるとすべてのカード類が若干曲がっていた。数分のあいだに何かしらの乗り物に踏まれたもよう。もしかして、と適当なATMに入れてみると弾かれる。困った。海外に行くときは現地のATMでキャッシングをする派なのだけど、使えない可能性が高くなったので初めて渡航前に両替をした。手数料が入って約1ドル152円のレート。前回から約1.5倍の円安。おそろしい。
カメラ問題。事前にライブハウスやイベントの情報を調べていると、小規模の会場はルールの記載がないところもあるけれど、多くの会場はレンズ交換式のカメラ持ち込み不可。またバッグポリシーといって、持っていくバッグの大きさや形のルールも厳しくなった。スポーツ観戦などもおなじ。ミラーレスを持っていくことはあきらめて、中古のコンデジを買った。あとはほぼ特別な準備はなく、ただアミノ酸やサプリメント類が増えて、これまでより高くなった体のケアへの意識を思う。前週に行われたoso osoやOrigami Angelのジャパンツアーは念のため控えた。
渡航日。フライトは午後の便だったので焦るようなこともなく、普通に出発。隣が空席だったのでゆったりできた。飛行機は、人一倍体積のない体がメリットになる数少ない場面。一方で気温の低さに適さない体でもあって、上空の寒さにはトレントシェルと迷って選んだ中綿ジャケットが役立ってくれた。ほとんどの時間を寝て過ごしてサンフランシスコへ。
期限残り半年を切ったパスポートでの入国審査は、帰りのチケットの確認もなくHow longとWhyのふたつだけだった。ひとまずBARTという電車でダウンタウンへ向かう。初の西海岸。新鮮な空気と景色にわくわくしながら、中心地からすこし南のエリアで下車。降りた地点からかなりの坂を登って、到着したのはバーナルハイツパーク。2022年にリリースされたデスキャブのニューアルバム "Asphalt Meadows" のジャケット写真に使われた場所。今回の旅の始まりにふさわしい場所。
突き抜けるような晴れと丘から見晴らす街並みが、ようやく強い実感をくれる。平日の午後で人は多くなく、ジョギングをする人や犬を連れて散歩する人がいるくらいだったから、ゆっくり1時間くらい過ごした。遊ぼうよとたわむれてきた犬たちの中に柴犬がいて、連れていたおばさまが「この子、日本の名前からとってカミコっていうの。今日が誕生日!」と教えてくれた。ここはコミュニケーションの国。
そのあとは丘を下った街のマーケットを見たり、バスや電車で移動してジャイアンツの球場であるオラクルパークやピアのオットセイたちを見に行ったり、念願のIn-N-Out Burgerでハンバーガーを食べたり。簡単な観光が済むころには陽が落ちていた。最初のベニューRickshaw Stopへ急ぐ。
旅程のうち、前もってチケットを買っていたのはポスタル/デスキャブだけ。それ以外は直前の気分で行くつもりで、到着する日の予定も複数の選択肢があった。
09/28(木) Japanese Breakfast / 青葉市子 @ Disney Hall, LA
09/28(木) Hot Chip @ Hollywood Palladium, LA
09/28(木) Underworld @ Shrine Expo Hall, LA
09/28(木) Beth Orton @ Masonic Lodge, LA
09/28(木) Overmono @ Fonda Theatre, LA
09/28(木) Roosevelt @ Novo, LA
09/28(木) Local Natives / Chartreuse @ Fox Theater, SF
09/28(木) Wunderhorse @ Café du Nord, SF
09/28(木) Lauren Mayberry @ August Hall, SF
09/28(木) Oracle Sisters @ Rickshaw Stop, SF
09/28(木) ODESZA @ North Island Credit Union Amphitheatre, SD
1日目の時点でこの数。こんなメモが2週間分ある。
ギリギリまでサンディエゴのODESZAと迷いつつ、バーナルハイツを旅のスタートにしようと考えたこともあってサンフランシスコに決めた。選んだライブはOracle Sisters。
観光の移動中、バンドにタイムテーブルを問い合わせていた。その際、日本から来て旅の最初のライブなんだと伝えると、「はるばる日本から!?チケットはある?やってほしい曲ある?」と矢継ぎ早のレスポンス。まだチケットが買えることは調べていたので「当日券で行くよ!聴きたい曲はRBH!」と答えたのだけど、その後売り切れになったのかはたまた優しさか、「ソールドアウトしちゃったからゲストに入れておくよ!」となんとも予想外の展開に。
IDチェックを終えて入った会場は、こじんまりとしていながら(キャパ300くらい)、2階の観覧スペースにはいくつもソファーがあってカジュアルなラウンジにもなっている。過ごしやすい。サポートアクトのCornelia Murrから雰囲気は最高で、思い思いにわいわいとたのしむお客さんたちの姿を見て、これだよこれ!海外のベニュー!とひとり涙が出そうになっていた。
メインのOracle Sistersはいつの時代にいても愛されるような、タイムレスな魅力を持ったバンド。ゆったりと心地よい曲と美しいハーモニーを基調に、ときおり熱を帯びたパートも交えて満員のお客さんを夢中にさせていた。
時間の都合で最後まではいられなかったのでイベントの途中に感謝を伝えて、お礼とするには恐縮だけど、物販でレコードを購入してサインもしてもらった。すてきな思い出をほんとうにありがとうOracle Sisters。