美味しいに隠されていた秘密
この世界でとてつもなく美味しいものをわたしは知っている。
それがこちら。
フィンランドのお菓子会社、ファッツェル(Fazer)が出している商品のひとつ。
ゲイシャ(Geisha)と言います。
ピンクのパッケージが特徴のミルクチョコレート。
日本の芸者さんにインスピレーションを得て、この名前になったとか!!
(嬉しい!!!!!)
日本でも販売していることはしているのだけれど、本場フィンランドで購入するよりだいぶお高い。
なので頻繁には買えないところがまた愛おしい。
わたしがこのゲイシャと出会ったのは、フィンランドに行く前。
フィンランドのおすすめお土産◯選などの、インターネット上の記事で見かけた。
たくさん入っているから、ばらまき用にもおすすめですよーと書いてあったと思う。
人生初フィンランドということで、何のお土産を買って良いか分からず、とりあえずゲイシャを買うぞという意気込みだけはあった。
実際にフィンランドに到着すると、ゲイシャはスーパーで何食わぬ顔で販売されていた。SALEもされちゃってた。
お土産は実際に食べてから決める派、というパートナーいちごくんとわたしの意見が合致して、とりあえず1箱買った。
ホテルで食べてみると、なんのこっちゃ美味しすぎるではないか。
一粒食べ終えると次が食べたくなる。
そしてまた次に手が伸びるの繰り返し。
いちごくんが手を伸ばし、次にわたしが手を伸ばす。
たまに“あっ”て2人一緒に手を出してぶつかったりもした。
そんなゲイシャをもぐもぐしながら、いちごくんと人生初めてのフィンランド滞在について語った。ついでに白夜だって人生で初めて体験した。
その場で調べた「ヘルクリネン!」(フィンランド語で美味しいという意味)を、どんな発音かわからなかったけれど言い合った。楽しかった。
そんなことをしていると、あっという間に一箱空になりました。
(食べ過ぎ!!!!!)
あれから、もう間も無くで1年が経とうとしている。
たしかにゲイシャはすごく美味しかった。
また食べたい。食べた時の幸福感に浸りたい。
でも、何でこんなにゲイシャのことがずっと好きなんだろう。
美味しいミルクチョコレート。
それだけの理由で、忘れられなくなるものだろうか。
そういえば幼いころ、末っ子という地位を活用しまくって、わたしはなんでもかんでも独り占めしていた。
特にお菓子。
わたしが貰ったものは誰にも渡さない、あげない。というわがままっぷり。
「だってわたしのだもーん」って多分言っていた。
でも結局食べ過ぎに繋がり、飽きる。
これ、そんなに美味しくないかも。ってなる。
それが何のお菓子だったのか、どんな味だったのか今では全く覚えていない。
幼少期のわがままを思い出すと、独り占めしてたくさん食べた先にあるのがなんの中身のない、ただの飽き。
でもゲイシャは違かった。
分け合って笑いあって、思い出に浸って食べた。
その先にあるのが、1年経っても忘れられないくらい中身が詰まった美味しいなんだと思った。
もちろん、独り占めできるものならしたいと、末っ子のわたしの心のどこかでは思っているかもしれないけれど。
ゲイシャを独り占めしちゃったら、きっとまた中身のない飽きになってしまう。
わたしの好きなゲイシャには
大切な人とフィンランドに行った思い出。
フィンランドでけんかしちゃった思い出。
2人して美味しいって笑いあった思い出。
夜中まで語り合った思い出。
ゲイシャというシンプルなお菓子であることに変わりはないけれど、だけど、そこには2人にしか分からない、たくさんの思い出が詰まっている。
今、目の前にゲイシャがあっても、わたしは独り占めしない。
いちごくんがおうちに帰ってきたら、一緒に食べる。
独り占めしたゲイシャは、わたしの好きなゲイシャとは言えない。
分け合って美味しさを分かち合って、思い出を語り合って、それでこそわたしにとってとてつもなく美味しいゲイシャになる。
とてつもなく美味しいゲイシャに隠されていた秘密を、やっと暴くことができた!!!!
おしまい