母が教えてくれたこと

仏事普及協会のご法事では、故人さまを仏さまと拝むなかであらためて出遇い直すことを大切にしています。仏事普及協会では、ご法事とは故人さまのために私たちがしてあげるものではなく、私たちが故人さまからのプレゼントを受け取る機会だと考えています。

「私のための法事」では私たちは故人さまのことを想い出すために、仏事支援員がご法事の参加者から故人さまのことをお聞きするところから始まります。

 最近、私が参加したあるご法事のことです。70代の施主さまのお母さまの三十三回忌のご法事でした。
ご法事には施主さまと奥様、お子様、施主さまの姉が参列されていましたが、故人さまのことについてお話しをうかがっても、特に想い出すことはない、というご返事でした。

仏事支援員が、どんなことでもいいのでお話しくださいと水を向けてもなかなか出てきませんでした。その中で施主のお姉さまが子供時代ことならと、子供時代にお母さまにしていただいた料理のお話をしてくださいました。

そこで仏事支援員は、施主様に子供時代のことでもいいのでお母さまの想いではございませんか?とお尋ねしたところ、施主さまから

「私は子供のとき、お地蔵さんや仏像を見かけたら、必ず合掌しておかげさまです。有難うございますと言いなさいと母から教えていただいたことだけは憶えています」と仰ってくださいました。

 皆さんは33回忌を迎えたとして、故人さまのことをどのように想い出すことができるでしょうか。

最初は母のことで特に想い出すことはありません、と頑なに仰っていた方が仏事支援員と会話し、僧侶の読経・法話を通して、お母さまから合掌をすること、おかげさま、有難うございますということの大切さを教えていただいたことを想い出すことができました。この言葉は法事を通して故人さまからプレゼントをいただいたのだと思います。

皆様も「私のための法事」を通して、きっと胸の奥にある故人さまと出会うことができると思います。

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