お内仏に手を合わせる生活
浄土真宗は、お仏壇を「お内仏」と呼びます。お内仏はご自宅でご本尊を安置し、私たちが日常の中で手を合わせる大切な場所です。
2年ほど前のことですが、お寺と大変ご縁の深い方のご自宅に伺ってご法事を勤めさせていただきました。この方は、もともと浄土真宗の信仰が盛んな愛知県のご出身で伝統を重んじるご家族さんです。玄関でご挨拶をして、仏間へと案内されると大きなお内仏が荘厳されており、私は圧倒されたのを今でもよく覚えています。
毎朝、ご飯を炊いてお供えをし、仏様に手を合わせることを欠かさないとおっしゃっていました。このご家族にとっては、日常の中にお参りがあり、大切に受け継いでおられると感じました。
浄土真宗では亡き人の供養のためにお参りをするということはありません。
今生きている私たちが仏様からの教えを頂いて、この命に感謝をもって日々を過ごしていくために手を合わせて念仏を称えていく。
ここにお参りの意義があります。
「近しい親族で亡くなった人がいないから」「実家に仏壇があるから」といった理由で家の中で手を合わせる場所がないという方は、ぜひともお内仏を構えていただきたいです。なぜならば、一人一人に人生の課題があり、自分自身と向き合っていく必要があるからです。
2020年を振り返ると、新型コロナウイルスの流行により、誰もが病や死が身近に感じられたと思います。また、都市部から地方への帰省の方に対してやマスク警察・自粛警察のような差別偏見も同時に大きくニュースでも取り上げられました。今こそすべての人が、「人として生きる事」を見つめなおす時だと感じます。
前述のご家族のように、毎日仏様に手を合わせて、今日というこの時を大切に頂いていくことを私自身改めて大事にして参りたいです。また、多くの方にも毎日のお参りが根付いて、お互いが敬いあう社会になることを念じます。