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600字で綴る⑧「コーヒーで人生が変わる」

NHKの逆転人生という番組が面白い。今回私が観たのは、アジア人初のワールド・バリスタ・チャンピオン井崎英典氏の逆転劇であった。井崎英典氏は福岡で「ハニー珈琲」を営むコーヒー屋の父の下生まれた。今となっては日本各地で見られるカフェであるが、かつての日本では珈琲の人気は乏しく、借金を抱えながら店を続けている時期もあったという。コーヒー屋の父の下、スポーツに長けていた井崎氏は、推薦でバトミントンが盛んなスポーツ有名校に入学。しかしながら、そのレベルの高さから挫折。学校にも行かなくなり、ケンカや遊びに明け暮れる日々が続いた。そんな人生のどん底といえるほどの状態に追い込まれたとき、手を差し伸べたのは父であった。「コーヒーやらんか?」、そのひとことからバリスタとして一人前になることを決意。バリスタ選手権の世界チャンピオンを目指し、日々奮闘する。日本選手権で敗北、万全を期して臨んだ世界大会で予選敗退など悔しい経験をしながらも、「納得いくコーヒーをつくりたい」という思いの下、コスタリカに自らの足で赴いたり、コーヒーの過剰摂取で毎日履き続けるほどの修業を積んだりしたこともあった。その努力は遂に実を結び、バリスタ世界大会を優勝した。今では一年の200日以上を世界で過ごすほどの活躍である。井崎氏のコーヒーへの向き合い方から学べる重要なこと、それは「前にある一つ一つのことを『誰よりも』真剣にする」ことではないだろうか。妥協なくコーヒーに向き合うその姿勢を、私の生き方の指針にしたい、そう思った。

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