ひょうたん楽器とおでかけ
世界最大級のクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」
テーマは『ORIGINES(オリジン) ー すべてはここからはじまった』
打楽器ワークショップ ~民族楽器のオリジン“ひょうたん”~
出演:ヤヒロトモヒロ(講師、パーカッション)、宮田岳(ベース、ヴォーカル、etc.)、安田尚樹(コラ)
5月3日(金・祝) 11:30〜12:15
東京国際フォーラム 地下2階
ホールE キオスクステージ
ゴールデンウィーク恒例の東京・有楽町のイベントにて、「むらさきmusicラボ」のひょうたん楽器たちが大活躍をするという素敵な出来事がありましたので、ここにご報告をいたします。講師を務められた八尋知洋さんおよび出演者・関係者の皆様には厚く御礼申し上げます。
注:ラ・フォル・ジュルネ を以下LFJと省略して記させていただきます。
プロローグ
ひょうたんは、生活に役立つ道具であるとともに、楽器として世界中に広く応用されていて、さまざまな楽器になっているのですが、それは「笛」「木琴」「琴」など、バリエーションに富んでいます。
私の楽器道のテーマのひとつである「世界に広がるタンバリン族」たちは、そのほとんどが丸い形で手で叩くことが多いというおおまかな共通点があって、「打楽器」に属することが前提です。
「ひょうたん楽器」は、「打楽器」「吹奏楽器」「弦楽器」など、応用範囲が広い!
そして、それらの世界のひょうたん楽器たちは、それぞれが地域に根ざして発展発達していっているので、ガラパゴス化した進化を遂げているのです。
ひょうたん愛好家の皆さんやひょうたん楽器を製作する作家さんたち。そして、ひょうたん楽器を集めた音楽のアンサンブルをする方々など、ひょうたんを好きになるとさまざまな人と巡り会える喜びを感じている今日この頃です。
LFJにおでかけしたひょうたん楽器たち
ビリンバウ(Berimbau)
ブラジル発の「カポエイラ」で使用されるビリンバウは、伸縮性のあるビリンの木をその都度弓状にして弦を張るようです。
こちらの楽器は演奏専用のあらかじめ木がバイオリンのように形状が定まっているメーカー製品で、チューニング用のペグもあり、ひょうたんとの接合部分にもボルトと蝶ネジで固定することができます。
ビリンバウには、弓になっている本体、ひょうたんの他に、カシシ(振る楽器)と音程の表現を司る小石やコインなど手に持つものが多いので、固定してある部分があるこのタイプは大変、人気の楽器です。
「Berimbau」というタイトルの有名な曲もあります。日本国内でもさまざまなアーティストがカバーをしているので耳馴染みがあるかもしれません。
カリンバ kalimba
一般的には、このような「親指ピアノ」を広くカリンバと呼ぶのでここでも「カリンバ」と記させていただきます。「イリンバ」「ムビラ」など、「歌うこと」を語源としたような呼び方を地域、民族ごとに呼び分けていて、筆者の私見では、民族の部落で伝統にのっとって作られた楽器を日本で買おうとするととても高価だったり、繋がりのある人のみ所有を許されたりする感じ。「カリンバ」は、お店でもネットでも買えるし、今は親指で演奏することを想定した真ん中から音階が左右に広がるタイプから進化して、ピアノと同じように、左端からドレミの西洋音階にチューニングされているものもあります。
こちらの楽器は、アフリカ音階など少ない鍵盤を好きな音に自由にチューニングすることができます。
バラフォン Balafon
バラフォンは、西アフリカの木琴でひっくり返すとひとつひとつの鍵盤にそれぞれびっしりとひょうたんが添えられています。そして、そのひとつひとつにクモの卵膜がついていると教えていただきました。
少し、私の物語になりますが、28年間幼稚園でリトミックを教えていて、閉園後に同敷地内に小さな音楽研究所として「むらさきmusicラボ」を設立しました。幼稚園時代から、民族音楽の紹介の場として学校公演などを行なっていたので、アフリカン・ジェンベ、サンバ楽器の購入や修理でいつもお世話になっている西巣鴨の楽器店 マルメラアダ さんに新規音楽教室に必要なアイテムを相談させていただいたところ、私にとって全く未知の楽器である「バラフォン」を勧めていただいたのです。
ラボでのこどもたち、パパ、ママはもちろん。地域のお仕事で高齢者対象のワークショップでも、この「バラフォン」は大変喜ばれています。
私がこどもたち、普段は音楽に関わっていない人たちむけの長年の指導経験から閃いたとっておきのアイディアは、「バラフォン」の連弾です。
アフリカの音楽は「ポリリズム」(複合リズム)が醍醐味なのですが、なかなかひとりで右手と左手を異なる拍子やリズムで演奏するのは難しいので、だったらそれを2人で体験すると、聴いている人には、豊かなポリリズムがお届けできるというナイスなアイディアです。
毎月、4つの保育園をレギュラー巡回指導を継続しているのですが、そこでも「アフリカの音階」「ポリリズム」を伝えるときには、とっておきの工夫をしています。「アフリカのどこ」と限定せずに、「絵本の中のアフリカの風景」「ゾウさん、キリンさんのふるさと」でも良いのではないのか?と思っています。
バラフォンが運べない狭い現場では、インドネシアの「ジョゲットブンブン」を使用することもあります。木琴といえばこれ!音階はドレミだけ!という概念と離れると、自由で面白い音楽教育が湧き出ることをここの章の結びとしておきますね。
*************************
ラフォルジェルネ2024のこどもたちの音楽アトリエ 打楽器ワークショップ~民族楽器のオリジン“ひょうたん”~におでかけ(レンタル)したものはここまで。
シェケレ(shekele)
ラフォルジェルネ2024の上記イベントでは、私が八尋さんからオーダーを受けて編んだシェケレも演奏されました。ひょうたんは、八尋さんが「ガボン」で購入されたチューニング済みの楽器用のひょうたんです。演奏方法をご指定されて、細かい点を調整しながら編んだ華やかな演奏ができるシェケレです。八尋さんの所有物なので、こちらでの紹介は控えますが、いずれ八尋さんの媒体でお披露目報告があるかと思います。八尋さんにオーダーでシェケレを編んだのは、これで4つめになります。経験を積ませていただき、感謝しています。
***************
保育園におでかけしているひょうたん楽器たち
カシシ(Caxixi)
4つの保育園に毎月指導に伺っています。特にベビーなど、耳を大事にしたい時期、これから「聴く」活動をはじめるための細胞を増やしている段階のこどもたちには、カシシの音色はとてもやさしいのでおすすめです。
たくさんのカシシを持ち歩いていますが、その中で底がひょうたんのものを集めて記念写真をとりました。
カシシといえば エスペランサ 店頭でも売っていますが、まとめ買いなどは相談に応じてくれると思います。上記の国旗シリーズは、幼児に大変人気です。私が、楽器所有者として協力した小学館図鑑NEO音楽にも、所有してるエスペランサのカシシを収録していただきました。
もうすぐ夏休み!ひょうたん楽器も待ってるよ!
いろんな創作楽器たち
お手がけ用のスチールのトランクに、少しずつおでかけに集まってきたひょうたん楽器たち。
おまけ むらさきmusicラボでのひょうたん楽器活動
むらさきmusicラボは、「研究機関」と位置付けているので、メンバーには、プロパーカッショニスト、音大出身者もいれば、漫画家など他分野の大人の方もいますし、こどもだけで自主運営してる「クラブ」や、親子で楽しむ「アンサンブル」クラス、個人でピアノを習いにきている子もいます。
ひょうたん楽器だけではなく、ブラジルのサンバ楽器たち、アフリカのジェンベなど太鼓たちもたくさんありますが、それぞれのルーツを知り、リスペクトしつつ、自分たちでそのエッセンスを汲んだ創作活動ができれば嬉しいなと思っています。
あとがき
前項の「ひょうたん楽器とわたし」から引き続き、関連イベントにご協力させていただいたご縁があったので、続けて「ひょうたん楽器」について投稿させていただきました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
夏休みには、外部の講座で「ひょうたん楽器」ワークショップを2箇所で開催予定です。また、むらさきmusicラボ には、ビジター枠も設けますし、個別での貸切り用も承ります。
YouTubeのチャンネルにも、たくさんの手作り動画を紹介しておりますので、よかったら「いいね」をよろしくお願いいたします。