クリックできないMacBookの応急処置
古い MacBookを使っていると、突如トラックパッドでクリックができなくなることがあります。
具体的には、次のような事象です。
トラックパッドでカーソルは動くのに、クリックができない
マウスを接続すると、右クリックはできるのに左クリックできない
この状況に陥ると、回復はほぼ不可能なため、運用で回避するしかありません。
上記の状況に陥った方は、以下の方法で復旧するか確認してください。
Mac の SMC をリセットする
Mac で NVRAM をリセットする
これで回復しない場合、Time Machine で Mac をバックアップを取った上で、Mac の macOS をアップデートするといった方法も考えられますが、危険なため、お勧めしません。
なぜなら、(左)クリックできない状態で OSをアップデートしようとすると、決定といった選択の操作ができず、途中で中断することになり、元に戻せなくなる可能性があるからです。
それに、そもそも論として、クリックできない状態ではバックアップも OSアップデートの操作も困難でしょう。
特定のキーを組み合わせて押すだけで、通常ならマウスやトラックパッドなどの入力デバイスが必要な操作を実行できる場合もありますが、
まずは、キーボードを使い、最低限の操作をできるようにします。
option[⌥] + command[⌘] + F5 を押し、アクセシビリティショートカットパネルを表示します。
tab[⇥] を押し、動作の「マウスキー」に移動します。
(なお、shift[⇧] + tab[⇥] で前のコントロール戻ります。)スペースバー(スペースキー)を押し、「マウスキー」を選択します。
この時点でマウスキーが有効になっていますので、キーボードを使い、マウスの操作を代用することができます。
Macでキーボードをマウスのように使用する
キーボードの[I]又はテンキーの[5]を押すと、クリックしたことになります。
(なお、マウスキーを無効にしたい場合は、esc キーを押します。)
これで、マウスキーを使い、システム設定を変更できるようになりました。
続いて、マウスの左利き用の設定を変えましょう。
(現状、マウスで右クリックはできるのに左クリックできない状態なので、マウスの右のボタンを使い、左クリックを実行します。)
マウスが接続されていることを確認してください。
(注意:マウスが接続されていないと、「マウス」の設定ができません。)
アップルメニュー🍎 >「システム設定」と選択します。
検索窓に「mouse」等と入力し、enter キーを押してマウスのオプション画面を開きます。
新しい macOSのシステム設定画面では、マウスの設定はサイドバーにリストとして表示されます。(下にスクロールする必要がある場合があります。)
Macでは、右クリックは「副ボタンのクリック」又は「Controlを押しながらクリック」と呼ばれます。
「副ボタンのクリック」の右側にあるポップアップメニュー[↕︎]をクリックし、「左側をクリック」を選択します。
マウスのクリックボタンの左右が入れ替わり、右利き用だったものが左利き用になります。
つまり、「副ボタンのクリック」(通称:右クリック)がマウスの左ボタンをクリックすることで実行されるようになります。
同様に、これまでの(左)クリックは、マウスの右ボタンをクリックすることで実行されるようになります。
なお、古い macOSのマウス設定画面では、「主ボタン」(Primary mouse button)を「左」から「右」(Right)に変更することで、右利き用だったものが左利き用になります。
これで、マウスの右ボタンを使い、決定といった選択の操作(いわゆる(左)クリック)ができるようになったわけです。
つまり、マウスキーを使った操作をする必要がなくなりました。
esc キーを押し、マウスキーを無効にしましょう。
(マウスキーが有効のままだと、キーボードでの文字入力が制限されます。)
つぎに、マウスを左利き用に設定したことで、機能しなくなった「副ボタンのクリック」(通称:右クリック)の代用機能を設定しています。
Macでは、Controlを押しながら主ボタンを押すと、「副ボタンのクリック」が実行できます。
つまり、いわゆる「右クリック」をしたいときは、control + (左)クリックをすればいいわけですが、既にマウスを左利き用に変更したため、「副ボタンのクリック」を実行したいときは、control + 右クリックをすることになります。
このままでも使用に支障はないのですが、私は、トラックパットの設定をカスタマイズすることで、「右クリック」を行いたいと思います。
トラックパッドの「タップでクリック」の設定を変更しよう。
アップルメニュー🍎 >「システム設定」と選択します。
「トラックパッド」の設定画面から「タップでクリック」にチェック☑️を入れます。
すると、「副ボタンのクリック」のアクションが「2本指でクリック」から「2本指でクリックまたはタップ」に変わります。
これによって、トラックパッドを2本指でタップすると、「右クリック」になります。
トラックパッドがクリックができない状態に陥っても、「副ボタンのクリック」が実行できるわけです。
しかし、「タップでクリック」にチェック☑️が入っているにもかかわらず、1本指でタップしても、主ボタンのクリック(いわゆる(左)クリック)は、実行されません。
このように、以下の不具合事象が発生した場合でも、根本的な解決ではありませんが、応急処理にて Macの操作はできるようになります。
高額な修理費を支払うことをせず、このまま使い続けるのもありですが、根本的な解決を求めるなら、ハードウェア的な切り分けとソフトウェア的な切り分けを行うことが必要になります。
トラブルシューティングにおける「切り分け」とは、不具合箇所が発生している可能性のある部分(被疑箇所)を物理的または論理的に分割し、当該範囲の正常性を確認していくことで、問題を特定する作業を言います。
ハードウェア的な切り分けの例
購入後8年以上、経過したような古いノートパソコンは、バッテリーが劣化していることがほとんどで、ハマグリのように膨張していることもあります。MacBookの場合、バッテリーの上に TrackPadがあるため、バッテリー膨張が原因で TrackPadをクリックできなくなっている可能性もあります。
このような場合、バッテリーを交換することで TrackPadが復旧することもあります。
既に TrackPadが損傷している場合は、TrackPadを交換によって直ることもあります。
参考:Apple Diagnostics を使って Mac をテストする
ソフトウェア的な切り分けの例
使用している macOSに既知のバグがあった場合、最新の OSにアップグレードすることで、ソフトウェア不具合がなくなることがあります。
設定上の切り分けの例
コンピューターウイルスなどに感染していたり、設定ファイルが破損している場合、OSを再インストールで不具合事象がなくなることがあります。
参考:macOSを再インストールする方法
Mac をセーフモードで起動する
環境の切り分けの例
特定の場所や時間のみに発生する不具合事象は、環境を変えると発生しなくなることがあります。電源周り、通信トラフィック、常駐プログラムなどのスタータスを観察して問題の原因を確認します。
仕様の切り分けの例
そもそも事象は、不具合ではなく、予定された動作である可能性があります。仕様書・データシートを確認し、運用面でカバーするなどで問題を回避する方法があります。
恒久解決のヒント
なお、今回の記事は、応急措置をテーマにしましたが、恒久解決の方法として書いた記事もあります。ソフトウェアまたは設定上の不具合が原因の場合、こちらの方法で解決することがありますので、ご購読ください。
以上
著者 BUTACOは、Amazonアソシエイト・プログラム運営規約に基づき、Amazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得る者です。