りゅうけん考#8 「事実認定と証明力」
今回は、両立する事実について、述べたいと思います。
(りゅうけんさんの話は一体どこへ・・? ← イマココ)
前回のおさらいですが、ポテろんぐさんから私へのリプに対し、私は、以下の返信をしています。
もし、ギズモード・ジャパンの記事を読んでない方は本シリーズ6回目の記事からご覧ください。読みたくない人は、ギズモード・ジャパンの記事を紹介した以下のツイート画像で十分です。
記事のタイトルは、「暴動にも耐えたApple Storeのガラスはやっぱり硬い」となっています。
「暴動にも耐えたApple Storeのガラスは」という主部と、「やっぱり硬い」という述部の関係から、第2文型(SVC:「S は C だ」)の文だと分かります。ちなみに、S は主語、V は述語動詞(熟女同士?)、C は補語です。(アルファベットが何の略かは気になる方と、高校生は調べて下さい。)
第2文型は、S=C の関係が成り立ちます。
文を単純化すると「Apple Storeのガラスは、硬い。」です。
注意していただきたいのは、記事のタイトルが「Apple Storeのガラスは硬いから、暴動にも耐えた。」となっていないところです。
AだからBだという文は、因果関係を表します。
もし、ギズモード・ジャパンがこの記事で主張したいことが、「Apple Storeのガラスは、硬い。」という第2文型の関係(S=C)を説明するものであるなら、従前のタイトルのままで問題ありません。
しかし、AだからBだという因果関係を伝えるものであるなら、記事のタイトルは、「Apple Storeのガラスは硬いから、暴動にも耐えた。」とするのが適当と言えます。
では、実際の内容がどのようになっていたかと言うと、
ギズモード・ジャパンの記事は、「Apple Storeのガラスを割るのにてこずる様子」の動画を根拠として、「Apple Storeのガラスは硬い」という事実を摘示し、「1枚、数千万円と言われるApple Storeのガラスは、文字通り直営店を支えているだけでなく、セキュリティ面でも大きな役割を果たしています。」と主張をしています。(カギカッコ内の引用は、原文ママ)
上記要約のように、第2文型の関係(S=C)を説明するだけでなく、因果関係をも伝える内容となっていました。
シリーズ2回目で触れましたが、論理的な主張を展開する場合には、事実の摘示とその根拠が必要となります。
因果関係を伝えるこの記事にも、事実の摘示とその根拠が示されていました。
事実とは「Apple Storeのガラスは硬い」であり、
根拠とは「Apple Storeのガラスを割るのにてこずる様子の動画」です。
事実は根拠によって認定されるので、「Apple Storeのガラスを割るのにてこずる様子の動画」が「Apple Storeのガラスは硬い」という摘示された事実の真実性を証明する根拠となっていると言えます。
根拠によって認定された「Apple Storeのガラスは硬い」という事実から、「暴動にも耐えた。」という主張が成立するという建付けです。
論理構成としては問題はありません。
でも実は、ギズモード・ジャパンの記事が投稿されて8時間が経過した後に追加された記事には、「アップルストアが要塞化。黒人圧死抗議デモで窓が粉々…」とありました。
※画像をクリック or タップすると、リンク先に行きます。
新たに投稿された記事には、
ミネアポリス市警に膝で首を押さえつけられて窒息死した黒人男性を悼むデモの混乱に乗じ、全米各地のアップルストアにも略奪の暴徒が侵入。窓ガラスがハンマーやスパナで粉々に叩き割られて、中のものが片っ端から盗まれる被害が多発しています。(注:太字は筆者による)
とあり、「Apple Storeのガラスは硬い」という事実は、相反する新たな根拠によって、覆ってしまいました。
要は、相反する新たな根拠が、従前の根拠の証拠力(証明力、証拠価値)を失わせたということです。
事実は根拠によって認定される。
故に、「Apple Storeのガラスは硬い」という事実は、その真実性の証明に失敗したと言えます。
さて、事実と根拠について話しているうちに、また話が長くなってしまいましたね。
次回こそは、両立する事実についての話をしたいと思います。
(あれれ? やまもとりゅうけんさんの話はどこ行ったの・・??)
では!
豚子(本名)
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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