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ゴーン被告の主張に対する司法当局の弁明

【主張1】 嫌疑がないのに逮捕・起訴された。

日本の刑事手続では,検察官は,犯罪の嫌疑もないのに,自らの判断だけで逮捕することや,有罪とすることはできない仕組みになっています。
Q&A問2

当庁は,被告人ゴーンによる本件各犯行につき,適正に端緒を得て我が国の法に従って適法に捜査を進め,訴追に至ったものである。
2020年1月9日東京地検次席コメント

【主張2】 日産幹部と検察,日本政府関係者の陰謀による事件である。

日本の刑事手続では,検察官は,犯罪の嫌疑もないのに,自らの判断だけで逮捕することや,有罪とすることはできない仕組みになっています。
Q&A問2

検察権の行使は,法と証拠に基づいて公正になされるものです。検察当局は,いかなる誘引や圧力にも左右されないよう,厳正公平・不偏不党を旨としています。
Q&A問14

そもそも,検察当局においては,特定の利害関係者の陰謀に加担して,本来捜査が相当でないものを捜査するようなことはあり得ない。
2020年1月9日法務大臣コメント(2)

日産と検察により仕組まれた訴追であるとの被告人ゴーンの主張は不合理であり,全く事実に反している。
2020年1月9日東京地検次席コメント

【主張3】 日本では「人質司法」が行われている

日本の刑事司法制度は,身柄拘束によって自白を強要するものとはなっておらず,「人質司法」との批判は当たりません。
日本では,被疑者・被告人の身柄拘束について,法律上,厳格な要件及び手続が定められており,人権保障に十分に配慮したものとなっています。
Q&A問3

我が国の司法制度が「人質司法」であるとの批判がなされたが,昨日も申し上げたとおり,我が国の刑事司法制度は,個人の基本的人権を保障しつつ,事案の真相を明らかにするために,適正な手続を定めて適正に運用されており,批判は当たらない。
2020年1月9日法務大臣コメント(2)

【主張4】 130日以上,身柄拘束された。

複数の犯罪を犯した疑いがある場合に,それぞれの事件ごとに,逃亡や証拠隠滅を防止しつつ十分な捜査を遂行するため,裁判官がその必要を認めて許可したときには逮捕・勾留することができます。
Q&A問1

どれだけ複雑・重大な事案で,多くの捜査を要する場合でも,一つの事件において,逮捕後,起訴・不起訴の判断までの身柄拘束期間は,最長でも23日間に制限されています。
勾留やその延長の決定に対して,不服申立てをすることもできます。
日本の刑事手続における身柄拘束の期間は必要かつ合理的なものとなっています。
Q&A問4

公正かつ適正に刑事手続を進める上で,被告人ゴーンを勾留することは必要やむを得ないものであった。
2020年1月5日東京地検 次席コメント

約130日間にわたって逮捕・勾留され,また,保釈指定条件において妻
らとの接触が制限されたのは,現にその後違法な手段で出国して逃亡したことからも明らかなとおり,被告人ゴーンに高度の逃亡のおそれが認められたことや,妻自身が被告人ゴーンがその任務に違背して日産から取得した資金の還流先の関係者であるとともに,その妻を通じて被告人ゴーンが他の事件関係者に口裏合わせを行うなどの罪証隠滅行為を現に行ってきたことを原因とするもので,被告人ゴーン自身の責任に帰着するものである。
2020年1月9日東京地検次席コメント

【主張5】 身柄拘束中,人との接触を拒否され,妻と面会できなかった。

罪証隠滅のおそれがなければ妻との面会なども認められる。
2020年1月9日法務大臣コメント(1)

【主張6】 取調べは1日8時間に及び,自白を迫られた。

日本において自白が不当に重視されているという指摘は当たらず,捜査機関による取調べが適切にされる仕組みが設けられています。
Q&A問6

被疑者に黙秘権や,立会人なしに弁護人と接見して助言を受ける権利が認められている。また,適宜休憩をとるなど被疑者の人権に配慮した上,録音録画の実施を含め適正な取調べを行っている。
2020年1月9日法務大臣コメント(2)

不当な取調べによって自白が追及されないように,被疑者には黙秘権があり,弁護士と立会人なしに接見をする権利がある。弁護士同席でないことで,不当な取調べが行われないことを検証できるように,取調べの録音,ビデオ撮りが行われている。そもそも,日本国憲法は,強制された自白を証拠とすること,自白のみにより有罪とすることを禁じている。
2020年1月14日WSJ(ウォールストリー トジャーナル)法務大臣寄稿

【主張7】 取調べに弁護士の立会いがなかった。

被疑者には,黙秘権や立会人なしに弁護士に接見して助言を受ける権利が認められています。このほかにも,取調べの録音・録画によって,取調べの状況が事後的に検証可能となり,適正を確保することができます。
法制審議会において,約3年間にわたってこれらの問題が議論されました。そこでの議論では,弁護人が立ち会うことを認めた場合,被疑者から十分な供述が得られなくなることで,事案の真相が解明されなくなるなど,取調べの機能を大幅に減退させるおそれが大きく,そのような事態は被害者や事案の真相解明を望む国民の理解を得られないなどの意見が示されたため,弁護人の立会いを導入しないこととされた経緯があります。こうした議論を経て,取調べの適正さを確保する方法の一つとして,取調べの録音・録画制度が導入されました。
Q&A問7

被疑者に黙秘権や,立会人なしに弁護人と接見して助言を受ける権利が認められている。また,適宜休憩をとるなど被疑者の人権に配慮した上,録音録画の実施を含め適正な取調べを行っている。
2020年1月9日法務大臣コメント(2)

不当な取調べによって自白が追及されないように,被疑者には黙秘権があり,弁護士と立会人なしに接見をする権利がある。弁護士同席でないことで,不当な取調べが行われないことを検証できるように,取調べの録音,ビデオ撮りが行われている。そもそも,日本国憲法は,強制された自白を証拠とすること,自白のみにより有罪とすることを禁じている。
2020年1月14日WSJ(ウォールストリー トジャーナル)法務大臣寄稿

【主張8】 東京拘置所において,1日30分しか屋外に出られず,週2回しかシャワーを浴びることができず,自分が望む薬は聞き入れられず,居室内は寒く,夜間には紙とペンを取り上げられた。

拘置所においては,被収容者の人権を尊重するため,居室の整備,食事の支給,医療,入浴などを適切に行っています。
Q&A問8

【主張9】 公判前手続において,判事ではなく検察官がボスになっている。司法システムが談合的である。

起訴後の公判前整理手続においては,検察官は,被告人側に対し,公判で請求する証拠以外にも,どのような証拠を保管しているかを記載した一覧表や,被告人側の主張に関連する証拠など,被告人側の防御活動に必要な証拠を開示することが刑事訴訟法で定められています。
裁判所は,立証責任を負う検察官の立証に加え,被告人側から提出される主張や証拠をも十分に吟味し,独立した公正な立場で判断します。
Q&A問2

【主張10】 日本の制度は,検察官に対し,法廷で明らかにする証拠を弁護側に渡すことを要請していない。

起訴後の公判前整理手続においては,検察官は,被告人側に対し,公判で請求する証拠以外にも,どのような証拠を保管しているかを記載した一覧表や,被告人側の主張に関連する証拠など,被告人側の防御活動に必要な証拠を開示することが刑事訴訟法で定められています。
Q&A問2

検察は,公正かつ適正な刑事裁判を実現すべく,法に定められた手続に基づき,被告人ゴーンの弁護人に証拠を開示するなどの公判活動を行ってきており,被告人の権利が十分に保障されていたことは明らかである。
2020年1月5日東京地検 次席コメント

当庁としては,適正な裁判に向けて主張やそれに沿う証拠の開示を行ってき

2020年1月9日東京地検次席コメント

【主張11】 有罪率は99%であり,外国人に対してはより厳しいものなっていて,日本では公正な裁判が受けられない。

検察当局においては,無実の人が訴訟負担の不利益を被ることなどを避けるため,的確な証拠によって有罪判決が得られる高度の見込みのある場合に初めて起訴するという運用が定着しています。こうした運用が有罪率の高さにも影響しているものと考えられます。
Q&A問13

日本では,被疑者・被告人の国籍に関わらず,法と証拠に基づいて捜査・公判が行われています。
Q&A問9

日本の刑事司法制度においては,起訴された罪を被告人が犯したことについて,検察官が,裁判所に対し,合理的な疑いを差し挟む余地のない程度まで,証明をすることができなければ,被告人は有罪とされず,無罪が言い渡されることになります。
Q&A問5

我が国の検察においては,無実の人が訴訟負担の不利益を被ることなどを避けるため,的確な証拠によって有罪判決が得られる高度の見込みのある場合に初めて起訴するという運用が定着している。また,裁判官は,中立公平な立場から判断するものである。
2020年1月9日法務大臣コメント(2)

「有罪率が99.3%」は,起訴に至った件数を分母にした有罪判決者数の率であって,事件を犯した者の総数を分母にしていないので,それは高い数字にならざるを得ない。
2020年1月14日WSJ(ウォールストリー トジャーナル)法務大臣寄稿

裁判所は,被告人側にも十分な主張立証をさせた上で,独立した立場から,公判に提出された証拠に基づき,合理的な疑いを超えて有罪が立証されたかを厳密に判断しており,公正な裁判が行われていることに疑いはないと確信している。
2020年1月5日東京地検 次席コメント

【主張12】 裁判が不当に長期化している。終わるまで5年ほどかかると聞いた。

日本では,憲法第37条で,全ての被告人に迅速な裁判を受ける権利を保障しており,刑事訴訟法で,刑事裁判の充実及び迅速化を図る制度の一つとして公判前整理手続が設けられています。公判前整理手続は,十分な事前準備を行うことにより,充実した公判審理を継続的,計画的かつ迅速に行うことを可能とするものです。実際,日本における第一審の審理期間(裁判所の受理から処理までの期間)は,先進諸国と比べて長いわけではありません。
Q&A問10

検察当局は,公判手続が速やかに進むよう様々な努力をしている。
2020年1月9日法務大臣コメント(2)

【主張13】 保釈請求はほぼ認められない。

日本では,証拠隠滅のおそれがある場合などの除外事由に当たらない限り,保釈が許可される仕組みとなっており,自白しないと保釈が認められないということはありません。
Q&A問12

起訴した後,裁判開始前でも,証拠隠滅や逃亡のおそれがなければ,保釈が認められ得,配偶者と会うことも過ごすこともできる。
2020年1月14日WSJ(ウォールストリー トジャーナル)法務大臣寄稿

【主張14】 保釈中に妻との接触は禁じられ,面会を7回要請したが認められなかった。

保釈中の行動は,原則として,自由であり,家族に会うことも自由です。家族と会うことができないのは,保釈中に裁判所が被告人の逃亡や証拠隠滅を防止するために必要であるとして接触を禁止する例外的な場合に限られます。
Q&A問11

逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがなければ特定の者との面会制限などはなされない。
2020年1月9日法務大臣コメント(2)

起訴した後,裁判開始前でも,証拠隠滅や逃亡のおそれがなければ,保釈が認められ得,配偶者と会うことも過ごすこともできる。
2020年1月14日WSJ(ウォールストリー トジャーナル)法務大臣寄稿

保釈指定条件において妻らとの接触が制限されたのは,現にその後違法な手段で出国して逃亡したことからも明らかなとおり,被告人ゴーンに高度の逃亡のおそれが認められたことや,妻自身が被告人ゴーンがその任務に違背して日産から取得した資金の還流先の関係者であるとともに,その妻を通じて被告人ゴーンが他の事件関係者に口裏合わせを行うなどの罪証隠滅行為を現に行ってきたことを原因とするもので,被告人ゴーン自身の責任に帰着するものである。
2020年1月9日東京地検次席コメント

以上

著者 BUTACOは、Amazonアソシエイト・プログラム運営規約に基づき、Amazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得る者です。

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