りゅうけん考#5 「無敵の論破術」
このシリーズも5回目になりました。
「早く本題の入れよ」と思われた方は、フォローをお願いします。
さて、今回はついに、りゅうけんさんの「逆張りと煽りのバランス」について書いていきます。
前回は、逆張りの説明でしたので、今回は煽りのバランスの説明をしたいと思います。
私の大好きなミュージシャンの小沢健二さんが、先ほど次のようなツイートをしていました。
このツイートは、Racismの日本語訳が機械翻訳(と思われる)サイトで「人種差別」と誤訳されており、正しくは、「人種主義」だとする主張です。
これに対し、私は、以下の返信(リプライ)をしました。
このリプは、オックスフォード(Oxford Dictionary)と並び英語辞書の権威とされるメリアム・ウェブスター(Merriam Webster)のオンライン辞典にて「Racism」を検索した結果の画面と参照先URLを紹介したものです。
メリアム・ウェブスターの英英辞典は、大学受験生なら一度は見たことがあるでしょう。 私は一度も見たことがありません。
では、Racismの意味についてメリアム・ウェブスターの英英辞典の中身を見ていきましょう。
そして日本語訳は、以下です。
racism 名詞
単語を保存
rac·ism | \ ˈrā-ˌsi-zəm also -ˌshi- \
racism の定義
1 人種は人間の特質と能力の主要な決定要因であり、人種的差異は特定の人種の本質的優越性を生むという信念
2 a 民族的優越感という憶説に基づき、その原理を遂行するための主義または政綱
b 民族的優越感に基づく政治制度または社会制度
3 人種的偏見または人種的差別
racism の定義を説明するのに racism という単語が使われているのは、いかがなものかと思いますが、小沢健二さんが正しい訳とした「人種主義」は、定義 2 の a に記載されています。
つまり、racism の日本語訳が「人種主義」であるとの主張は、(メリアム・ウェブスターの定義が正しい事を前提にして)正しいと言えます。
では、racism の日本語訳が「人種差別」であるとの主張は、間違いだと言えるでしょうか。
定義 3 に「人種的偏見または人種的差別」があることから、(メリアム・ウェブスターの定義が正しい事を前提にして)こちらも正しいと言えます。
オザケン自身、ツイート上で『人種差別はRacial Discrimination』である旨を述べたことで、結果的に racism の日本語訳が「人種差別」であるとの主張をも肯定することになっています。
つまり、racism の訳語が「人種主義」とする主張と「人種差別」とする主張は、両立するのです。
小沢健二さんのツイートの"Racismの訳語は「人種差別」ではなく"という箇所は、残念ながら、本シリーズの1回目で述べた「出すぎた主張」であり、「根拠のない主張」なのです。
さて、私のリプは、どうであったかと言うと、
辞典にはこうありました。
https://www.merriam-webster.com/dictionary/racism
ご覧の通り、明示的な主張はなく、単なる事実の摘示となっています。
「出すぎた主張」どころか、主張をせずに、「客観的な事実」だけを述べています。
主張がないところには、反論できません。
仮に、摘示した事実に誤りがあったとしても、「貴方への情報提供です。」と言われれば、おしまいです。
反論されない安全なところにいながら、相手の主張を無効化する、極めて卑怯なやり口で、ゲスの極みと言えます。
しかし、この攻撃方法は、弁論の世界で極めて有効な煽りとなります。
そうです。
これを変幻自在に使うのが、りゅうけんさんなのです。
このように、煽りのバランスを考えて、攻撃されないギリギリのラインを維持してオラつけば、相手の弁論にほころびが生じます。
そこを畳み掛けて、論破終了です。
今回までに、”逆張り”と”煽りのバランス”について説明してきました。
次回は、実際にりゅうけんさんのツイートを見ながら、具体例を挙げていこうと思います。
「ツイートを引用することは、本人に許可されてはないけど、拒否されてもないので。」By リュウケン新党代表 立花豚子氏
では、また次回。
豚子(本名)
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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