庇(ひさし)の効果をシミュレーションしてみる
庇(ひさし)は夏の日射を遮り、冬の日射を取り入れることができるため省エネに有効です。
庇が日射をコントロールできるのは、夏と冬で太陽の高さ(太陽高度)が異なるためです。
夏は太陽の位置が高くなりますが、太陽が高くなると庇により影ができて窓に日射が当たるのを遮ります。
冬は太陽位置が低くなりますので、庇による影が短くなり窓に日射が当たります。
では、庇を設置することでどの程度日射を遮ることができるのかをシミュレーションしてみましょう。
庇の出が0.6mの場合
以下のグラフは、東京、13時、庇の出が0.6m、窓の高さが1.2mのときに、日射が窓に当たる面積の割合(日当面積率)を表しています。
日当面積率が100%の場合は窓全面に日射が当たっている状態で、0%は窓に日射が当たっていない状態です。
基本的には太陽の高さが一番高い夏至前後が一番日射が遮られ、太陽の高さが一番低い冬至の前後が日射が入ります。
庇の出が0.6mですと、夏の日射を遮って冬の日射を取り入れることができているようです。
庇の出が0.4mの場合
では、庇の出が0.4mの場合はどうでしょうか。
冬の日射はよく入るようになりますが、夏の日射はあまり遮られていません。
そのため、庇の出が0.4mでは不十分なようです。
ここでは東京でシミュレーションしていますが、緯度によって太陽の高さは変わりますので、地域により日当面積率は変わります。
以下は庇の出が0.6mのときの福岡と札幌のグラフです。
福岡
札幌
このように緯度によっても効果は変わってきます。
福岡の場合ですと、冬の日射も若干遮られてしまいます。
また、札幌などの寒冷な地域では、5月、6月ころはまだ気温が高くない日もありますので、日射が遮られてしまうと室内は寒く感じるかもしれません。
このように地域によって庇の効果は変わってきますので、庇を設ける場合は庇の出を十分検討してください。