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省エネにおける窓の影響をシミュレーションしてみる

ここまで住宅の省エネを考える場合、窓の影響が大きいということを何度か書いてきました。

では、実際には窓の影響がどのくらいなのかシミュレーションで確認してみましょう。

シミュレーションする住宅

まずシミュレーションするモデル住宅を決めましょう。
外壁の断熱材はグラスウール16K 100mm、天井は吹込用グラスウール 210mm、床はグラスウール16K 100mm、窓は複層ガラス(U値 4.07)です。
この住宅の開口部比率((窓面積 + ドア面積)÷ 外皮面積)を11%とします。
(開口部比率が大きいほど窓の面積が大きい)

この住宅を省エネ基準計算しますと外皮平均熱貫流率(UA値)は 0.87W(m2K)、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)は 2.6で、東京都の省エネ基準をクリアする住宅です。

省エネ基準を計算

この住宅の設計仕様はそのまま(断熱材の種類・厚さ、窓・ドアの種類を変更せず)に窓面積だけ大きくしてみます。
開口部比率を11%から12%にすると、UA値は 0.87 → 0.91ηAC値は 2.6 → 2.8になります。
UA値は大きくなり(断熱性能が低くなり)、UA値は基準をクリアできなくなります。
ηAC値も大きくなり(日射遮蔽性能が低くなり)ます。

つまり窓面積が大きくなると、断熱性能が低下して暖房エネルギーが増え、日射遮蔽性能が低下して冷房エネルギーも増えるということがわかります。

暖冷房負荷(エネルギー)を計算

省エネ基準は大雑把なシミュレーションなので、ここでは専用ソフトを使用し気象データ(気温、絶対湿度、日射量、風速など)を使用した年間暖冷房負荷(暖房・冷房に使用するエネルギー)も計算してみましょう。
気象データは東京です。
開口部比率 11%: 暖房負荷 24,352MJ、冷房負荷 12,052MJ、合計 36,404MJ
開口部比率 12%: 暖房負荷 24.839MJ、冷房負荷 12,492MJ、合計 37,331MJ

この住宅の場合、暖冷房負荷のシミュレーションでも窓を大きくすると暖房エネルギーが増え、冷房エネルギーも増えていることがわかります。
年間で比較すると開口部比率がたった1%違うだけで、暖冷房に使用するエネルギーは約3%増えています。

高性能な窓を使用すると省エネにはなりますがコストがかかります。
それに対して、窓面積を小さくするのはコストはかからず省エネにできるのでコストパフォーマンス的にもいい方法だと言えます。

ここでは一つのモデル住宅で計算していますので、実際には設計仕様や気象などによって影響は変わってきますが、窓面積の影響が大きいということは理解しておきましょう。
また、窓には複数の役割がありますので、単に小さくすればいいというものではありません。
窓を無駄に大きくしないということが重要だと思います。

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