窓は熱が逃げる場所
ここまでの断熱性能は断熱材を中心にお話ししてきましたが、ここでは住宅の断熱性能に大きく影響する窓の話をしたいと思います。
まず窓の断熱性能を確認してみましょう。
断熱材は熱伝導率で断熱性能を比較しましたが、窓は熱貫流率(U値)で比較します。
窓は仕様によって断熱性能が異なります。
代表的な仕様の熱貫流率は以下の通りです。
単板の熱貫流率 6.51 W/㎡K
複層の熱貫流率 4.07 W/㎡K
もっと性能の高い(熱貫流率が小さい)窓もありますが、寒冷地以外で多く使われているのはこのような性能のものが多いのではないかと思います。
次は窓と断熱材の断熱性能を比較してみましょう。
窓と断熱材を比較するためには断熱材の熱貫流率を計算します。
外壁にグラスウール断熱材16Kを100mm充填したとします。
グラスウール断熱材16Kの熱伝導率は0.045W/mKですから、100mm(0.1m)のときの熱貫流率の計算方法は以下の通りです。
1 / (0.04 + (0.1 / 0.045) + 0.11) = 0.42W/㎡K
熱貫流率は数値が小さいほど断熱性能が高いことを表します。
複層の窓とグラスウール100mmの断熱性能を比較すると、
4.07 ÷ 0.42 = 9.7
となり、断熱材よりも窓の方が約10倍熱が通しやすいということがわかります。
ちなみに単板の窓ですと約16倍です。
超高性能な窓ですと熱貫流率1切るものもありますが、それでも断熱材よりも2倍くらい熱を通します。(超高性能な窓はコストがかかります)
このように通常の窓は断熱材と比較すると非常に断熱性能が低いことがわかります。
窓は断熱性能が低いため窓からの熱損失の割合は大きくなります。
下記は省エネルギー基準をクリアする住宅で、部位ごとの熱損失の割合を示した円グラフです。
この住宅ではおおよそ熱損失の半分は窓・ドアからとなっています。
この住宅の窓は複層で性能が特別低いというわけではありませんが、それでもこのような結果になってしまいます。
これは前述したとおり窓が断熱材と比較して断熱性能が低いためです。
このグラフはあくまでも一例ですが、日本の場合このような住宅は珍しくありません。
窓は外壁などに比べると面積は少ないのですが、断熱性能が低いため熱が多く逃げる場所ということを認識しておきましょう。
いくら断熱材を厚くしても、窓から熱が逃げていては意味がありません。