日よけの適正な寸法は?
庇などの日よけは夏の日射を遮ることができ省エネになります。
ただし、庇が長すぎると冬の日射も遮ってしまうため、室内に日射が入らなくなり、暖房のエネルギーが増えます。
そのため、日よけは夏と冬の両方を考えなくてはなりません。
太陽の高さ(太陽高度)は季節によって変化します。
夏は太陽高度は高く冬は太陽高度が低くなります。
日よけの効果は太陽の高さによって変わります。
夏太陽は高い位置にありますから、日よけで影ができやすく日射が室内に入りづらくなります。
冬太陽は低い位置にありますから、日射は室内に入りやすくなります。
これを利用して日射をコントロールすると省エネになります。
そのため、日よけには適正な寸法があります。
日よけの適正な寸法は、日よけの出、日よけの下端と窓の距離、窓の幅・高さ、そして住宅の緯度が影響します。
東京の住宅で南面の窓を計算してみましょう。
ここでは精緻な計算が可能な日よけ効果係数で検証します。
庇の出が30cm、日よけと窓の距離が20cm、窓が1.6 × 1.6mとします。
この条件で日よけ効果係数を計算しますと以下になります。
冷房期: 0.825
暖房期: 0.949
次に庇の出が60cmで計算します。(その他の条件は同じ)
冷房期: 0.670
暖房期: 0.820
次に庇の出が90cmで計算します。(その他の条件は同じ)
冷房期: 0.575
暖房期: 0.698
日よけ効果係数は、日射が室内に入るほど1に近くなり、日射が遮られるほど数値は小さくなります。
庇の出が30cmですと、冷房期が0.825であまり日射は遮られていないようです。
庇の出が90cmですと、冷房期の日射は遮られますが、暖房期の日射も遮られてしまっていいます。
そのため、この条件では庇は60cmくらいが適正と考えられます。
なお、適正な庇の出は各寸法や緯度などの条件によりますし、外気温度も考慮する必要があります。
そのため、実際にはそれぞれの条件で日よけ効果係数を計算して判断することをお勧めします。
本来日よけの効果は年間暖冷房負荷(エネルギー)のシミュレーションで判断すべきだと思いますが、日よけ効果係数も精緻な計算なので、ある程度の判断はできそうです。