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省エネ計算の土間床等の新計算法は損?
4月から省エネ基準の計算方法の一部が変更になりました。
基礎・土間床の計算方法も変更になっています。
(従来の計算方法も当面は使用していいことになっています)
従来は基礎壁と土間床外周部は一緒に計算していました。
また、基礎壁からの日射熱取得量は考慮する必要はありませんでした。
新計算法では基礎壁と土間床外周部を分けて計算します。
基礎壁は熱損失量と日射熱取得量の計算が必要になります。
土間床外周部は熱損失量のみで日射熱取得量は計算する必要はありません。
基礎壁の面積は外皮面積に加算します。
このように計算方法は大幅に変更なりました。
基礎壁
基礎壁とは、基礎の壁面のことを指します。
基礎壁の熱損失量や日射熱取得量の計算方法は、基本的に外壁などと同様です。
基礎はコンクリートを、断熱材がある場合は断熱材を考慮して計算します。
土間床外周部
土間床外周部とは基礎の基礎壁以外の部分を指します。
基礎の場合、基礎壁からの熱損失の他に、床から地中に入って外に逃げていく熱損失があります。
土間床外周部はこのような熱損失を考慮するためのものです。
土間床外周部の計算方法は以下の二つがあります。
・基礎形状によらない値を用いる方法
・代表的な仕様の計算例表
基礎形状によらない値を用いる方法
基礎形状によらない値を用いる方法では線熱貫流率が1.57W/(mK)、または土間床上端が地盤面よりも低い場合は高さの差による表から拾います。
従来の計算法では底盤断熱(床面に敷く断熱材)を考慮できましたが、この方法では底盤断熱は考慮することができません。
そのため、底盤断熱がある場合は従来よりも低く評価される可能性があります。
代表的な仕様の計算例表
布基礎とベタ基礎の代表的な仕様の条件を使用して、計算例表から線熱貫流率を拾います。
布基礎の場合は、室外側の基礎断熱と室内側の底盤断熱を考慮できます。
ベタ基礎の場合は、室内側の基礎断熱と室内側の底盤断熱を考慮できます。
あらかじめ用意されている仕様以外は考慮することができませんので、仕様以外は「基礎形状によらない値を用いる方法」の線熱貫流率になります。
また、断熱材の熱抵抗や底盤断熱材の長さによっては、計算例表に当てはまらない場合も「基礎形状によらない値を用いる方法」の線熱貫流率になります。
つまり、一定の条件の場合しか基礎断熱や底盤断熱を考慮することができません。
これはなかなか厳しいですね。
土間床等の外周部の線熱貫流率の算出プログラム
上記の二つ以外にもう一つ計算する方法があります。
それは以下のホームページに線熱貫流率を計算するWebアプリを利用する方法です。
まだ正式版ではないため正式な計算には使用できません。
複雑な構造を考慮できるようになっているようですが、設定が複雑で面倒です。
計算のたびにこのWebアプリを使用するのは手間がかかり時間がかかることになるかもしれません。
一次エネルギー消費量への影響
新しい計算方法では、従来の計算方法と比較して基礎壁分が増える関係で総熱損失量と総日射熱取得量が大きくなります。
(面積や断熱仕様などの条件にもよります)
外皮平均熱貫流率(UA値)や平均日射熱取得率(ηA値)は、総熱損失量・総日射熱取得量が増えても外皮面積も増えるため、一概に不利になるとは言えません。(仕様や条件によります)
ただ、一次エネルギー消費量の暖冷房に関する消費量は、総熱損失量と総日射熱取得量が大きくなると、一次エネルギー消費量も大きくなります。
そうしますと、新しい計算方法は一次エネルギー消費量的には不利になるのではないかと思われます。
新計算方法は損?
このように新計算方法では、断熱仕様によってはせっかく断熱材を入れているのに断熱材が入っていないのと同じ計算になったり、一次エネルギー消費量が大きくなったりと、従来の計算方法よりも不利になっているようです。
省エネ性能を高めるために断熱強化しているのにもかかわらず、それが評価されないのはどうなのでしょうか。
従来の計算方法は当面使用できますので、現在のところは従来の計算方法の方がいいのではないかと感じています。