住宅の省エネ性能の説明義務制度
2021年4月から住宅の省エネ性能に係わる説明義務制度が施行されます。
説明義務制度とは、建設する住宅が省エネルギー基準(省エネ基準)に適合しているか、適合していない場合はどのような措置をすれば基準をクリアできるかを、建築士が建築主に書面で説明する制度です。
2021年4月以降に建設される住宅では、省エネ基準の外皮平均熱貫流率(UA値)、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)、一次エネルギー消費量を計算し、省エネ基準をクリアしているかどうかをチェックしなければならなくなります。
また、建築主は建築士から省エネ基準の説明を受けて、省エネ基準をクリアする住宅にするのか、省エネ基準をクリアしなくてもいいのかを判断しなければなりません。
もともとは説明義務制度ではなく、省エネ基準適合義務化で話が進んでいました。
省エネ基準適合義務化とは、基本的にすべての住宅(気候風土適応住宅など一部住宅を除く)は省エネ基準をクリアしていなくてはならないという制度でした。
現在の省エネ基準は平成28年基準ですが、性能的には平成11年基準を踏襲しています。
つまり20年以上前の基準ですから、これは適合義務化しても問題ないだろうということで話が進んでいたと思われます。
それが適合義務化ではなく説明義務制度という形に変わり、省エネ基準について説明が義務化されますが、建築主の了解があれば基準はクリアしなくてもOKということになりました。
個人的には伝統的工法住宅を除けば、省エネ基準をクリアする住宅にしてもそれほどコストは高くならないと思っています。
まず昔と比べて窓の性能は高くなってきています。
また、今は無断熱の住宅はほとんどないので、断熱材の厚さを多少厚くしても大幅にコストが上がるということはないはずです。
国としてはいきなり適合義務化は難しいので、とりあえず説明義務制度から始めて徐々に省エネ住宅に移行したいということだと思います。
ただ、地球温暖化の影響で家庭部門のエネルギー消費量も減らさなければならいのは決まっていますから、そんなに時間は残されていないはずです。
それにしてもどうして日本の住宅は、こんなに高断熱化が進まないのでしょうか。
そんなに皆さん省エネで快適な住宅がお嫌いなのでしょうか。
高気密高断熱住宅にすれば多少コストアップにはなりますが、省エネで快適で、さらに健康に過ごせる住宅に何十年も住めるのですが、本当に不思議です。