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なぜ省エネ基準計算は普及しなかったのか
4月から住宅の省エネ性能の説明義務制度が始まります。
これが始まると建築士は建築主に住宅の省エネ性能を説明しなければならなくなります。
そのため、省エネルギー基準(省エネ基準)の外皮平均熱貫流率(UA値)、平均日射熱取得率(ηA値)、一次エネルギー消費量の計算が必要になります。
昔から省エネ基準計算はあったのですが、計算はほとんど行われていませんでした。
一部の先進的な工務店などを除けば、優遇制度を受けるときだけ計算というところがほとんどだったと思います。
私が本格的に省エネ基準に係わったのは平成11年基準のころからですが、この頃の方が興味を持っている建築士が多かった印象があります。
当時は省エネ基準改正で今後省エネ住宅に注目が集まるのではないかという期待が大きかったのかもしれません。
ではなぜ省エネ基準計算が普及しなかったのでしょうか。
一つは、日本人にとって暖冷房費を節約するのは我慢することであり、住宅内を快適にすることは贅沢という考えがあったかもしれません。
また、住宅の高気密高断熱化に対する間違った批判も多くあったと思います。
省エネ性能に関心がなければ、面倒な省エネ基準計算は行わないでしょう。
もう一つは、省エネ基準計算は難しく時間がかかるということがあります。
省エネ基準計算は、昔は熱損失係数(Q値)と夏期日射取得係数(μ値)、今は外皮平均熱貫流率と平均日射熱取得率を計算しますが、この計算に時間がかかります。
頻繁に計算する専門の人を除けば、ある程度慣れている人でも半日、たまにしか計算しない人であれば計算について調べるのにも時間がかかりますので、1日以上かかるかもしれません。
このように本来の計算方法(標準計算ルート)は時間がかかるため、計算を簡易にするため簡易計算ルート、モデル住宅法の計算方法も追加されました。
省エネ基準の計算は、元々手計算を想定されていたと思われます。
ただ、手計算するには省エネ基準の計算量が多く時間がかかります。
最近は計算をサポートするためにいくつかのExcelシートが公開されています。
手計算よりは短時間で計算できるのですが、残念ながらExcelシートなので入力の柔軟性が少なく、ある程度の専門知識と入力の工夫が必要になります。
できれば専用ソフトを使用することをお勧めします。
自分に合った専用ソフトであれば、おおよそ1時間程度で計算が可能になります。
(住宅の規模や個人差などによっても計算にかかる時間は変わってきます)