省エネ基準を短時間で計算するコツ
省エネ基準の外皮平均熱貫流率(UA値)、平均日射熱取得率(ηA値)の計算は時間がかかります。
では、どうすれば短時間で計算すればいいのでしょうか。
一番簡単な方法は、モデル住宅法などの簡易計算を行うことです。
ただ、簡易的な計算には住宅の性能が正しく反映されない、安全側で計算されるなどのデメリットがあります。
そのため、ここでは標準計算(精緻な計算)の場合を考えてみましょう。
なお、ここでは細かな計算方法を説明するのではなく、短時間で計算するコツを説明します。
まず、外皮平均熱貫流率と平均日射熱取得率の両方で必要になるのが、各部位の熱貫流率(U値)の計算です。
熱貫流率の計算方法は以前にnoteに書きましたのでこちらをご参照ください。
熱貫流率は断熱材の種類と厚さ、断熱方法(充填断熱・外張断熱など)、充填断熱の柱・梁などの面積比率などが影響します。
また、基礎断熱・土間床の熱貫流率は、布基礎・ベタ基礎などの基礎の種類によって計算式が変わります。
おそらく使用する断熱仕様のパターンはおおよそ決まっているのではないかと思います。
そのため、あらかじめ各断熱仕様の熱貫流率を計算しておけば、以後はその熱貫流率を利用できます。
熱貫流率の他に計算に時間がかかるのが、窓の日射熱取得率(η値)です。
その中で特に大変なのが、取得日射熱補正係数の計算でしょう。
取得日射熱補正係数は、ガラスの種類、窓の大きさ、方位、付属部材、日除けなどによって変わります。
これは多くのパターンがあると考えられるので、熱貫流率のように事前に計算しておいたものを使用するのは難しくなります。
取得日射熱補正係数には詳細計算法と簡略計算法がありますが、詳細計算法は計算が大変なので簡略計算法で妥協しましょう。
簡略計算法は地域、方位、冷房期・暖房期ごとに6つの式があります。
パラメーターは窓と日除けの垂直距離、窓の高さ、日除けの張出寸法です。
これらのパラメーターと6つの式をあらかじめ表計算ソフトに登録しておき、各窓に当てはまるものをコピー&ペーストすれば窓の取得日射熱補正係数を計算できます。
熱貫流率と日射熱取得率が計算できれば、後の計算は表計算ソフトを使用して計算します。
熱損失量を計算する場合は、温度差係数、面積、熱貫流率、熱損失量の表を作成して計算します。
日射熱取得量を計算する場合は、方位係数、面積、日射熱取得率、日射熱取得量の表を作成して計算します。
窓以外の日射熱取得率は熱貫流率を使用して計算しますので、熱貫流率の列を設けてもいいと思います。
各部位の熱貫流率と窓の取得日射量補正係数を計算できれば、ほかの計算は単純な計算です。
熱貫流率と取得日射量補正係数の計算を効率的に行うことが、短時間に計算するコツです。