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省エネルギー基準では省エネにならない問題
住宅の省エネ性能は省エネルギー基準(省エネ基準)で判断します。
ただ省エネ基準をクリアすればその住宅は省エネかというと、そう単純ではありません。
まず省エネ基準の基準値自体の問題があります。
現在の省エネ基準は平成28年基準といいますが、この基準値は平成11年基準を元にしています。
平成11年の基準値ということは20年前の省エネ性能ということです。
平成11年基準は当時次世代省エネ基準と言われていたのですが、専門家からは先進国の中ではとても次世代基準とは言えないレベルの低い性能と揶揄されていました。
20年前でもそのような感じだったのに、それが令和の時代になっても変わっていません。
その省エネ基準ですら未だに多くの新築住宅は満たさないままというのが現状なのです。
もう一つ日本独特の問題があります。
それは日本は昔から炬燵やポータブルストーブ(開放型暖房器具)などの部分暖房を好む傾向があります。
おそらく先進国では未だに部分暖房で凌いでいるのは日本くらいなのではないでしょうか。
確かに昔の住宅はすき間が多く断熱材も入っていなかったため、住宅全体を温めることは難しく部分暖房も仕方がなかったのではないかと思います。
ただ、住宅に断熱材が入るようになってもこの傾向が変わらず、相変わらず新築住宅でも部分暖房の住宅が多く存在します。
そのため、日本の住宅は断熱性能が低いにも係わらず、暖房に使用するエネルギーは少ないという状態になっています。
省エネ基準をクリアする住宅を建てても部分暖房するのであれば、結局暖房に使用するエネルギーはあまり変わりません。つまり断熱性能が高くなっても省エネにはならないのです。
もっと高い性能になれば省エネになるのですが、省エネ基準が中途半端なままなので省エネにはならないという残念な結果になっています。
このように日本の省エネ基準はちょっとこじれているところがあり、なかなか難しい状況になっています。
ただトップランナー基準やZEHなど、より高性能な新しい指針もでてきていますので今後に期待したいと思います。