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なぜ同じ断熱仕様でも性能に差ができるのか

外壁・天井・床、窓・ドアなどのすべての断熱仕様(断熱材の種類と厚さ、窓・ドアの熱貫流率(U値))が同じ住宅でも、性能が同じになるとはかぎりません。
これはなぜなのでしょうか?

昔は住宅の断熱性能を比較する場合、断熱材の厚さが指標として使われていました。
たとえば、外壁の断熱材の厚さが50mmと100mmでは、100mmの方が断熱性のが高いのは一目瞭然です。
ただしこの方法ですと、外壁や天井、床など他の部位との兼ね合いがわかりませんし、断熱材の種類が異なると厚さだけでは比較できない問題が起きます。
そこで省エネ基準では外皮平均熱貫流率(UA値)という数値で、断熱性能を比較します。

住宅ごとに外皮平均熱貫流率を計算するとわかるのですが、外壁などの断熱仕様が同じ住宅なのに外皮平均熱貫流率を計算すると、けっこう数値が異なることがあります。
なぜ同じ断熱仕様なのに断熱性能に違いができるのでしょうか。

これは面積の影響があるからです。
各部位の断熱材の種類と厚さ、窓・ドアの種類がすべて同じでも、住宅によって各部位の面積が異なれば、外皮平均熱貫流率の計算結果は変わってきます。

これは意外と見落とされがちです。

ハウスメーカーなどのカタログを見ると、断熱性能を断熱仕様で表記されていることがあります。
また、特定のモデル住宅の外皮平均熱貫流率の数値を表記していることもあります。
しかし、これは実際に建てる住宅の性能とは言えません。
実際の住宅の性能を判断するためには、住宅ごとに外皮平均熱貫流率を計算する必要があります。

外皮平均熱貫流率を計算する場合、標準計算という精緻な計算方法と、簡易計算・モデル住宅法という簡易的な計算方法があります。
標準計算は面積が考慮されるため問題ありませんが、簡易計算・モデル住宅法ではその住宅の面積が考慮されませんので、実際の住宅の断熱性能を表しいない可能性があります。
簡易な方法で断熱性能を判断する場合は注意が必要です。
住宅の性能を判断するためには標準計算が必須となります。


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