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オランダで骨を折りまして3【退院〜ホテル療養編】

※この話は一部ショッキングでグロテスクな表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
今後海外で怪我等をされた際に、少しでも参考になれたら幸いと思い記録を残したいと思います。

(前回のお話↑の続き)

手術後

病室には看護師さんが2人居て何かを話している。
朦朧としていてよく分からない。
脚にはギブスではなく分厚い包帯が巻かれている。
すぐに皆んなも現れて労ってくれた。麻酔のせいなのかあまり覚えてないが、皆んながいるときに怪我をしてむしろ運が良かったとか、そんな話をしたと思う。本当にそう思う。こんなに安心して過ごせるのも、皆んなが居てくれたからだと思う。ありがとう。何度感謝しても足りない。

その夜も病院食を食べたけどあまり覚えていない。チキンだったかパスタだったか…思い出せない。
面会時間が終わって皆んなとお別れした後、かけ布団を直そうと思いめくると…

ヒッ・・・

包帯が巻かれたカカトから血が染み出して、ベッドに直径20cm位のシミが出来ている。
直ぐにナースコールをして主治医のお姉さんに確認してもらう。

主治医ネキ「普通(Normal)なことだから大丈夫よー。ヤバいときはもっと大きな血溜まりが出来るんだからね!」

主治医ネキは常に元気で明るくて安心する。
脚切ってるんだから当然だよねネキ!
これ以上染みないように包帯を補強して、ペット用トイレシート的な吸水剤が轢かれる。
朦朧としながらそのまま眠りについた…多分。
この日は麻酔のせいか特に記憶が曖昧だった。

退院の日

朝の回診の後、今までの看護師さんと違う感じの女性がやってくる。

看護師「朝ごはんだけど、パン何枚食べる?」

全く食欲が無いので一枚頼む。
初病院朝ごはんだ!

ライ麦パンとゴーダチーズ

メニューはスライスしたライ麦パン、ゴーダチーズ、バター、ジャム、ゆで卵という感じ。お昼もほぼ同じだった。
美味しい!!
美味しいのに…食べるほど身体が拒絶するような吐き気が湧いてくる。
戻すわけでは無い感じなので無理矢理食べる。
『食べなきゃ…回復しなきゃ…血が足りねぇ…』
少年誌の主人公ばりに自分に言い聞かせて完食した。
お昼はお腹が空いたのでパンを2枚にして再チャレンジしたが、こちらは大丈夫だった。
その後も周期的に吐き気が湧いてきた。
全身麻酔とかの副作用なのかな?
この状態は数日続くことになる。

午前中は理学療法士のお姉さまが来て、早速歩く訓練を開始した。

理学療法ネキ「立ってみようぜ!」

マジ???
昨日までバキバキで、なんならまだちょっと出血してるんですが?
手に捕まり恐る恐るベッドから立ち上がる。
『立てる…』

理学療法ネキ「じゃー、折れた脚から前に出して歩いてみよっか?」

恐る恐る右脚を出して、体重を少しかけて左脚を引く。
『歩ける!!』

驚いて理学療法ネキの顔を見ると天使のような笑顔だった。
ゲイじゃなければ惚れてた。知らんけど。
そのままプリンセスみたいに手を引かれて、廊下を歩いたり階段の上り下りをした。

理学療法ネキ「午後は松葉杖使って練習ね!」

そういうと王子様は笑顔で去っていった。

皆んなと合流して主治医と話をする。

  • 包帯は明日外して良いよ(明日!?)

  • 来週にはシャワー浴びて良いよ

  • 6週間経ったら日本の病院で検査してね

  • インプラントは取っても残してもどっちでも良いので日本の医師と相談してね

術後のレントゲンを見ながら色々説明される。
後日調べたところ、髄内釘とよばれるチタン合金の棒を、骨の髄に通してボルトで固定しているらしいことが分かった。
表現が難しいが、折れたトッポ(お菓子)の真ん中に串を刺して、真っ直ぐに固定しているような状態だ。
少なからずチョコが溢れちゃうと思うんだけど良いのかなー?
人体ってそんなことして良いのかなー??
とりあえず全身麻酔で良かった。
絶対これ工具でカンカンしたり、ギュインギュインやるやつだろ。
色んな思いが湧いてくる。
今も書いているだけで身体がムズムズしてくる。

足の指を動かしたり触ったりして感覚があることを確認する。
「I feel.」
神経は繋がってそうだ。
昨晩出血してたので包帯を交換することに。
包帯を外すと膝側に2箇所、足首側に数箇所ガーゼが貼ってある。
足首側の出血している箇所だけ剥がす。
初めて傷口を見た。
傷というか穴?が空いてる。
相変わらずちょっと出血してるが、淡々と交換が終わった。

ひでまるは薬局に薬を貰いに行く。
その間に事務処理担当のお姉さまが現れる。

事務ネキ「大きい方(Big one)はどこ行った?」

傷病保険に必要な診断書等の書類について相談したいようだ。薬を取りに行ったことを説明すると笑顔で去って行った。
この後暫くBig oneという言葉がツボに入り、ひでまるを見るたびに独りでニヤニヤしてた。

午後からは理学療法ネキと松葉杖の練習。
午前と同じように廊下と階段の練習をした。
脚は棒みたいだが移動には困らなそうだ。

必要な事が一通り終わり、いよいよ退院。
こんなアッサリで良いのかちょっと心配だったけど、ひでまると一緒に病院の方々に挨拶しながら病棟を後にした。
初めて病院の中をまともに歩いたけど、やはりとても大きな病院だった。ロビーなんて美術館みたいに広くて天井が高い。お値段もお高そう…

退院後スーパーに向かう私

直ぐ隣にスーパーがあるので、水や食料を買ってからホテルに移動することに。
はじめのうちは問題無かったが、買い物を終えると松葉杖移動のせいか一気に疲れたのでベンチで休憩した。
一休みして立ち上がると…
視界がおかしい。
左右で見え方が違う。
ゴミでも入ったのかと眼をパチパチさせるが治らない。
『焦点があってない』
何が起きたか分からず無言で眼をパチパチしてたので、ひでまるをとても不安がらせてしまった。申し訳無い。
多分貧血だろう。というかシンプルに血が少なくなっていたんだと思う。
買い物を終えてUberでホテルへ。
ご飯を食べてその日は何もせずに寝てしまった。

オランダホテル療養(術後2〜3日目)

1日目はホテルでゆっくり過ごした。私はベッドから動かず、タイマーをセットしてひたすら薬を飲み続けた。薬は10日分位(+頓服)あったが、無くなるまでひたすら時間通りに飲み続けた。忘れても直ぐに痛くなるから分かるが。
ガンガン歩こうとか無理です先生…

2日目は試しに散歩に出てみた。

マックで注文するBig oneひでまる

近くにマックがあるので、オランダの郷土料理「クロケット」というコロッケの先祖みたいなものを挟んだオランダ限定バーガー「マックロケット」を食べてみることに。なぜか肝心のバーガーは写真に撮るのを忘れてしまった。
(ひでまるが撮影してたので追加しました)

マックロケット

マックロケットはマスタードとチーズが効いていてグラコロより好みで美味しかった。そして驚いたのがミントティー。

盛り盛りの巨大ミント

プラカップを開けると巨大なフレッシュミントが!こんな巨大なミント見たことねぇ!!
オランダ在住Hさんに聞いたところ、マックに限らずオランダではこのスタイルが普通らしい。
フレッシュミントティー好きにはたまらない一品だ。

その夜、1日遅れで包帯を外してみた。
怖いからガーゼは来週シャワー浴びるときで良いや。
膝から下全体が1.5倍くらいに腫れている。
何故か関係無さそうな指の先までパンパンで、足の甲はひでまると同じ位の厚みがあってはち切れそうだ。

『ひでまると同じサイズなら人間の許容範囲なのではち切れる心配は無いだろう』

謎理論により安心する私。
歩くと痛くは無いが、軟骨が擦れるような「コリッ」とした感覚が走る。
『またこの感覚か〜この状態で歩いても問題ないんだったっけ?』


なんで『またこの感覚』って思ったんだろう?
私は謎のデジャヴに襲われる。
この骨のコリコリした感触。指先まで水風船みたいに膨らんだ足。以前にも体感した気がする。全てが初めてで、身近に同様な人が居たこともないはずなのに、何故かちょっと慣れていて冷静だった。
何度もお薬で肉体と精神を切り離してるうちに、前世の記憶か別の世界線の記憶が流れ込んできたのかな?知らんけど。
結局このデジャヴの正体はいまだに不明だ。


オランダ療養中にドイツ在住のTさんと連絡をとった。
当初はもっと早くドイツに行ってTさんファミリーと過ごし、そのまま一緒にスペインに行く予定だった。
飛行機はまだ厳しそう&まともに動けないだろうと早々にフライトをキャンセルしていたので、私達はスペイン行きを断念。またサクラダファミリアが完成した後にでも行けたら良いな。
でもTさんファミリーには会いたいのでドイツに行くことに。
電車一本で行けるから楽勝…のはず!
しかもファミリーがスペインに行っている間、お家を自由に使って良いとのこ。とてもありがたい!!

アプリでアムステルダム中央駅〜フランクフルト空港駅の電車を予約する。日本の新幹線的な電車だ。
ドイツは3度目なので予約は楽勝だった。
電車での国境越えは初めてだ。

次回はドイツ療養〜帰国編?

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