運命に追い付かれる前に
動画の伸びが悪い。
僕がばら撒いた試供品の話だ。
みんな最初のころはやれドラマの冒頭みたいだとか持て囃しまあ満足まではいかなくともそこそこの再生数を僕に与えてくれた。
それが今や動画の再生数は1個目の動画の3分の1で、なんだかなと思っているところ。
僕って才能ないのかな、似たようなシーンばかり出しているから悪いのかな、もう全部全部意味はないのかな。
学校の窓に上半身をぴたりとくっつけてそんなことばかり思ってしまう。
ニコニコ動画は相変わらず復旧の目処は立たず、素材の調達はできない。
あー、つまんないや。世界も、何もかも、僕でさえも。
このもたれかかっている窓から身を乗り出してみれば楽になれるのかななんてちょっと思ってみたり心の中で1人メンヘラってみたりする。
そんな時、スマホの通知の振動が響く。
「星の巨塔」公式アカウントからだ。
曰く、ろくに完結せず話の風呂敷ばかりスカスカの内容ばかり広げた良くない脚本はやめてきちんとしたインプットの元(SAVE THE CATの法則とやらがいいそうだ、聞いたことない本)ちゃんとした運営を行なっていればブラウザバッグ率75%なんて出ない
そんな内容を邪淫の文章から改変したあからさまな毒マロだった。
いけすかない。そのマシュマロの内容がある程度的を得ているからこそムカムカしてきた。
僕を馬鹿にするな。
そうだ、このシリーズはあくまで試供品、僕の演出や細かいミスをフィードバックして貰うためのプロトタイプ、だからいいんだ。
ちゃんと脚本だって僕の頭の中にちゃんとあるし途中までは形にしている、今さら変更なんてできるもんか。
ギリギリと運命の歯車が回っているようで、その音はただ単に僕の身体の駆動する音だったらしく気のせいで、ああ、返信を書かなきゃ。黙ってろって書いてやらなきゃ……
楽しかった僕のシナリオという名のタペストリー、楽しかったんだけどな。やっぱ僕みたいな陰キャは1人遊びでもしてろってことなのかな。
人に見せる以上こういう反応だって承知だろうにそれを受け入れられない僕がいて、それがまたため息に変わっていくのだった。
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