誰にも軽んじられるボトルメール
自分の妄想くらい自由にさせておくれよ!
だって僕には何も与えられなかったんだから、父親も、脚本の才能も、勉強の知識も、金も、そう全て!
だから妄想に逃げたってしょうがないじゃないかとマイクラで駅を作りつつ嘆いて心で泣いていた。
僕の心はいつも土砂降りで傘など差してくれる人など誰もいない、僕1人だ。
ああ、そうだ、あの忌々しい影がいたな、あれも僕の妄想の住人か、僕の良心なのか悪心なのかはわからない。
ただの幻覚なのかもしれない。まあどっちでもいいか、影はいつも僕に辛辣なんだからどこ産であろうとどうでもいい。早くどっかに行ってくれればそれで。
ハロウィンも控えた10月30日、ある人気投稿者が動画を全消ししアカウントも消して行方をくらませた。
動画の下敷きにしていた小説の原作者にたれこんだ人間がいたらしい、その小説家曰く、原作のリスペクトなど毛ほどない最底辺のクオリティで改悪らしい。
僕はその投稿者の作品は一度も見ていないが少しかわいそうに思った。そこまで言われる筋合いはないんじゃないかとさえ。
僕だって我が身が怖い、星の巨塔だって数多くの原作を下敷きにした作品だ(そもそもタイトル自体白い巨塔のもじりだし)
これで自由な創作ができなくなったらどうしよう、とこのところろくに進んでない自作品のことを思った。
あのツイートは僕のこうあってほしいという祈りだ。
僕の作品が完璧であれば原作者であれ手出しはできなくて、対話を求めてくれるはず。
第一ほとんどの作品の源流だってシェイクスピアがエッセンスになっているじゃないか、完璧にオリジナルな作品なんて存在しないんだ。
だからあらゆるところからエッセンスを引っ張ってきて完璧な作品になれば誰も文句は言ってこないし絶賛してくれる。
そんな祈りだ。
でもちょっと怖いな。そんな時は自分の妄想の中に閉じこもるのが一番だ。
僕は自分のアバターを妄想する、以前あの無機質なアイコンだったらアバター化されないと言ったがあれば強がりだ、自分もアバターを手に入れて他の投稿者のように交流がしたい。
自分は絵が描けないから妄想だけだけど……
ベースはアイコンと同じ空色、使う東方キャラは小傘、にとり、チルノはダメだ、バカっぽいから僕の理知的なイメージに合わない。
キャラを選ぶのと同じように服装、表現、顔に貼るお札をイメージする。この時間が一番楽しいまである。
妄想を完璧に空想にコンバートして僕は満足した、嘘、満足してない。
だって実際に描いてくれる人がいないから、実装など夢のまた夢なのだ。結局は妄想。それだけ。
ボトルメールに手紙を詰めて海に投げ入れるように、僕はこの妄想をXに詰め込めてポストした。
誰かに届くと願って。あ、でも絵が上手い人がいいな、くるしい兄貴みたいな投稿者☆も描ける才能のある人に。
才能がある僕にはピッタリだろう?
まだ誰も僕の才能に気づいてないだけなんだ、開花する前のつぼみなんだ、言うならばサナギだ。
ボトルメールは誰にも見られないどころか悪意のある人に見つけられ笑い者にされていることにまだ僕は気づいていない。