40歳からのデイサービス 『違和感が3つ集まれば気にならない』

「違和感が3つ集まれば気にならない」
『はっぴーの家ろっけん』のオーナー首藤さんが言った言葉だ。

私は今、神戸市長田区にある介護施設『はっぴーの家ろっけん』のリビングでテント暮らしをしている。
前職を退職する際に次の家がなかなか決まらず、困っていたところに首藤さんが「ウチの施設で家が見つかるまでの間、仮暮らししたらいいよ!」と声をかけてくださったのが最初。
最初は「きっと施設の空き部屋をお借りするんだろうな。てことは介護ベッドで寝れるかも!キャー!!」なんて心躍っていたのだが、施設に来てみたら2階のリビングにテントが貼ってあって「空き部屋がないからピンキーここでお願いな」とまさかのテント暮らし…
介護施設のリビングでテント暮らしという奇妙な仮暮らしが始まった。

『はっぴーの家ろっけん』は利用者と職員以外にいつも誰かがいる。
しかも、誰が誰だかわからないままの時もある。
「あの人誰ですか?」と職員に聞いても「さぁ?誰なんでしょうね?」と返事が来ることも多々ある。
ちなみに私のはじめの頃はその立場だったりする。
それが当たり前にあるのが『はっぴーの家』なのだ。

最近は『ダイバーシティ』という言葉をよく耳にする。
『多様性を受け入れる』とピンキーは捉えているのだが、捉え方に戸惑う場面をよく目にする。
私がゲイであると伝えると戸惑う人、「私は大丈夫」と伝えてくる人、「人生大変だったでしょう」と同情ちっくな言葉を話してくる人。
それぞれがそれぞれになんとか理解しようとしてくれるのだが、どこかで突然現れた『違和感』に対してどう捉えるべきなのか答えがわからないまま空気感だけが先に進んでいるように感じる。

『はっぴーの家』はそんな中、『違和感が3つあれば気にならない』という言葉をまさに体現している場所に感じる。
毎日『違和感』が当たり前のように3つ以上あるものだから、職員の皆さんも利用者さんも全く気にならないのだ。
実はそれの当たり前がすごく居心地がいいのも事実。
『違和感』と言われ続けてきた私もその当たり前の中にいて、何も違和感がない空間とはまさにこれからの時代のモデルケースなのかもしれない。

私が40歳からデイサービスに『はっぴーの家』を選んだ理由。
それは『違和感』だらけなのに『気にならない』毎日がとても刺激的で、そして『心地よい』からかも知れない。

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