【妊娠7週 稽留流産】子供がそこまで欲しくなかった私の、妊娠~流産まで。③

手術当日

手術は掻把式で行われることとなった。(掻把ではなく吸引で行うところもあるようだが、私の行っているクリニックでは掻把式を採用しているとのこと。)

手術のスケジュールはこうだ。

7:00以降絶飲食(麻酔をかけるため)

10:00 来院して同意書提出、前処置は自費なので前処置の会計(税込み5500円でした)、術前処置(ラミセル)

一旦帰宅

16:00 再来院して手術

手術後、安静室で2時間~3時間休憩

18:30 迎えの人(私の場合は夫に頼んだ)来院

退院診察、今後の説明、会計ののち帰宅

経験者の方のブログ記事など拝見すると、ラミセル処置は前日に行ったり、当日行ったとしてもそのまま病院に手術まで留め置かれる場合が殆どで、一旦帰宅させるのはちょっと珍しいのかなと思った。

このラミセル処置が超痛い、痛すぎると書いてある記事が多かったのでビビリまくっていたが、結論から言うとそうでもなかった。

(一応知らない方の為に。いきなり子宮に器具を入れるとスムーズにいかないことがあるため、事前に水分を吸って膨らむスポンジ様のものを挿入しておく処置。子宮の入り口をつまんだり、挿入する際に痛みを伴う場合が多い)

確かに子宮の入り口をつままれたときは「っ・・・・!!」という程度の痛みはあったが、先生が絶えず声をかけてくれたのと、時間にして1分いかないくらいだったので十分気合いで我慢できる範囲だった。

先生が「はい、一番きついところは終わりましたよー」と言ってくださったとき、「はい!!!」と運動部みたいな声で返事をしてしまったのが恥ずかしかった。気合いが入りすぎるのもよくない。(運動部に入ったことは、一度もない。)

その後夫の運転で帰宅。YouTubeを見たり寝たりした。

16:00少し前、緊張の再来院。

血圧を測ったり、術後に履かせてもらうこととなるパンツとナプキンを看護師さんに預けるなどしてから、内診台へ。緊張していたのか、ちょっと記憶が曖昧なのだが、ここで再度エコーを撮ったような気がする。

術後休むこととなる安静室にて手術着に着替え。ここで点滴を入れる管を注射。これも痛いと聞いていたが、なんなくクリア。献血のほうが痛かったことあるよなって程度。

そして内診台へ。内診台で手術を行う。

いつもの内診のときは、先生と自分(の胴体)を仕切るカーテンが閉められているが、手術の際は全身状況を見るのでカーテンを開けますよ、と言われ、オープン! おお、初めて見たけどカーテンの奥は結構広い! なんか歯医者っぽい!  先生はいつもの服の上に、いかにも手術ですみたいな緑色のビニールっぽいエプロンを着けている! とか思って自分を落ち着かせる。

手足を固定され、麻酔の説明。麻酔をかけ眠った状態で手術するということの再確認と、麻酔の前に、吐き気や不穏状態をおさえるための薬も使うということ。麻酔を入れるとき、看護師さんが数を数えていくから、追っかけて数えてきてね、眠くなったら寝ていいよと言われる。いよいよだ。

「麻酔はいりまーす、1」「いち」「2」「に」

死ぬときってこんな感じなのかな。こえぇ。とか思った気がする。

「3」「さん」・・・・・・・。

たぶん6くらいまではいけた。ザーっと、昔のテレビの砂嵐のようなものが頭の中にかかってきた。そのうちだんだん、ピンクや黄色っぽい、マーブル状の世界になった。木星の表面のような、あんな感じ。ゴゴゴ・・・と音がして、急に自分が地底の底から地上に掬い上げられるような感覚がした。なんか名前を呼ばれたような気もする。頭の隅で、自分は手術中なのだ、という意識はあったと思う。・・・痛い、お腹痛い! やばい、痛いって言わなきゃ! と急に焦る。「いたい・・・」声を出せることが出来た、ふと目を開けると、ほわわわわ~んと景色がぼやけていたのが、ゆっくりとピントが合った。まんまのアニメの主人公が目を覚ますときのようだ。手術が始まる前の、あの景色だ。

(たぶんだけど、砂嵐がかかった時点で麻酔が覚めるときだったのだろう。体感的には、数を数えてすぐに砂嵐! だったけども。)

「終わりましたよー」先生の声がして、看護師さん2人が私にパンツをはかせようとしてくれていた。「お尻浮かせられますか?」お腹の痛みに耐えながら、必死で尻を浮かす。「大きいな・・・」看護師さんの声がする。下着が大きくて履かせずらかったのか、私のケツがでかかったのか、いづれにしても手間をかけてスンマセン・・・。

内診台→ストレッチャー→安静室のベッドと、ズルズル移動した。ベッドに横になったら、(転がされたといった表現が正しい)枕元にナースコールのボタンと、気分が悪くなった時用の袋などが置かれる。「また来ますねー」と言われ、一人になる。ひどくお腹が痛いが、これは、大きくなっていた子宮が元に戻る収縮痛とのこと。なるほど、確かに生理痛のような痛みだ。生理痛より全然痛いけど。ああ、からっぽになったんだな、しかし、感傷に浸る間もなく痛みは襲ってくる。オレの子宮よ、もうちょっと余韻に浸ったらどうなんだ。空になったら急に何事もなかったように元に戻るなんてさ、ちょっと薄情すぎやしないかい。と今になれば思うけど、当然そのときはそんなことを考える余裕はない。

あと身の置き所のないような怠さ。これは麻酔が抜けきっていないからだろうか? 腹痛も相まって、どこに体を置いても落ち着けるところが無い。寝てしまいたい。でも痛くてとても無理。早く夫に会いたい、家に帰りたいけど、この状態のまま、着替えたり車に乗ったりできる気がしない・・・。このあと診察もあるんだっけ、内診台上がるのも無理じゃね? ていうか、時計や携帯がそばにないから時間が分からない、ベッドから身を乗り出して壁時計を見る気力も元気もない。私あとどれくらい、待てばいいのだろう・・・。寂しいし痛いししんどいし、喉も乾いたし、永遠にも感じた。

経験者の方のブログには、この手術後の時間に、亡くなった赤ちゃんのことを思って泣いて過ごした、という方が多くみられた気がするが、私は正直痛みと孤独に耐えるのが精一杯だった。つくづく、私は自分のことばかりだ。(手術前に、子供はきちんと天寿を全うしたんだ、とある程度納得しておくことが出来たのもあると思うけど。)

3回くらい看護師さんが血圧や出血の状態などを見に来た。「出血みますねー」と言って、手術着捲られてパンツの中のナプキンを見られるのが恥ずかしいぜと思ったが当然そんなことを述べる余裕はない。出血はそんなにしてないみたい。

いつの間にか18:15になっており、点滴の管が抜かれ、フラフラしないようであれば着替えをしたうえでそのままベッドに居るように言われる。若干ふらつきながらも着替えを完遂することが出来た。痛くて滞ったという記憶がないから、多分このころには腹痛はだいぶましになっていたのだろう。

気を紛らわすために夫にLINEしたり、ネットニュースなどを見ていたら看護師さんがやってきて、退院前診察という。渾身の力を振り絞って荷物をまとめ、内診台へ。出血も問題ないみたいで、診察室でその後の説明などが行われるがご主人も一緒に聞くかと言われ、そのようにお願いする。

今後の診察の予定の再確認や、薬の飲み方の説明を受けた。薬は三種類。

・フロモックス錠100mg(細菌による感染症を防ぐ)

・メチルエルゴメトリンマレイン酸塩錠0.125mg(子宮の収縮を促す、出血を止める)

・ビオフェルミンR(整腸剤)

メチルエルゴメトリンマレインは、飲むと腹痛が起こるかもしれないがしっかり飲んでくれと指導を受ける。知ってはいたが、また痛てぇのかよと恐れおののく。

先生、看護師さんがたにお礼を述べ、診察室を後にし、受付で会計して車に乗り込む。お会計は約12,000円だった。保険がきくからそんなものか。思ったより安くて安心した。

腹痛はましになったがそれでも生理痛程度の痛みはあり、怠さも抜けず、一応コンビニによって夕食を買ってもらったが食べることはないだろうと思った。


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