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2024年ベスト映画5選と感想など

さて、今年は結構たくさん映画も観た!というか、家に居たくないとすぐ映画館に逃げ込んでいた笑
ということで、今年劇場で観た映画のうち、面白かった5作を書いていきますわよ。


5位:関心領域

アウシュヴィッツ強制収容所の隣に住む家族の日常を描いた、地獄のような映画。
二度と観たくねー!でもめっちゃいい映画。
映像としては割と単調というか、ヘス一家の日常が描かれるだけなので、割とおだやか。
でもBGMとして絶えずうめき声や叫び声が流れている。でも段々と私達観客もその環境に慣れていく……。

本作はナチス政権時代を描いているんだけれど、この映画が言いたいことって、明らかに現代にも通じている。私達はガザのことも、ウクライナのことも、更には能登半島のこともスルーして、自分の生活だけを守っている。
私達にも生活があるので致し方ないとはいえ、第三者的な目線で見ると、「無視する」ってとても加害的な行為に見えるものですね。。。
ちなみに私は本作を観て、罪悪感からガザに寄付しました。みなさんもぜひ。

4位:マッドマックス フュリオサ

映画界を変えたとも言われる「マッドマックス: Fury Road」の前日譚。
実はなんとなーく食わず嫌いしていたマッドマックス……。そのため、フュリオサ観てから、Fury Roadを観たというw
いやーーーとんでもなく良かったです。大好き!!
フュリオサって笑わないんですよ。ずーーーーーっと怒ってるから。最高じゃんね。笑わないって媚びないってことだから……。

マッドマックスシリーズのすごいところは、「搾取される人」をちゃんと描ききってるところな気がする。
イモータン・ジョーが囲う女たちは子供を産む機械。年老いたら乳を絞る機械にジョブチェンジ。

ウォーボーイズたちなんか、まさに旧日本軍の特攻隊じゃん!自死することを勇敢さと刷り込み、無為に彼らの命を使っている。彼らも搾取される者。
Fury Roadで意味不明だったフュリオサの行動原理とかが、今作で完全にわかるようになっているのもお見事。ジョージ・ミラー!!

フュリオサは故郷を奪われたことや母を殺されたことだけではなく、この世界の搾取構造に怒っているんだよね……。だから「最も搾取されている」子供を産む機械である女たちを助けたのね。
てかこれ書いてたらめっちゃ観たくなった!観ます!みんなも観てくれ!!

3位:憐れみの3章

みーんな大好きヨルゴス・ランティモス作品♡
「哀れなるものたち」でアカデミー賞主演女優賞を受賞したエマ・ストーンとランティモスタッグのオムニバス映画ですね。
3時間くらいあるのですが、1作は45分程度なので、まあドラマ3話分とすると見やすいかも。それぞれのつながりもRMFという謎の男のみですし。
さてなぜ私が「哀れなるものたち」より本作が好きかというと、「被支配者である心地よさ」と「被支配・支配の関係性の脆さ」が描かれているから。
「哀れなるものたち」はいわゆる女性解放の物語だと私は解釈していて、そういう文脈だとフュリオサのほうが好きなのでした。

あと、ヨルゴス・ランティモスってマジで「恋愛」、特にセックスを馬鹿にしていて最高!1話目では恋愛関係というものがいかに脆いかを、2作目では性行為を愚かしく描きつつ、「人は見たいものしか見ない」をありありと見せつけてくる。3話目も性行為のエゴイズムや愚かさ、バカバカしさを表現しつつ、搾取構造をうまいこと描いている。
私は「本当の愛♡」「愛する二人の幸せな(性)生活♡」みたいなのがとても苦手、というか大っっきらいなので、ランティモスが好きなんだと思う。(逆に言えば、そういうのが好きな人は合わないのでは?)

3話がわかりやすいものの、2話がずーーーーーっと記憶に残っている。支配・非支配は簡単にひっくり返るし、非常にその線引は曖昧なのかもしれない。
私達が(口には出さないが)思っている、「被支配者って、なーんにも考えずに従ってればいいから楽ちんだよね♪」ということを、じゃあその支配関係から急に放り出されたら?やばいね?と示唆してきて、まあ後味は良くない映画ですが、オススメです笑

あ、でも未だに邦題はあんまり認めていない。「Kinds of Kindness」の意味合いが出ていない……。

2位:シビル・ウォー

アメリカ国内で紛争が起きたらどうなるか、という戦争映画です。が、これはもはやフィクションの域を超えてるんですよね……。
これに関しては本当に見てくれ、としか言えないくらい、映像がキツいほどに生々しい。
私は劇場という、音量を下げることも、逃げ出すこともできない、ある種固定された環境だから見れたけど、これ配信だったら無理だったと思う。特に中盤のジェシー・プレモンスのシーン。

ジェシー・プレモンスのシーンは、正直トラウマになっていて、思い出すたびに背筋がゾッとする。私達は「アジア人の見た目」なだけでなく、「アジア生まれのアジア人」だから。「アメリカ人」じゃないから。
DEIだなんだと言われているけど、この世界には明確な差別構造が存在していて、その中でも性別と人種って根強いものがあると思う。それは海外に行くとめっちゃ感じるから、住んでる人はなおさらなのでは……。
私達は「有無を言わさず殺される側の人間」として、どうやってこの世界をシビル・ウォーの世界にしないようにするのか、よくよく考えていく必要がありますね……がんばろう……。

余談ですが、私も結構ラディカルな人間なので、もしこういった状況が日本で起きたら、私も市民軍として銃を手に取るかもしれない。自分の権利は自分で勝ち取るしかない、と思っているので。でも日本人はこういうこと(内紛状態)にならず、茹でガエルのように気付いたら死んでくんでしょーね!笑

1位:夜明けのすべて

重いPMSの症状のある人とパニック障害を持つ人が、小規模企業という同じ職場で働く……という映画。あらすじだけ書いても面白くなさそうですが、本作は私にとって救いになるような映画だったんですよ。

私は結構PMSの症状がキツくて、生理前1−2週間は意味もなくイライラしたり悲しくなったり希死念慮が高まったり……。とんでもなくしんどい。でもPMSはあんまり「病気」って感じがしなくて人に言いづらいし、私も漢方を飲んだりしながらなんとか付き合っている。
だからこそ、本作は「PMSという病は本当にしんどいんだよ!」というのを可視化してくれた気がして、本当に救われた。パニック障害とは比べられないかもしれないけど、でもPMSの症状は人の生活を狂わせるほどの辛さがあるんですよ。

印象的なシーンは数あれど、序盤の「藤沢さん(主人公)の気持ちがしんどくなって土砂降りのバス停でベンチに傘もささずに座り込む」シーン。
これを観た瞬間、「あ、この映画って私のことだ」と感じてグイグイ引き込まれた。びっくりした。
もはや傘をさすどころか、傘を探すことすらできないくらい気持ちが落ちてしまっている。その後、警察官に身分証を求められて探すけどカバンからうまく出せなくて、それだけなのに破滅的な気持ちになって全部投げやりになるところ。ぜーんぶ私。藤沢さんの気持ちが痛いほど伝わって、辛くて辛くて。
その後も(異様なほど)リアリティのあるPMSの症状の描写。炭酸飲料の蓋を開ける音すらも苛つくの、わかるよーーーーと涙が出てしまった。

また私が本作が好きな理由として、主人公の藤沢さんと山添くんが恋愛関係に至らないところ。二人の間には、もっと他人的で、もっと親しい、不思議な距離感がある。転職したらもう会わないけど、でもふとした瞬間に「元気でやっているかな」「幸せに暮らしているといいな」と願うような、そんな関係性。素晴らしい……。
同じような苦しみを抱える二人だから、くっつけとこ!みたいな安易な映画も少なくないと思うけれど、私にとって恋愛って全く救いにならないので、彼らが不思議な友情でつながり、支え合ったところが本当に良かったです。ポテチの残りカスまで食べる、のは付き合う前の好きな男に見せないもん!笑

明るく楽しい映画ではないですが、わたしにとって多分オールタイムベストになってくると思う。自分の存在を可視化してくれること、こんなに救われるんだねえ……。多様性万歳。すべてのマイノリティを可視化できるのが、映画の素晴らしいところだよ。


年末駆け込みで観た「ロボット・ドリームズ」も「どうすればよかったか?」も良かった。

「ロボット・ドリームズ」のロマンティックラブだけではない、様々な親しい関係性における別れの描き方が見事で……。
Septemberを聴いて、ともに踊りましょう。

「どうすればよかったか?」も必見です。「お姉さんのためにどうするべきだったか?」は明確で、そりゃ適切な医療に早期につなげてあげればよかったんですよ。
でも本作は「どうればこの家庭でお姉さんを助けられたのか?」という映画なんですよね。それはわからない。第三者からすれば簡単に解決できる問題でも、「家」という狭い環境の中では、解決策を見つけられないんですよ。心も体も元気なときに見ると良いです。

全然関係ないんですが、今年何度か映画館で見た「4月になれば彼女は」という映画の予告、ウユニ塩湖と藤井風の「満ちていく」がマッチしすぎていて、さらに映画館の良い音響で聴くもんだから、予告が流れるたびに泣いていたな……。映画はもちろん見てないです。

他にも語りたい映画はたくさんあるんだけど、周りに映画オタクがいなさすぎる!みんな映画見ようよ!!!!(T_T)
話したい映画たくさんあるよーーーーー


とりあえず、ギリギリ年内に書けてよかった!また来年もたくさん映画見るぞ!!!!

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