ある女性のこと

プライバシーに関わる事もあるので、ある程度ぼかして書きますが…

知人に某所の役所のバスの停留所に一人の女性がいて、その女性の話を最近聞いた。

その女性はホームレスで停留所は雨風を凌ぐスペースがあった為、というかほぼ住んでいるようなものだった様だ。

そういえば以前にその場所を通った時に、その人と思しき女性を見かけたことがある。

といっても確認したわけではない。見かけた時は「旅行の方かな?」という印象しか持たなかった。

「役所の人は何やってるの?」

僕の言葉には怒気をはらんでいたようにも今となってみては思う。それは知人が彼女の話をした時の半笑いに差別的な意識を感じ取っていたから…

結果から言うと役所の人間は『何もしなかった』いや、『何も出来なかった』が正しいのかもしれない。

役所の方からしてみたら、『住民票』がないと何も手出しが出来ないという事のようだった。

近くには僕の知る限り、ホームレス支援をしてるようなNPO団体は無いはずである。(あったならば、電話して団体とその人を繋げていた)

恐らく『住民票』があったら、住む場所位は確保出来ていたかもしれない。彼女にも事情があり、住所やその他の情報を言いたくなかったのかもしれない。気持ちは分かる。

善意の人はいた。彼女に荷物を入れるものを渡した人がいた。彼女の散髪代を出した人もいた。

しかし、彼女の本質的な状況を改善しようとした人は一人もいなかった。僕も含めて…

しばらくして、彼女はどこか別の場所へ移動したようだった。バスの停留所を通ったが、彼女らしき人は見かけなかった。

この話をしたのは、「こうすれば良かったのでは?」というアドバイスが欲しいわけでもなくて(それも大事ですが)、まして共感して欲しいわけでもなく、『ただ、知ってほしい』。それだけなのだ。

取り留めのない話をしてしまったかもしれない

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