物書庵初心週記帖(16号)「滅私奉公の時代はもうおしまい」
コロナ禍における状況は日に日に深刻化しており、緊急事態宣言もついに全国へと対象が拡大した。経過判断としても、ついに「悪化」という言葉がリーマンショック以来ぶりに刻まれた。
ただ、これも想像にたやすい事態であり、政府としては腹を括っていた事であろう(と思いたい)。海外からの渡航客を制限し、国内における移動や娯楽を制限しているのであれば、消費の落ち込み、経済への影響は火を見るよりも明らかである。マスコミ各社は、連日続く経済指標の落込みを驚愕の結果として報道しているが白々しいの一言でしかない。
連日暗いニュースが続く中、新型コロナが既成概念を破ったという側面に目を向けてみてはどうだろうか。各社がテレワークを導入し、行政手続きはオンライン化、医療機関のオンライン診療が進んでいる。いわゆる岩盤規制といわれた部分が溶けてきている。「やればできる(=今までは真剣に考えてなかった)」という側面をコロナが炙り出したという事実は、アフターコロナを考えるなかで一つのキーワードとなってくるであろう。
愚庵も先週から在宅勤務に切り替わっているが、業務上の支障は一切ない。職務内容的にオンラインでもほぼ成立するだけあって、在宅勤務に移行しても忙しさは変わらない。むしろ、隙間時間が無くなり18時過ぎにはヘトヘトになっているが、ストレスでしかない満員電車での通勤が無くなり、家族と過ごす時間や余暇の時間が増え、平日の充実度は上がっている。この数年のキーワードのなっている「働き方改革」とはリモートワークやフレックス、複業の推進により、滅私奉公と言える経済成長が続いていた時代の働き方を変えていく事が本丸である。これを理解出来ない(または何かしら都合が悪い)企業のお偉いさん方は「今の時代は働き方改革だ!残業を減らせ!」と残業削減だけ声高に叫んでいたが、コロナ対策のリモートワーク推進をきっかけとして、世の中の空気が変わっていく事を期待したい。まさか、「コロナが落ち着いたから、今まで通りにみんなで同じ時間、同じ場所に毎日出社しよう」なんて言いませんよね…?