物書庵初心週記帖(14号)「二度目の死亡説であって欲しかった…」
二十四節気の「清明」は「清浄明潔」の略で、万物が汚れなく清らかで生き生きとしているという事を表している。例年であれば、木々の若葉が芽吹き、お花見シーズンを迎えているこのクニにはまさしくピッタリであるが…。
日本の喜劇王志村けんさんが新型コロナウィルス感染に伴う肺炎で亡くなられた。まだまだ現役の70歳。早すぎる死である。亡くなった事が未だに信じられず、現実味が湧かないというのが多くの人の感想であろう。
いつ見ても、誰が見ても、どんな時でも笑わせてくれる。国籍、性別、年齢を問わず愛されたその芸は、作品として一生残り語り継がれるであろう。
「バカ」「婆さん」「おじさん」など今の時代に使ったらすぐに苦情が飛びそうなキャラクターにも関わらず、ヒトを馬鹿にしている雰囲気は一切なく、思いっきり笑わせてくれた。(唯一、PTAという組織からは煙たがられていたようだが)
独身を貫き、還暦を超えてもプレイボーイと呼ばれる。一方で耳に入ってくるエピソードからも人を大切にされてきた事が伺える。芸を磨き、芸を自分の生業としてきたが故に、破天荒さとストイックさの両面が突き抜けていたのだろうか。「職業芸人」ではなく「芸人としての人生」を生きた稀有な存在。心からご冥福をお祈りします。
新型コロナを取り巻く状況は刻一刻と変化する中で、このクニの状況は悪化の一途を辿り、ついに明日には初の緊急事態宣言が発令される事となりそうだ。「一世帯に布マスク2枚配布」「緊急事態宣言を明日発表する事を発表」など突っ込みどころは山ほどある。SNS上では外出する行為全てをバッシングするネットポリスが増えているようだ。相変わらず買占めや転売も無くならない。
不安や憤る気持ちはわからなくもないが、未知の危機に直面した市民が今すべきなのは、ただいたずらに批判する事ではない。正しい情報に触れて、自分や他人を守る為に自分が出来る事に集中して淡々と続ける事。どのメディアがどのような情報を発信しているのか見極める事。政治家や行政がどのような発言をして、行動しているのかよく見ておく事。そして、この先、信頼出来るメディアから情報を得て、信じるに値する政治家に次の選挙で投票する事。
批判ではなく選択。この有事の中で、マスメディアも政治家も、実力や信念の違いが浮き彫りになってきているであろう。今の苦しい経験が明るい未来を自分たちの手で作っていく行動へと繋がることを切に願っている。