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物書庵初心週記帖(35号)「飲食や観光こそ人間らしい生活の源」

本格的な冬の到来とされる二十四節気の大雪を過ぎ、関東地方は朝晩の冷え込みがだいぶ厳しくなってきている。

この1ヶ月でCOVID-19の感染者数は残念ながら右肩上がりとなり、飲食店に対する時短要請に続き、ついにGOTOトラベルの一時停止に踏み切るようだ。少なくとも愚庵が馴染みの店舗は十分過ぎるほど感染対策をしながらサービス提供を続けており、複数名で会食や宴会でもしなければ感染するリスクは限りなくゼロに近い。

忘年会シーズンに客足が途絶える。年末年始に観光客が来ない。飲食業、観光業にとっては本当に致命的な状況。

この事態を招いている一つの要因は、店舗の努力も考えずに自分の楽しみだけしか考えず、行動も変えずに感染症の拡散を続けている利用客ではないか。

そしてもう一つの要因は、マスク会食など、明らかに現実味のない事を言いながら、経済最優先!でも自己責任で!と言い続けてきた政府にあるとしか思えない。

国民の生活を守るために経済が大切なのは当然だが、補償なき休業要請、準備する間もなくキャンペーンの中止では中小規模の店舗や旅館には死刑宣告も同然である。営業力や経営力のない店舗は淘汰されて然るべき、と言うのは簡単だが、体力のある大手チェーンしか生き残っていない世の中にはハッキリ言って魅力を感じない。

そもそも、飲食や観光は人生の充実度を上げるのに必要不可欠で、娯楽なき人生なんてつまらなすぎる。決して待遇の良い業界ではない中、客に喜んでもらいたいという想いでサービスを提供し続けてくれているにも関わらず、不要不急という言葉で切り捨てていくのには違和感しかない。

魅力的な店には、その店を支えるファンが付いているが、限界はある。税金を使う限り一律性、公平性が求められるのだろうが、なんとかメリハリを付けた対策を考えてくれる有識者と呼ばれる人が出てはくれないものか。一市民としてはあまりにも無力過ぎて、もはや祈るしかないのだろうか。

このままでは、年の瀬に職を失う人や年越しを待たずに店を畳む店舗が続出しかねない。

このようなご時世で個人に出来ることは限られてしまうが、せめて自分にとって大切な店に足を運びながら、2021年を共に迎えらる事を願うばかりである。

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