物書庵初心週記帖(19号)「外交だけでなく内政も弱腰?」
全国での解除ではないものの、何となく始まった緊急事態宣言が何となく終わった。そう総括せざるを得ないというのが率直な感想である。結局、緊急事態宣言とは何だったのか?この問いに明確に答える事ができる閣僚がこのクニにいるのだろうか…。自粛警察という言葉が広まった。その行動自体、愚庵は理解出来ない。が、一方で、政治の弱腰が原因で市民の中から自粛警察を産みだしたとも言えるのではないだろうか。第二波は必ず来る。その時にどんな受け身が取れるのか、安心よりも不安が先行するのは愚庵だけではないであろう…
今回のコロナ禍を通じて試されたのは「つながり」と「考える力」ではないだろうか。
緊急事態宣言下による営業自粛で苦境に立たされている飲食店であるが、店と客という関係性を超えてその店のファンという「つながり」を掴んでいる店と、そうでない店を浮き彫りにしている。愚庵の行きつけの店でもテイクアウトを始めたが、連日の盛況だ。「テイクアウトで応援」という言葉が広まっているが、ファンを掴んでいる店では恐らく「応援」という一方向の関係性ではなく「今しか出来ないつながり」を楽しんでいる、という感覚なのではないだろうか。
また、個人レベルでもオンライン飲みが定着してきており、店でも飲むよりも時間も費用も気軽などと言われているが、参加者全員が同じテーブルで同時に会話するようなものなので「何を話す」「いつ話す」「いつ抜ける」など場合によっては意外と気を使う。愚庵もランニング仲間と週一で実施しており、気心知れた仲なので良い息抜きとなっているが、浅い関係性の集まりだと結構なストレスなのだろうと気の毒に思ってしまう。
「考える力」については、飲食店であればこれまで客との繋がりをどう作ってきたか。具体的には「お互いの顔が見える関係性」がどれだけ築けていたのかが分かれ道であろう。「誰が料理を作っているのか」「この料理を食べてくれるのは誰なのか」ここが明確な店は強い。マーケティングという言葉は通用しないレベルで客とのつながりを築き、コロナ禍においてもそのつながりを継続する方法を考える事が出来る店は決してコロナに負ける事はないだろう。
個人レベルでは、もはや考える力が行動に直結している。緊急事態宣言が出てるから外出は控えて、外出時はマスクを着ける。緊急事態宣言が終わったから外出する、マスクもしない。自分の目で見た範囲ではあるが、そういう考えの人が多いと感じてしまう。2:6:2の法則でいうところの6が平均レベルというのが疑わしく感じざるを得ない。
政治家諸君については、次の選挙で結果として現れてくるであろう。むしろ市民は態度として表明しないと、いつまでも政治家になめられているばかりである。前例のない状況下においても「どうしたいのか」を表明できる大阪府知事や鳥取県知事の様な行政の長については素直に評価したい。地方自治の方が市民生活に直結するので政策の是非が伝わりやすいという面を差し引いても、真の実力が見えたのではないだろうか。
明るい話題が出づらいご時世ではあるが、愚庵の庭に野鳥の巣が作られているのを発見した事はここ最近で一番のグッドニュースであった。
特徴を見る限りアオジかな?と思っているが未だ確証はない。いずれにせよ元気に雛が巣立ってくれる事を祈るばかりである。