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物書庵初心週記帖(41号)「船頭多くして船山に登る、は終わりにしませんか?」

立春を過ぎた日本列島に早々に春一番が顔を出し、小春日和の陽気が続いたかと思えば、冬らしい冷たい風が吹き付ける。この季節はお天道様もなにかと慌ただしい。

ここ数日の穏やか陽気に誘われていつもの川沿いに出向く。冬から春へ季節が移ろっていくに連れて出会える野鳥も日増しに増えている。一番多く目にするのはヒヨドリ。弾丸の様な迫力で縦横無尽に飛び交っている。チチチッと控えめに鳴きながら軽やかな波線飛行で目を楽しませてくれるハクセキレイも立春を過ぎた辺りから姿を見せてくれるようになった。エナガが木のてっぺんで気持ち良さそうに独唱をしている。百舌鳥は目が合ったのも束の間ササッと姿を隠してしまった。

予定調和のごとく緊急事態宣言は1ヶ月の延長となった。逼迫している医療体制を考えれば止むなしだと思う。が、そもそも発令時にどんな予測をしていたのか?1ヶ月で本当に解除出来ると思っていたのか?と疑問を感じる。

ワクチン接種一つをとっても、各国でワクチン接種が進んでいる中、このクニでは筋肉注射用の注射器が必要となるのを厚労省が正式に認知した(と表明している)のが1月末。その頃、お隣の韓国ではとっくに注射器の増産に着手していたというお粗末な状況となっている。

森喜朗五輪組織委員会会長の女性蔑視発言は、これまで懲りずに重ねてきた失言とは比べ物にならないレベルで、世界に恥を晒し、ただただ同じ日本国民として恥ずかしいという思いに尽きる。JリーグやBリーグの立上げに尽力してきた川淵氏に後任を託し、森氏の辞任で幕引きを目論み「老々引継」せざるを得ない現状に不安を感じつつ短期的には一段落か?と思いきや、森氏独断の後任指名&相談役着任だったそうで、さすがに業を煮やした菅政権がNOを突きつけて一旦白紙の展開に。幕引きの下手くそ加減も世界に露呈する恥の上塗りになってしまった。様々な憶測が飛んでいる後任人事だが、そもそも組織委員会会長の役割責任って何でしょうか?まずはその点を国民に明らかにしたうえで適任の人材を選出するのが透明性だと思うだが。

足元の市民生活に焦点を当ててみると、なぜか戦犯のような扱いを受けている飲食業の厳しさが真綿で首を絞めるように波及している。行きつけの酒屋で店主さんの話を聞いていても、居酒屋の業績悪化の余波は酒屋だけにとどまらず、その先にある酒蔵、酒米農家さんにまで及んでおり、相当苦しい状態だという。

そんな中、茨城県日立市に蔵を構える森嶋酒造さんでは、地元の農家さんから残っている酒米を買い取り、農家さんと共に生き抜こうと旧ブランド名「大鑑」で作ったスピンオフ商品を発売している。店主さんに紹介され、当然買って帰り早速飲んでみたところ、複数の酒米をブレンドしているにも関わらず雑味は全く感じないクリアな飲み口でついつい飲みすぎてしまった。愚庵には飲んで応援する事しかできないが、日本の食文化が衰退する事のないように、必要なところに必要な支援が行き届く事を願って止まない。

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