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物書庵初心週記帖(48号)「外交力の陰りと若手アスリートの輝き」

春の柔らかな雨で農作物がうるおうという二十四節期の穀雨。我が家でも小さな円形の花壇に小夏(小型のひまわり)の種を植えた。が、その夜に柔らかな雨とは程遠いまるで台風のような雨が地面を強く打ち付けた。窓から様子を眺めていた連れ合いも「種が流れてしまったらどうしよう」と心配しながら不安な夜を過ごしたが、朝一番で花壇に直行してみたところ、花壇の中心にそびえているヤマボウシの枝葉が傘の役目を担って守ってくれていたようで大きな被害もなく一安心。些細ではあるが、自然のせめぎ合いを感じる事が出来た一幕だった。

先週は上海モーターショーに気候変動サミットと脱炭素、カーボンニュートラルを合言葉に、さながらCO2ウィークという様相を呈した。奇しくも冷戦真っ只中の米中がそれぞれの主催国という構図。その中で最も目を引いたのは中国の強さ。上海モーターショーで鮮明になったEVシフトのスピード感、気候変動サミットでの強硬な姿勢。後者は褒められたものではないが、いまや米国と肩を並べる強国という自負を世界に示す形となった。

さて、我がクニはどうかというと、米中首脳会談で「ジョー、ヨッシー」と米国との変わらぬ蜜月関係をアピールしたものの、自国の感染状況よりワクチンの接種率に注目が集まっている中で逆風が吹いている。株価の動きも欧米に比べると鈍く、投資家の評価は顕著だ。外交の弱さに重ねて、先週末の衆参の3選挙区で自民は全敗。政治とカネの問題やコロナ対策での失点に市民がNOを突きつけた構図だろう。ただ、決して野党が得点を重ねた勝利というわけではないと見ている。今この時の政権運営は難しい舵取りであるのは間違いない。野党に政権を任せたいかと問われると、反射的に首を横に振ってしまう。25日に発令された3度目の緊急事態宣言の効果も正直期待出来ない。本当にオリンピックをやるのか?とどうしても懐疑的な気持ちになってしまう。

ただ、暗い話題ばかりでもなく、松山英樹さんの日本人初のマスターズ制覇。池江里佳子さんの丸メートル全日本選手権優勝。大谷翔平さんのメジャーリーグでの二刀流デビューと、連日スポーツ界から若手選手の明るいニュースが舞い込んできた。

若手といえば、7年ぶりに日本人ドライバーとしてF1に参戦した角田選手の活躍も楽しみの一つ。ただ、角田選手が所属するホンダは今シーズン限りでF1からの撤退、2040年でのガソリン車撤廃を表明している。エンジンへのこだわりが人一倍強いと思われていたホンダ故に寂しさを感じたものの、ホンダらしいチャレンジングスピリットで世界では周回遅れになっているEVシフトでの出遅れを挽回してくれると大いに期待したい。

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